あるXの投稿が気になったので調べてみました。
簡単にまとめると、次の通り。
「8.5時間座りっぱなしの間に、45分ごとに10回のスクワットを行うことで、血糖値の調節が、30分のウォーキング1回よりも効果的に改善される。その秘密は、強力なシグナル分子である乳酸にある。それは、GLUT4トランスポーターを細胞表面に移動させるのを増加させ、血流からグルコースを筋肉に引き込むのを助ける。驚くべきことに、この効果は最大48時間持続する。」
このことに関連する論文はこちら。
【参考文献】
- Gao Y, Li QY, Finni T, Pesola AJ. Enhanced muscle activity during interrupted sitting improves glycemic control in overweight and obese men. Scand J Med Sci Sports. 2024 Apr;34(4):e14628. doi: 10.1111/sms.14628. PMID: 38629807.
■研究内容
18人の過体重・肥満の若い男性(平均21歳、BMI約28.8)を対象に、長時間の座りっぱなし(座りがちな生活)が血糖値に与える悪影響を、スクワットやウォーキングのような短い運動で中断した場合、1回の長いウォーキングより血糖コントロールに優れているかを調べたという研究です。
■結果
SIT(8.5時間連続で座りっぱなし)で血糖値が最も高く変動しました(10.2 mmol/L/h)。
ONE(座りっぱなしを30分のウォーキング(時速4km)1回で中断。)で 9.2 mmol/L/hに低下。
WALK(頻繁ウォーキング)とSQUAT(頻繁スクワット)ではどちらも7.9 mmol/L/hに低下し、ONEよりさらに効果的だった(約21%の血糖スパイク低減)。
その中でも、筋肉活動の強度が高いほど(特に四頭筋と臀筋のEMG振幅増加)、血糖制御が良くなった。
つまり、スクワットは筋肉をより強く活性化するため、ウォーキングより優位だった可能性があります。
■まとめ
長時間座りすぎの人は45分ごとにスクワットで中断すると、血糖値の調整が大幅に改善し、それが1回30分ほどの長いウォーキングより効果的であることがわかりました。
Xの投稿と該当の論文で気になるポイントは3つ。
1)対象は主に過体重男性であるため、すべての人に当てはまるかどうかはわかっていないこと
2)Xの投稿にある「乳酸」や「GLUT4」についてはこの論文では直接触れていないこと
運動後のインスリン感受性向上(GLUT4増加による)は、回復期に続き、最大48時間(または72時間)持続する。これは他の研究(例: 2週間の高強度インターバルトレーニングで血糖13%低下、GLUT4 369%増加)で確認されていて、48時間持続はこの知見に基づくもの。
【補足】
グルット4(GLUT4)は糖の保管に関わっている。
グルット4は筋肉の中にあるたんぱく質で、筋肉内に血液中の糖を取り込むという作用を持つ。
有酸素運動や筋トレといった筋肉の収縮を伴う運動をすることによって、インスリンなしで直接グルット4が活性化される。
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3)運動の効果ではなく、立ち上がる自体に血糖値コントロールに役立つ効果があるのではないか?
【#ガッテン】1時間座り続けると22分寿命が縮む!?耳石が動かないと自律神経や筋肉の働きが衰えてしまう!30分ごとに立ち上がってアンチエイジング!
耳石は、全身の筋肉や内臓・血管をコントロールしている自律神経とつながっています。
耳石が動いている状態だと、全身の筋肉や自律神経の働きが良くなることによって、心臓などの働きが良くなって血流がよくなったり、コレステロールや糖の代謝も良くなるそうです。
しかし、耳石があまり動かないと状態だと、全身の筋肉や自律神経の働きが衰え、免疫力低下、筋力の低下、循環機能低下、代謝の異常などが起きてしまうそうです。
定期的に運動していれば、「座る」と「立つ」に健康リスクへの差はない!?で紹介したエクセター大スポーツ健康科学部のメルビン・ヒルズドン(Melvyn Hillsdon)さんによれば、「座っていようが立っていようが、同じ姿勢で動かないことは、エネルギー消費が低く、健康に有害である可能性がある」そうです。
つまり、座る姿勢に問題があるということではなく、同じ姿勢で動かないことが健康にとっては良くないということなのです。
長時間座り続けることがなぜ健康に良くないのかということについて、これまでは体を動かす時間が少なくなることでエネルギー消費が減ってしまうためとか、座ることによって代謝に必要な仕組みがストップしてしまうためなどと考えていましたが、今回の放送で「耳石があまり動かないこと」が全身の筋肉や自律神経の働きが衰え、筋力の低下、循環機能低下、代謝の異常などが起こしてしまうということがわかりました。
耳石を効率よく動かす方法は「立ち上がること」なのだそうです。
立ち上がるという動作は、頭が前後左右上下に動くため、耳石を効率よく動かすことができるそうです。
研究によれば、32回立ち上がる動作をするとよいそうで、それを一日の中で計算をすると、30分ごとに立ち上がるとよいそうです。
※(一日(24時間)-睡眠時間(8時間))÷32回=30分
今回番組では、座る時間が長い方に30分に1度立ち上がることを2週間続ける実験を行なったところ、中性脂肪が15%減少・悪玉コレステロールが5%減少、善玉コレステロールが11%増加するという結果が出たそうです。
このことを参考にすると、大事なことは座りすぎがよくなくて、定期的に立ち上がることが健康にとって欠かせないことなのではないかと考えられます。
「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」