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【目次】
■大気汚染が糖尿病の発症リスクを高める|ワシントン大学医学部
by Global Panorama(画像:Creative Commons)
(2018/7/1、AFPBB)
論文は、(大気)汚染によって体内のインスリン産生が低下するため、健康維持に必要な血糖のエネルギーへの変換が妨げられるとしている。
専門誌「ランセット・プラネタリー・ヘルス(Lancet Planetary Health)」に掲載された研究の結果についてアルアリー氏は、世界保健機関(WHO)や米環境保護局(EPA)が現在、安全とみなしている大気汚染レベルでも糖尿病リスクは高まると警告。
ワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine)のチームの研究によれば、大気汚染によって体内のインスリン産生が低下するため、糖尿病の発症リスクにつながると考えられるそうです。
■糖尿病と大気汚染に関するその他の研究
糖尿病と大気汚染に関する研究についてどのような研究が進められているのか調べてみました。
Air pollution linked to heightened risk of Type 2 diabetes in obese Latino children
(2017/2/7、USC NEWS)
By the time the children turned 18, their insulin-creating pancreatic cells were 13 percent less efficient than normal, making these individuals more prone to eventually developing Type 2 diabetes, researchers said.
USCの研究者によれば、大気汚染レベルが高い地域に住むヒスパニック系の子供は、18歳にまるまでにインスリンを産生する膵β細胞の機能が18%効率が低く、2型糖尿病を発症するリスクが高いことが分かったそうです。
■大気汚染と健康の悪影響についての研究が進んでいる
大気汚染と健康の悪影響についての研究も進められています。
●高血圧
汚れた空気(大気汚染)にさらされていると高血圧になりやすい!?によれば、PM2.5や二酸化窒素(NO2)などの大気汚染物質に長期間さらされると、血圧値が上昇すると考えられるそうです。
→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら
●子供の脳の発達
微小粒子状物質(PM2.5)を吸い込むことは脳の発達を損なう恐れがある|1歳未満児1,700万人、基準値6倍の汚染地域に|#ユニセフ『大気汚染:子どもの脳の発達に及ぼす影響』によれば、微小粒子状物質(PM2.5)を吸い込むことで、脳の細胞を損ない(子どもの乳幼児期の発達を損なう超微小粒子状物質は極めて小さく、血管を通って脳に到達し、脳血管壁を破壊し、脳細胞の炎症を起こし得る)、認知的な発達を妨げ、生涯にわたる影響または低下を及ぼす可能性があることを指摘しています。
●アトピー性皮膚炎のかゆみの症状
大気汚染物質がアトピー性皮膚炎のかゆみの症状を引き起こすメカニズムを解明|東北大によれば、大気汚染物質が転写因子(DNAに結合して遺伝子の発現を制御するタンパク質のこと)AhRを活性化させることによって、神経栄養因子(神経の生存や成長、分化を促すタンパク質のこと)artemin(アルテミン)を発現させ、皮膚表面の表皮内へ神経が伸長し、過剰にかゆみを感じやすい状態を作り出すというアトピー性皮膚炎の諸症状を引き起こすメカニズムの一部を解明したそうです。
→ アトピー性皮膚炎とは|アトピーの症状・原因・改善方法・予防 について詳しくはこちら
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■まとめ
今回の研究を参考にすると、大気汚染によって糖尿病の発症リスクが高くなるそうです。
約3億人の子どもが高レベルの大気汚染の中で生活している|#ユニセフ #UNCEFで紹介したユニセフの報告書によれば、約3億人の子供が高レベルの大気汚染の中で生活しているそうです。
世界の糖尿病患者4億2200万人 成人の8.5%|WHO(2016/4/6)で紹介したWHOの報告書によれば、2014年の世界糖尿病患者は4億2200万人になっています。
世界の糖尿病患者は4億人を超えており、また、大気汚染によって糖尿病の発症リスクが高くなっていて、そして、約3億人の子供が大気汚染の中で生活していることから判断すると、もっと糖尿病患者が増加していく可能性があるということではないでしょうか?
(2018/7/1、AFPBB)
2016年に世界で新たに発症した糖尿病の7例に1例は大気汚染が原因であるという研究結果
研究をまとめた論文によると、2016年に全世界で新たに発症した糖尿病の14%にあたる、320万症例が大気汚染に起因していたという。
食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が糖尿病の原因としていわれることが多いですが、大気汚染対策を行なうことが世界の糖尿病患者を減らす方法なのではないでしょうか?
【参考リンク(論文・エビデンス)】
- O’Donovan G, Cadena-Gaitán C. Air pollution and diabetes: it’s time to get active! Lancet Planet Health. 2018 Jul;2(7):e287-e288. doi: 10.1016/S2542-5196(18)30148-7.
- Air pollution contributes significantly to diabetes globally(2018/6/28、Washington University School of Medicine in St.Louis)
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