妊娠中のカルシウム摂取が生まれた子の13歳時うつ症状に予防的であることを示す研究成果/愛媛大




世界初の研究成果!妊娠中カルシウム摂取が子の13歳時うつ症状に予防的論文発表

(2025年5月19日、愛媛大学)

13歳時873名の23.3%でうつ症状が認められました。妊娠中のカルシウム摂取が多いほど、13歳時うつ症状のリスク低下と関連していました。

愛媛大学が主導する共同研究チーム(東京大学)によれば、妊娠中のカルシウム摂取が生まれた子の13歳時うつ症状に予防的であることを示す研究成果を世界で初めて発表しました。

【参考リンク】

「健康型」及び「日本型」食事摂取パターンが妊娠中うつ症状と予防的な関連がある可能性|愛媛大によれば、妊娠中の「健康型」及び「日本型」食事摂取パターンが妊娠中うつ症状と予防的な関連がある可能性があるそうです。

これまでの我々の研究で、魚介類、ヨーグルト、海藻、大豆、魚介類由来 n-3 系不飽和脂肪酸、カルシウム、ビタミン D、イソフラボン及びマンガン摂取が妊娠中うつ症状と予防的な関連を認めました。

●牛乳

世界初! 妊娠中の牛乳摂取が、産後うつ症状の予防効果を示唆

(2016/6/16、愛媛大学)

総乳製品について、牛乳、ヨーグルト、チーズに分けて解析したところ、世界で初めて妊娠中の牛乳摂取が産後うつ症状に予防的であることを報告しました。カルシウムやビタミン D 摂取とは関連がありませんでした。

●ヨーグルト・カルシウム

研究によれば、ヨーグルトとカルシウムの摂取量が多いほど妊娠中の抑うつ症状の罹患率が低いことが示唆されています。

→ カルシウムの多い食品|カルシウム不足の原因 について詳しくはこちら

■まとめ

妊娠中の方は特に生まれてくる赤ちゃんのための栄養について勉強されていることだろうと思います。

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エピジェネティクスとは?意味|簡単にわかりやすくまとめました【入門編】【動画・論文・エビデンス】によれば、母親が食べたものや妊娠中に摂ったビタミン類、喫煙、家庭内や仕事場で受けたストレスは全て化学シグナルとして血流にのって発育中の胎児に到達するかもしれないそうです。

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マウスの実験では次のようなことがわかっているそうです。

  • アグーティ遺伝子(マウスを太らせ黄色にする、がんや糖尿病のような病気を引き起こすのではないかといわれている)の特徴はDNAを介して世代から世代へと遺伝していくので、アグーティ遺伝子を持つ母親はその子が同じアグーティ遺伝子を持っているなら太った黄色の病気になる傾向のある子どものマウスを生むことになると考えられる。
  • しかし、アグーティ遺伝子は不活性化エピジェネティック・マークが周囲に蓄積するとオフになる。
  • アグーティ遺伝子を持っている母親がエピジェネティック・マークを不活性化する食事を与えられたなら、それらのマークは化学的に胎児のDNAに伝えられて、アグーティ遺伝子の周りに蓄積し、アグーティ遺伝子をオフにする。
  • 胎児はその状態を保ち、そのマウスは成長しても、やせて茶色で健康

つまり、このことは、母親がDNAの全く同じ子供たちを持ったとしても、妊娠中に食べた食事や喫煙といった行動によって、子供たちの健康に違いが現れる可能性を示唆しています。

もう一つ、エピジェネティクスにおいて重要なポイントは、エピジェネティック・マークが伝搬するのは妊娠中の母親から胎児へだけでなく、マークが卵子/精子の遺伝子に定着すると、孫、ひ孫というように世代から世代へと遺伝することです。

つまり、このことはライフスタイルが数世代先の子孫に影響するかもしれないと考えられます。

スウェーデンとイギリスで長期にわたって行われた研究では、若い男性が精子の発育する思春期よりも以前に食べ過ぎたり、タバコを吸い始めると、息子や孫(息子)の寿命が短いという結果があるそうです。

【参考リンク】

これはエピジェネティック・マークが食事と喫煙行動によって変化し、次世代の将来の健康に影響したと考えられます。

今回の研究では妊娠中のカルシウム摂取が生まれた子の13歳時うつ症状に予防的であることがわかったのですが、妊娠中に食べた食事は将来の子供たちの健康に違いが現れるという証拠の一つになりそうです。

ママ自身の心と体の健康を大事にすることこそが将来の子供の健康にとっても重要ということなので、ぜひ今回の研究を参考にして、食事パターンをチェックしてみてはいかがでしょうか。