ユニセフ「子供の健康度ランキング」/日本は「身体的な健康度」は首位、メンタルヘルスは顕著な改善




ユニセフ「レポートカード19」先進国の子どものウェルビーイング コロナ禍後、急激に悪化 日本36カ国中14位  改善した指標も(2025年5月15日、ユニセフ)

今回の報告書では3つのことについて取り上げたいと思います。

1)新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けて、休校が3~12カ月間続いたことで、子どもの学力、特に読解力や数学の基礎的な学力が急激に低下していること

パンデミック後、多くの国で子どもの学力、特に読解力や数学の基礎的な学力が急激に低下したと報告書は警鐘を鳴らしています。休校が3~12カ月間続いたことで、多くの子どもが遠隔学習を余儀なくされ、学習損失につながりました。報告書によると、子どもたちが本来到達すべき学習習熟レベルからどの程度遅れているかは、平均して7カ月から1年と推定されています。

遠隔学習ではサポートしきれない部分があり、この部分こそが学校で学習する肝の部分なのではないでしょうか?

2)メンタルヘルスにおいて32カ国中14カ国で大幅に低下

報告書はまた、メンタルヘルスをめぐる懸念も提起しており、調査対象期間に子どもの生活満足度が落ち込み、データが入手可能な32カ国中14カ国で大幅に低下したことを指摘しています。日本は唯一この分野で顕著な改善が見られました。

日本のニュースでは『日本の子供「心の健康」下位低迷』とタイトルを書きがちですが、こちらの調査が相対評価でなければ改善方向にあることは喜ばしいことだと思います。

3)子どもの身体的健康に関するデータによれば、43カ国中14カ国で、過体重の割合が大幅に増えている

報告書はさらに、子どもの身体的健康に関するデータを分析し、データがある43カ国中14カ国で、過体重の割合が大幅に増え、長期的に増加傾向が続いていることを指摘しています。

日本は「身体的な健康度」は20年に続き首位なんですね。

ユニセフ・イノチェンティ レポートカード 16子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か【解説】日本の子どもに関する結果

日本の子どもの死亡率はとても低く(本文p.14 図 6)、これは、効率的な医療・保健制度を有していること、また、5 ~ 14 歳の子どもの主要な死因が事故であることを考えると、日本が安全面でもすぐれていて事故から子どもを守れていることも示しているでしょう。過体重・肥満については、多くの国でその割合が急増していますが、日本は 2 位に大きく差をつける 1 位で(本文 p.15図 7)、これは食習慣やライフスタイルなどによるものでしょう。

医療・保健制度があることにより子供の死亡率がとても低いこと、安全面で優れていること、日本の食習慣やライフスタイルがよいことが日本の身体的な健康度が高い理由のようです。

■まとめ

こうしたデータを見ると、日本は子供の身体的な健康を守る仕組みがすぐれている(不慮の事故が他国と比べて少ないことは安全面も優れている)が、メンタルヘルスの分野においては改善傾向にあるものの大きく改善の余地を残しているといえます。

自己肯定感を高めること、将来への希望があること、仲間がいることが解決策だと考えられますが、具体的にはどうしたらいいのでしょうか?

ネットワーク格差が機会の格差、健康格差、収入格差を生む!?|貧困や社会の不平等を減らすには、いかにネットワークにつないでいくかが重要!で紹介した「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著:ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)では次のように書かれています。

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

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マサチューセッツ州フレーミングハム出身の12万67人からサンプル集団を作り、その内の1020人を人間関係のつながりと本人の幸福度を比較した。

第1に、ネットワーク内では幸福な人は幸福な人同士で、不幸な人は不幸な人同士で群れを作っていた。

第2に、不幸な人はネットワークの周縁に位置するようだ。つまり、社会関係の連鎖の末端、ネットワークの外れに存在する傾向が高いのである。

人間関係と本人の幸福度の比較によれば、1.幸福な人は幸福な人同士で、不幸な人は不幸な人同士で群れを作る、2.不幸な人はネットワークの端っこに位置することが高いということがわかったそうです。

ネットワーク格差が機会の格差を生み、拡大する。実際、つながりの多い人が同様につながりの多い人とつながる傾向が社会的ネットワークの特徴であり、神経、代謝、機械、人間以外のネットワークなどと異なる点だ。
つながりの乏しい人達は、その友人や家族も大きなネットワークから切り離されていることが多い。
つまり、社会の不平等に立ち向かうには、肌の色や懐具合よりもつながりが重要であると認識しなければならない。
教育、健康、収入の格差に立ち向かうには、援助しようとする人の個人的つながりにも向き合わなければならない。※
貧困を減らすには、金銭の支給だけでは足りないし、職業訓練を加えてもなお不十分だ。困窮者が社会の他の構成員と新たな関係を築くのを助けるべきなのだ。ネットワークの周縁に的を絞って人々のつながりの再構築を促すのは、末端の恵まれない人たちだけでなく、社会の仕組み全体に手を差し伸べることになる。

ネットワークのつながりを意識することが大事で、より詳しく言えば、ネットワークの質と量を意識する、つまり、人生というのは幸せそうな人とつながりを増やしていくことが自身を幸せにする仕組みになってるんだよということなんだと思います。

マイインターン(the Intern)から学べること|人生を幸せに生きるには自分が大好きな人達が周りにいること

成功しているように見える人も皆と同じように悩んでいて、人生を幸せに生きるには、成功することでも、お金をたくさん持つことでもなくて、自分が大好きな人たちが周りにいることなのだということがわかります。

社会的にどんなに偉い人であっても、結局人間が悩むことは大小の違いはあっても同じようなことであるのだから、決して恐れる必要はないということ。

相手に対して敬意をもって接すれば、対等な立場でいていいのだと。

「オプションB」(著:シェリル・サンドバーグ)では、周りからすると順風満帆のように見える人生でも、失恋、挫折、人間関係のこじれ、仕事の失敗、突然の病、そして愛する人の死といった「最良の選択肢(オプションA)」ではなく、ある日突然「オプションB(次善の選択肢)」の選択を迫られることがあるとあります。

幸せになるには、幸せを手に入れるのではなくて、幸せを感じることのできる心を手に入れるという考え方にスイッチを切り替える

「人生の目的は幸福になることである」という考え方があります。

でもこの言葉の受け取り方を間違えると、幸せになるどころか、不幸になってしまうかもしれません。

それは、幸せになる=幸せを手に入れるという考えを持ってしまったら、常に幸せを追い求めてしまい、いつまでたっても幸せに対する不足を感じてしまうからです。

では「幸せになる」とはどのようにとらえればよいのでしょうか?

今ある幸せを感じることができれば、どんな時でも幸せなままでいることができます。

ないものを数えるのではなく、あるものを数える考え方です。

幸せは手に入れるものじゃなくて、今すでにあるものなのでしょうね。

カズレーザーさんは以前こう言っていました。

人間は理由を見つけては自身が不幸だと思おうとしてしまう
幸せの前提があるから不幸を見つけられる
頭いい人は不幸を見つけるのがうまい
(不幸から)目をそらす努力が大事

考えを不幸にフォーカスするのではなく、幸せにフォーカスすることが大事。

「ごはんがおいしかった」とか「褒められた」とか「メークの調子がいい」ということを積み重ねることが幸せな気持ちでいられる秘訣なのではないでしょうか?

幸せが見つけ上手な人は幸せな気持ちでいる時間が長いでしょうし、そんな人は魅力的で友達になりたいという人も多いでしょうし、結果的に幸せなネットワークができていくのだと思います。