産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~|NHKスペシャル

Baby schwimmen

by Thomas Grunert(画像:Creative Commons)

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2012年6月23日放送のNHKスペシャルでは、「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~」が取り上げられました。

6組に1組が不妊に悩んでいるそうです。(※妻50歳未満の初婚夫婦 2010年国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば)

また、体外受精は年間21万件で、世界最多となっています。

急増する不妊の増加の原因は、「卵子の老化」。

年をとると、卵子の質が低下するのです。

しかし、不妊治療を行う女性の中には、卵子が老化するという事実を知らない人も多いようです。(女性の不妊原因「卵子の老化」が約半数

ジャッキー・ボイバン教授 (カーディフ大学)によれば、

日本は不妊についての正しい知識が不足している上に、不妊について話すことすら避けてきており、そのことが不妊を次々に生んでいる。

とコメントしています。

■体外受精と卵子の老化

卵巣の中に卵胞があり、卵胞の中に卵子が入っています。

専用の針で吸い出し、素早くシャーレの上に移します。

※年齢を重ねると、卵子のない空の卵胞が増えてしまいます。

見つかれば、夫の精子と受精させます。

卵子の老化による影響が出るのはこのあとです。

20代の女性の受精卵は、活発に細胞分裂を繰り返し、やがて胎児へと成長していきます。

30代後半からの女性の受精卵は、成長が止まってしまうことが増えていきます。

体外受精など不妊治療で出産できる確率は、35歳で16.8%、40歳で8.1%、45歳では0.5%に低下します。(日本産科婦人科学会 2009年)

卵子は女性が生まれた時から体の中にあります。

男性の精子が日々生み出されるのに対し女性の卵子は新しく作られません。

女性が年令を重ねるほど、数が減少し、質も低下するのです。

■不妊と女性の社会進出との関係
  • 女性が社会進出した時代は結婚・出産することがはばかられる時代。
  • 就職氷河期でようやく手にした正社員の座を簡単には手放せない。
  • 20代は仕事で、30代は大きな役割を担うようになり、結婚・出産を先延ばしにしてしまった。
■不妊とパートナーとの関係

夫が不妊に向き合わないことがさらに女性を追い詰めているという現状が浮かび上がってきた。

  • 体の不調・精神的負担をパートナーが理解してくれないと悩む女性。
  • 不妊は女性が原因と思っている男性も多い。
    男性はもし自分に原因があったらということを恐れてしまい、不妊治療が遅れてしまう。

WHO(世界保健機関)によれば、「不妊の原因の半分近くは男性」にあるそうですが、自分に置き換えて考える男性は少ないようです。

 ■不妊は世界的に問題になっている

不妊に悩む夫婦は1億8600万組と推計されるそうです。

その中でも日本の状況は際立っており、40歳を超えた患者の割合は約30%で、他の先進国の2倍から4倍になっています。

■日本とフランスの不妊治療制度の比較

フランスは治療費の支援が全額(保険)ですが、年齢制限が42歳までとなっています。

日本は治療費の支援は一部(助成)で、年齢制限はありません。

フランスでは、時期を限って手厚くサポートすることでできるだけ早く不妊と向き合うように促しているようです。

また、男性もともに検査を受けないと、保険が適用されないそうです。

■男性が原因の不妊の治療法

micro-TESE(MD-TESE)という治療法は男性の精巣を切り開き、わずかに作られている精子を顕微鏡で探し出します。

※番組で紹介されたのは、山口大学医学部附属病院 白石晃司医師

以前、卵子老化の衝撃。35歳を超えると妊娠が難しくなる。|NHKクローズアップ現代が話題になりましたが、今回は男性にも目を向けた内容となりました。

不妊の原因の半分は男性にあり、不妊の原因の大半は精子の質が問題となっています。

片方だけが問題を抱えるのではなく、こうしたことを一緒に考え、そして、もう少し早い時期にこうしたことを夫婦で考える機会を持っていかないといけないと思います。

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