歩行「1日60分以上」、筋トレ「週2~3回」で健康に 国が推奨へ(2023/11/27、朝日新聞)によれば、厚生労働省の専門家検討会は、健康づくりのために推奨される身体活動・運動の目安となるガイド案をまとめ、歩行については成人は「1日60分(1日約8千歩)以上」、高齢者は「1日40分(1日約6千歩)以上」を推奨しました。また、筋トレについては成人、高齢者ともに「週2~3回」を推奨しています。
今回の記事で注目したのは3つ。
1)階段の昇降や風呂掃除といった日常生活の動きも例示したこと
2)高齢者の運動・筋トレについてはダンスやラジオ体操、ヨガなども含め、安全に配慮し転倒などに注意するとしたこと
3)筋トレによって、心血管疾患、がん、糖尿病などのリスクが、10~17%低くなるとの報告があること
1)階段の昇降や風呂掃除といった日常生活の動きも例示したこと
身体活動とエネルギー代謝 – e-ヘルスネット
近年、家事などの日常生活活動が該当する、非運動性身体活動によるエネルギー消費、別名NEAT(non-exercise activity thermogenesis)と肥満との関連が注目されています。
Levine et al., は、肥満者と非肥満者を比べると、非肥満者は歩行なども含めた立位による活動時間が、平均で1日約150分も少なかったと報告しました(図1)。
つまり、なるべく座位活動を減らして、家事などの日常生活活動を積極的に行なうことも、肥満予防のキーポイントといえます。
出典:Ravussin E. A NEAT Way to Control Weight- Science, 530-531, 307, 2005
このページによれば、肥満の人とそうでない人を比較すると、肥満の人は、立位または歩行活動が平均で1日約150分も少なかったそうです。
運動と言えば、スポーツをイメージする方も多いと思いますが、大事なことは座位活動を減らして、家事などを行う時間を増やすことにより、健康につながるということなんですね。
2)高齢者の運動・筋トレについてはダンスやラジオ体操、ヨガなども含め、安全に配慮し転倒などに注意するとしたこと
米国ルイスビル大学の疫学者バウムガルトナー(Baumgartner)によれば、サルコペニアやメタボリックシンドロームが健康寿命に深く関連しているといいます。
サルコペニアの定義とは、筋肉量(骨格筋量)の減少に加えて、筋力の低下(握力など)または身体(運動)機能の低下のいずれかが当てはまる場合、サルコペニアと診断するというものです。
参考画像:後期高齢者の健康(2016/6/17、厚生労働省)|スクリーンショット
「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命によれば、歩行速度が低下すると、認知症やMCIのリスクが高くなるそうですので、「歩行速度」はサルコペニアと認知症・MCIのリスク度をチェックする大事な要素といえそうです。
3)筋トレによって、心血管疾患、がん、糖尿病などのリスクが、10~17%低くなるとの報告があること
筋トレで死亡・疾病リスクが減少 週30~60分を目安に|東北大学によれば、これまで公表されている研究結果を網羅的に収集して分析した結果、筋トレを実施すると、総死亡・心血管疾患・がん・糖尿病のリスクは10〜17%低い値を示し、総死亡・心血管疾患・がんについては週30〜60分の範囲で最もリスクが低く、糖尿病は実施時間が長ければ長いほどリスクが低くなることが明らかとなりました。
そうなると、筋トレをすればするほど健康にいいと思ってしまいますが、筋トレの実施時間が週130~140分を超えると、総死亡・心血管疾患・がんに対する筋トレの好影響は認められなくなり、やりすぎるとかえって健康効果が得られなくなってしまう可能性があることがわかりました。
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