バルサで大腿二頭筋・ハムストリングのケガが増えている理由とは?

Messi

by Jeroen Bennink(画像:Creative Commons)




バルサとレアルの最大の敵はケガ!?リーガで故障者続出の原因を検証。

(2011/11/16、Number Web)

もうひとつ心配な事態はバルサで伝染病のように発生している大腿二頭筋の故障だ。

バルサでは、大腿二頭筋のケガが重なっています。

9件のうち実に7件が大腿二頭筋のケガ。プレシーズンのアフェライの肉離れに始まって、アレクシス・サンチェス(重傷と軽傷の2度)、イニエスタ、ピケ、セスク、アビダルと続いては、さすがに気になる。

原因探しはもちろん行なわれているが、いまのところわかっているのは、練習は“シロ”ということぐらいだ。

バルサは今季も例年と変わらぬスケジュール・内容・方法をもって、同じ練習場で日々のトレーニングを行なっている。

変えた点といえば、昨年はマドリー戦とCLグループステージの山場が続いた11月末に置いたフィジカルコンディションのピークを、今年はマドリー戦とクラブワールドカップが控える12月の半ばに設定したことぐらい。それだけで同じ個所をケガする選手が続出するとは考えられない。

以前もメッシが怪我しなくなった理由としてバルサのチームによる管理があることを紹介しました。

なぜ、リオネル・メッシは、今シーズン、ケガしなくなったのか?

1.魚・野菜・果物を多く摂ること

2.練習後、クラブハウスで昼食をとること(チームによる食事の管理)

3.フィジオテラピスト(理学療法士)によるマッサージや疲労度を測る定期的な検査を受けること

また、チームにおいてもバルセロナでは、グアルディオラ監督のチームマネジメントに従い、チームの選手の怪我予防のためにさまざまことを行なっているそうです。

●ストレッチを入念に行う

●食事管理

●出場するメンバーのローテーションを組んで、疲労とケガのリスクを避けると同時にモチベーション維持に役立つ。

バルサは例年と変わらぬスケジュール・内容・方法をもって、同じ練習場で日々のトレーニングを行なっているため、大腿二頭筋のケガが重なる理由にはなりません。

スウェーデンのリンショーピング大学教授で、UEFA医事委員会の副会長を務めるヤン・エクストランド医師によれば、チームプレーの速さが影響している可能性があるようです。

「ハムストリングの故障は、そのチームのプレースピードを反映している。つまり、ハムストリングのケガが多ければ多いほど、そのチームのプレーは速いということになる」

大腿二頭筋を含むハムストリングはダッシュの際に使われる筋肉である。だから「ハムストリングのケガの64%はスピードを上げて走るとき――足が長く伸ばされるときに起きる」のだという。

ということは、バルサのチームのプレースピードが速いために、大腿二頭筋を含むハムストリングに負担がかかってしまっているということです。

バルサのサッカーはチーム全員が適切なポジションをとり、短いパスをつなぎ続けるため、選手が長距離を全力疾走することは滅多にない。

だが、狭いスペースの中でボールをもらうには瞬間的にマーカーを置き去りにする鋭い動きが必要となるし、敵陣内でのプレッシングにもダッシュは不可欠だ。

チームのプレースタイルとエクストランド医師の解説も一致します。

ちなみにマドリーでハムストリングをやってしまったのはスピード勝負に強いペペ、中盤で敵を激しく追い回すラス・ディアラ、そして数メートルのダッシュをもって決定的な仕事をするディマリアの3人である。

レアル・マドリーでハムストリングスを痛めたのも、スピードを武器にする選手だったそうです。

しかし、チームのプレースピードがハムストリング故障の原因となると、怪我の予防をするのは難しくなりそうです。

ハムストリング故障を予防するために、チームのプレースピードを遅くするという判断をすることはないでしょう。

現にここ30年間ハムストリング故障の割合は変わっていないとケガの予防のスペシャリスト、ジュルダン・メンディグチアはいう。

「いま行なわれているハムストリングのケガの原因調査は、リスクファクターを隔離しようとするものです。しかし、それではケガの全体像はわからない。我々の身体の中では力、可動性、安定性が互いに作用し合っているのです。ハムストリングのケガは多因性。だから、予防には選手を個別にチェックし、弱い部分を探し出す必要があります」

この部分でも書かれているとおり、ハムストリングのケガは様々な要素が組み合わさって出来ているため、ケガを予防するためには、各選手をチェックして、怪我しないようにトレーニングする必要があるようです。







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