「女性の腹囲は90センチ→77センチ」 メタボ基準を新たに提案/心血管疾患の高リスク女性の見逃しを大幅に減らす新たな基準とは?





心血管疾患発症高リスク者スクリーニングに最適化したメタボリックシンドローム(MetS)診断基準の修正案を作成(2024/3/8、新潟大学)によれば、日本国内の18-74歳の56万人の医療ビッグデータを分析し、MetS診断基準を構成する各項目(=ウエスト周囲長(WC)、血圧、血糖、血中脂質)の基準値を、実際に心血管疾患(虚血性心疾患、脳卒中)を起こしたか否かの結果に基づいて再設定し、それによる修正診断基準を作成したところ、日本国内の現行基準では9割見逃されていた、心血管疾患の高リスク女性を5割程度スクリーニングできるようになり、見逃しを大幅に減らせることがわかりました。

心血管疾患発症高リスク者スクリーニングに最適化したメタボリックシンドローム(MetS)診断基準の修正案を作成~56万人のビッグデータ解析により女性の心血管疾患高リスク者の見逃しが大幅減~

⼼⾎管疾患を予測するための最適値は、男⼥それぞれ、WC が 83cm と 77cm、トリグリセリド値が130 mg/dl と 90 mg/dl、HDL コレステロール値が 50 mg/dl と 65 mg/dl、⾎圧が 130/80 mmHgと 120/80 mmHg、空腹時⾎糖値が 100 mg/dl と 90 mg/dl でした。

修正新基準では、WCの他、血圧、トリグリセリド(中性脂肪)値、空腹時血糖値の基準値は現行より低下した一方、HDL(善玉)コレステロール値は上昇し、判定が全体に厳格化された結果、MetS該当者は、特に女性で大幅に増加した。

また、WCの基準値は、現行の男性85cm、女性90cmから、新基準では男性83cm、女性77cmへと大幅に修正され、さらにWCを必須にしてもしなくても心血管疾患予測能は変わらないこともわかりました。

■まとめ

メタボリック症候群の診断基準によれば、内臓脂肪の面積が100平方センチ以上になっている目安)またはBMI(25以上)が基準以上で、それに加えて

1.中性脂肪(トリグリセライド)150mg/dl以上かつ/またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)40mg/dl未満、

2.収縮期血圧(上の血圧)130mmHg以上かつ/または拡張期血圧(下の血圧)85mmHg以上

3.空腹時血糖110mg/dl以上

の脂質代謝、血圧、血糖の3項目のうち、2つ以上あてはまればhref=”https://www.hakuraidou.com/info/metabolic.htm”>メタボリックシンドロームだということになっています。

しかし、今回の研究によれば、女性の腹囲、血圧、トリグリセリド(中性脂肪)値、空腹時血糖値の基準は現行の基準よりも低い(緩い)もので、ただHDL(善玉)コレステロールの値は高く設定したところ、心血管疾患の高リスク女性の見逃しを防ぐことができることがわかりました。







【掲載誌】Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
【論文タイトル】Usefulness of New Criteria for Metabolic Syndrome Optimized for Prediction of Cardiovascular Diseases in Japanese
【著者】Yurie Yamazaki, Kazuya Fujihara, Takaaki Sato, Mayuko Harada Yamada, Yuta Yaguchi, Yasuhiro Matsubayashi, Takaho Yamada, Satoru Kodama, Kiminori Kato, Hitoshi Shimano, Hirohito Sone
【doi】10.5551/jat.64380