BBQといえば、やっぱり主役はお肉。
「この肉は強火で焼こう」
「表面を焼いてからじっくり火を通そう」
など、お肉の焼き方にはこだわるのに、野菜はというと、
切った玉ねぎ、ナス、ピーマンなどを網の空いているところに並べておく。
そんな焼き方になっていないでしょうか?
ところがXでBBQについて見ていたところ、
「野菜をそのまま焼くのではなく、オリーブオイルなどを塗ったり、蒸し焼きにしたりした方がおいしい」
という趣旨の投稿が話題になっていました。
確かに、野菜を切ってそのまま焼いていると、水分が抜けたり、焼き上がる前に表面が焦げたりすることがあります。
そこで気になりました。
世界ではBBQの野菜をどうやって焼いているのでしょうか?
調べてみると、野菜の焼き方にはいろいろな方法がありました。
1.オイルをまとわせて焼く
まずは、野菜にオリーブオイルなどの油をまとわせてからグリルする方法。
ナスやズッキーニ、パプリカなどをグリルするときに使われる定番の方法です。
野菜をただ網の上に置くのではなく、油を使いながら表面を香ばしく焼いていく。
BBQというと「炭火で焼く」というところにばかり興味が向きますが、
「焼く前に野菜をどう準備するか」
も、おいしさを左右するポイントなのですね。
2.ホイルで包んで「蒸し焼き」にする
もうひとつがホイル焼きです。
野菜をアルミホイルで包んで加熱すると、中では野菜から出た水分を利用した蒸し焼きのような状態になります。
直火で表面を焼くのとは違い、
野菜をやわらかく、ジューシーに仕上げたいとき
には面白い方法です。
玉ねぎやジャガイモ、キノコ類など、いろいろ試してみたくなります。
3.「切ってから焼く」のではなく、丸ごと焼いてみる
そしてもう一つ面白いのが、
「そもそも細かく切らない」
という発想です。
野菜を丸ごと、あるいは大きな状態のままじっくり加熱します。
BBQインストラクターが紹介する方法にも、皮付きの野菜を丸ごと、遠火でじっくり焼くという方法があります。内部の水分を逃がしにくくして仕上げる考え方です。
実はハクライドウでも以前、「フライパンで焼きナスの作り方・レシピ/なすは丸ごと加熱する」という記事を紹介しています。
一方で、野菜を「切って焼く」ことにも利点があります。
Weberでは、野菜を切って網との接触面を大きくすることで、グリルによる風味を引き出す方法を紹介しています。
つまり、
「切るか、丸ごとか」も、野菜や食べたい仕上がりによって変えていい。
ということなのかもしれません。
4.そして、加熱すると野菜の「うま味」にも変化が起こる?
さらに面白い研究があります。
「野菜の加熱にともなうグアニル酸の生成」という研究では、ナスを蒸し加熱したところ、うま味に関係する「グアニル酸」が100gあたり0.65mgから1.70mgへ増加しました。
さらに、トマト、ニンジン、ダイコン、ネギ、ホウレンソウでも、蒸し加熱に伴うグアニル酸の増加が確認されています。
つまり野菜を加熱するというのは、単に「硬いものを柔らかくする」だけではなく、味に関係する成分にも変化が起きているということです。
5.「野菜は水分を逃がしたらダメ」とも限らない
ここが今回調べていて特に面白かったところです。
野菜をジューシーに仕上げるなら、水分を逃がしにくくする方法があります。
ところが、それだけがおいしい焼き方ではありません。
先ほどの研究では、調理用トマトを250℃のオーブンで15分加熱すると約24%重量が減少する一方、グアニル酸は100gあたり1.10mgから1.77mgへ増加しました。
研究では、水分が失われることによる呈味成分の濃縮に加え、グアニル酸の生成も確認しています。
となると、
「野菜=水分を逃がさず焼けばおいしい」
と単純には言えそうにありません。
水分を保ちながらじっくり火を通す。
オイルをまとわせて表面を香ばしく焼く。
あえて焼いて水分を減らし、味を濃縮させる。
野菜によって、そしてどんな味や食感にしたいかによって、焼き方を変える。
これがBBQをもっと楽しむポイントなのではないでしょうか。
6.スペインでは「焼き野菜」そのものが料理
世界に目を向けると、野菜を焼くこと自体を楽しむ料理もあります。
例えばスペイン・カタルーニャ地方のエスカリバーダ(Escalivada)。
ナスやパプリカ、玉ねぎなどを焼いて作る料理です。
BBQで、
「お肉の横で、とりあえず野菜も焼いておこう」
とするのとは発想が違います。
野菜をどう焼けばおいしくなるのか。
それ自体が料理なのです。
BBQでは「この野菜をどう焼こう?」と考えてみよう
今回調べてみて感じたのは、
BBQでは肉の焼き方だけでなく、もっと野菜の焼き方にもこだわってみると面白い
ということでした。
例えば、
香ばしさを楽しみたいなら、オイルをまとわせてグリル
水分を逃がしにくくしたいなら、大きいまま・丸ごとじっくり加熱
やわらかくジューシーにしたいなら、ホイルで蒸し焼き
焼くことによる味の濃縮を楽しむ
など、ひと口に「野菜を焼く」といっても考え方はいろいろあります。
何でも同じ大きさに切って、全部同じように網に並べる必要はないんですね。
ナスならどう焼こう?
玉ねぎなら?
トマトなら?
パプリカなら?
そんなふうに、肉だけでなく一つひとつの野菜に合った焼き方を考えてみる。
それだけで、いつものBBQがちょっと違う料理になるのではないでしょうか。
「BBQの野菜=肉の付け合わせ」から、「今日は野菜をどう焼こう?」へ。
次のBBQではぜひ、野菜の焼き方にもこだわってみてください。
【参考文献・関連記事】
堀江秀樹「野菜の加熱にともなうグアニル酸の生成」日本調理科学会誌 Vol.45, No.5, 346-351(2012)
ハクライドウ 「フライパンで焼きナスの作り方・レシピ/なすは丸ごと加熱する」
「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」
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