■ジャンプ、スプリント、スクワット、ウエイトリフティング前のストレッチはパフォーマンスを低下させる!?
by Håkan Dahlström(画像:Creative Commons)
(2013/4/6、IRORIO)
運動前にストレッチをすると、ジャンプ力が低下し、全速力で走るタイムが落ちてしまうのだという。なお、ストレッチによる怪我の頻度に違いは見られなかったとしている。
<中略>
論文の記述によると、ウエイトリフティングをする前にストレッチをした場合、しなかった場合と比べて、筋力の低下と、それによる“ぶれ”が見られたらしい。後日、クロアチアで行われた再実験では、運動前ストレッチで筋力が5.5%も低下し、特に90秒以上もストレッチを続けた場合にはそれが顕著に現れたのだという。
<中略>
別の研究グルーブは、バーベルを持ちながらのスクワットで実験したようだが、結果は上述と同様だ。面白いのは、被験者がストレッチをした後、同じように“ぶれ”を感じ、不安定になったとレポートされていることである。
常識が常識でなくなるということはこれですね。
ケガを予防するためにも、筋肉をより良く動かすためにも、運動前にはストレッチが欠かせないと思っていましたが、今回の記事によれば、ストレッチによってパフォーマンスが低下することがわかったそうです。
■ストレッチによってなぜパフォーマンスが低下してしまうのか?
考えられる理由としては、ストレッチは確かに筋肉や腱をほぐしてくれるが、それはもしかしたらのびのびになってしまった“古着のゴム”のように、筋肉の伸縮率を低下させてしまうのではないか、というのが研究者の見解だ。
筋トレ前のストレッチは逆効果?によれば、ヨガのように一つ一つの筋肉をじっくり伸ばして静止する静的ストレッチの場合、副交感神経を優位にすることで筋肉が弛緩してしまい、筋肉のパフォーマンスが落ちてしまうため、筋トレには逆効果なのだそうです。
ただ運動前のストレッチは全ての運動にとって必要がないわけでは無さそうです。
今回の研究は強度パフォーマンスやパワーパフォーマンスを試されるものばかりで、持久力を試されるものではなかった。
運動前のストレッチが要らないと考えられるのは、ジャンプ、スプリント、スクワット、ウエイトリフティングであり、持久力が必要とされるマラソンであったり、柔軟性が必要なダンスのような運動には効果的という意見があるそうです。
→ 筋トレ前にヨガのような「静的ストレッチ」をすると逆効果になる?【エビデンス・論文紹介】 についてくわしくはこちら
【エビデンス・論文】
- Barroso R, Tricoli V, Santos Gil SD, Ugrinowitsch C, Roschel H. Maximal strength, number of repetitions, and total volume are differently affected by static-, ballistic-, and proprioceptive neuromuscular facilitation stretching. J Strength Cond Res. 2012 Sep;26(9):2432-7. doi: 10.1519/JSC.0b013e31823f2b4d.