ドジャースに入団した山本由伸投手のトレーニングの考え方について調べてみた!「ウェイトトレーニングはやらない」その理由とは?




米大リーグ・ロサンジェルスドジャースへ移籍した山本由伸投手(25)の身体に対する考え方が興味深かったので紹介したいと思います。

詳しくはこちらの記事(オリックス 山本由伸「ウェイトトレーニングはやらない」理由)(2022/6/24、Tarzan Web)をご覧いただくことにして、簡単にまとめてみます。

トレーニングのやり方には大きく分けると2つあって、一つはウエイトトレーニングで出力(パワーなど)の向上を目的としたもの、もう一つは体の機能を高めるトレーニング(ピッチャーに必要な筋肉を鍛えるというのではなく、人間本来の身体の機能を高めるためにバランスよく筋肉をつけていく)。

前者でイメージするのが大谷選手(もちろん後者のトレーニングも行っていると思いますが)であり、山本選手は後者のトレーニング。

この考え方に行き着いたのは肘の張り。

試合の後の肘の張りがひどく、何日休んでも張りが治まらないから、ローテーションは難しい。

そこでトレーナーに相談したところ、体の使い方が間違っているから、トレーニングのやり方を全て変えていったそうです。

機能が低下して使えなくなっている部分があったり、左右で偏りがあったりすると、投げる動作にも悪影響が出てしまう。そういうのを消していくことで、無理のない動きができるようになります。まず、まっすぐ立つ練習から始めて、軸を保てるような姿勢、骨盤の動き、胸郭の向き、呼吸のときの空気の入れ方、そんなところからやっていったんです

山本由伸選手のトレーニング風景で有名なものが「ブリッジ」ですが、【注目の世界基準】山本由伸「理想のピッチャー像はない」(2019/10/12、NewsPicks)で紹介されているインタビューが山本選手の体の使い方の考え方のヒントになっていると思います。

ブリッジの動画を見た人は「柔軟性」に注目をしてしまいがちですが、大事なのは「柔軟性」ではないそうです。

マウンドに行くと特に、自然と力を抜いているつもりでも力が入るので。やっぱり観客が見ていたら、自然と力が入ってしまうところなので。そこで対戦している中で、さらに力を抜くというのは、簡単そうでめちゃめちゃ難しいですね。

山本選手は「力じゃない、力」と表現していますが、トレーニングはいいピッチングをする(「速い球を投げる」「いいコントロールで投げる」)ためであり、「力を抜いた中で、身体全体で力を入れて(投球の)力を作り出していく」ために、ブリッジなどのトレーニングで自然体の身体の使い方を学んでいるのでしょう。

ただ山本選手はウエイトトレーニングを否定しているわけでなく、ウエイトにはウエイトの良さがあるものの、両方を取り入れるというのは中途半端になっていい結果は得られないといいます。

確かにウエイトトレーニングによって一つ一つの筋肉を鍛えることと、バランスよい体の使い方を覚えて体の力の抜き方を鍛えていくというのは、どちらもいいピッチングをするために鍛えるという目標は一緒でも、方向性としては違いますよね。

室伏広治選手のトレーニング(体幹トレーニング)の方法(やり方)とはによれば、室伏広治さんは30歳を過ぎてから故障が増えてきて若いころのようには練習ができないことから、トレーニングのやり方を変えていきました。

その考え方としては、筋力を鍛えるというよりも、立ったり、座ったりする「ファンダメンタル(基礎運動)」の機能を高めることです。

例えば「筋肉が発達していないのに倒れない、あのバランス感覚は大人にはないもの」と赤ちゃんの「ハイハイ」をまねたストレッチを実践していました。

大事なことは全身の筋肉をうまく使うことであり、体の基礎・バランスがしっかりしていないとけがをしてしまうということです。

山本選手が2024年シーズンよりどんな活躍をするかによって、さらにこの体の使い方に注目が集まりそうですね。