by Ernie(画像:Creative Commons)
シェリー・タークル 「つながっていても孤独?」というTED TALKを見て、目の前にいる人とのコミュニケーションを大事にしよう。では次の動画を思い出しました。
このショートムービーはスマートフォンを持っていない女性とその周りにいる人の生活を映し出しています。
大事なのは今目の前にいる人のはずなのに、周りの人はムービーをとったり、写真を撮ったり、SNSをしたりして、目の前にいる人をないがしろにしています。
目の前にいる人を楽しませることをしないでおいて、「現代は孤独だ」と嘆くのはなんだか矛盾しています。
そんな中、「スマホ断ち」をする人やスマホやめると報酬が出る会社が出てきました。
セレブの間で「スマホ断ち」が流行るワケ
内容をざっくりまとめると、常にスマホがつながっているということは、上司、同僚、家族などに、いつでも応じられるようにしなければというような強迫観念となり、大事なプライベートな時間を失うことになってしまうので、スマホ断ちをする人が増えているということみたいです。
スマホやめると報酬が出る会社という会社も出てきましたが、脱スマホを推進するのは、社員同士のアナログなコミュニケーションを活発化させるのが狙いなのだそうです。
ケータイ・スマートフォンが普及するようになってきて、空き時間には、常にスマホを操作している人が増え、ついには、「スマホ依存」という言葉までできたほどです。
ケータイ・スマホが出来る前までは空き時間に何をしていたのか思い出せないくらいですね。
確かに、スマホは使いようによっては、大変便利ですよね。
情報収集をしたり、ちょっとしたメールを返信したり、アプリでコミュニケーションをしたり、暇な時にはゲームをしたり、などなど。
しかし、便利な半面、常にスマホを見続けるようになり、コミュニケーションが減少してきたという意見もあります。
そこで、今回考えたことは、「スマホが普及したことで失ったものとは何か」ということです。
- 孤独な時間
スマホで常につながっている中で、そうした孤独なプライベートな時間が全くなくなっています。 - 相手との関わり方を考える時間
97%の大学生が場の空気を読んで、自分の意見を言わないことがある!?そうです。
場の空気を読むということが重視されていますよね。場の空気を読むということは大事な能力だと思いますが、その能力は間違えてしまうと、自分の感情を押し殺し、相手に合わせようとすることで無理を重ね、ストレス感を強めていくのではないでしょうか。
内省する時間を作り、「大切にする自分」とは何か、「譲れない一線(美意識)」を自覚し、どこまで他者に合わすことができるかということを考えることが重要になるのです。 - リアルのコミュニケーション
ちょっと暇な時間があったとき、昔は何をしていたかなと考えると、おしゃべり(雑談)だったのではないでしょうか。雑談は内容自体は全く意味のないものがほとんどかもしれませんが、それこそがその人自身を作り上げているような感じもします。そして、その雑談が大事なコミュニケーションなのではないでしょうか。 - 読書の時間
コミュニケーションツールやアプリ(ゲームアプリ)などがその代替する時間となっていると思います。ひとまとまりの文章を読む機会を失うことで何かを失っているのではないかと思います。
「マリアビートル」(著:伊坂幸太郎)にはこう書かれています。「本を読み、内容を噛み砕く事で、語彙が増え、知識が増え、いっそう読解力が増した。本を読む事は、人の感情や抽象的な概念を言語化する力に繋がり、複雑な、客観的な思考を可能にした。」本を読むことを通じて、他人の感情を慮ることや自分にはこんな感情があるんだということに気づき、そして、著者が経験したことから学ぶこともできます。新品価格
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(2017/3/29 15:21時点) - 考える時間
「魔王」(著:伊坂幸太郎)の中に『おまえ達のやっていることは検索であって、思索ではない-。』
という台詞があります。
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(2017/3/29 15:22時点)この台詞を読んだ後、何かわからないことがあったらすぐに検索してしまいその情報が本当にあっているのかどうか考えることなくわかったような気になっているなと思わされました。
情報を仕入れることは大事ですが、それを自分の考えにするのには、長い時間がかかります。【追記(2014/9/20)】
静かに横たわって、のんびりして、待っていること、しんぼうすること―だが、それこそ、考えるということではないか!
ニーチェ(ドイツ)静かに横たわって、のんびりして、待っている時間は決して無駄な時間ではなく、考えるための必要な時間ともいえるのではないでしょうか。
【!追記終わり】
- ぼーっとする暇な時間
暇な時間はコミュニケーションツールやゲームアプリで埋めてしまっていないでしょうか。
暇で暇で何もすることがないと思うからこそ何かに興味を持つ知的好奇心を生み出してくれるのではないでしょうか。
■まとめ
「錯覚の科学」(著:クリストファー・チャブリス ダニエル・シモンズ)にはこう書かれています。
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テクノロジーのおかげで、人は能力の限界を超えることができる。だが、どんな機械にも限界がある。それを私たちが認識して、はじめて機械は役に立つ。テクノロジーの限界を誤解すると、機械のせいで私たちは周りのものに気づきにくくなってしまう。
LINE、Facebook、Twitterといったコミュニケーションツールというテクノロジーの進歩によって、人間は遠くにいる人といつでもどこでもつながることができ、いわば能力の限界を超えることができました。
しかし、遠くにいる人といつでもどこでもつながることができるというのに、現代人は孤独で悩んでいます。
それは、コミュニケーションの本質を見失っているからです。
楽しいことを共有するだけの友人が何百人いるよりも、悩んだときに相談でき、困ったときには駆けつけてくれる親友が一人いる方が大事だとは思いませんか。
あの時は大変だったけど、今思うと何だったんだろうねーと泣きながら笑いあえる関係はどんなに素晴らしいことでしょう。
浅くて広い人間関係は社会生活を送る上で必要だとは思いますが、深くて狭い人間関係はその人の幹となる欠かせないものです。
どんなにささいなことでも、つまらないことでも、口ごもってしまうことでも、会話をしましょう。
P.S.
北極観測に行っていたため、強制的にネットから1ヶ月も隔離された人の感想を読んでみると、常に情報を集め続ける必要がないことがわかります。
【参考リンク】
そして気づくのは、どれほど速くひとつの話題が消費され、吟味されつくされることなく次に移ってゆくのかという、スピードの速さでした。
ぱっと燃え上がる花火のように、一つ一つの話題はどうやら数日間から一週間は関心を集めていたものの、すぐにツイッターのトレンドからもきえて観測不能な領域に消えていきます。どんな大きなニュースでもそうでした。
それは現在の情報流通の効率の良さを表していることでもあり、かつ、どれだけスルー可能な情報が溢れているのかということの示唆でもあります。
私みたいな人間には100%のネット断ちはとてもつらいものがあるのですが、だからといって全ての話題に目を配ろうと情報収集ツールにすべてを集め続ける必要もないということがあらためてわかりました。
P.P.S
PCやスマホから離れて4日間自然の中で過ごすだけで想像力がアップする?そうです。
刺激の多い環境ほど脳の働きが活発になる仕組みが解明によれば、刺激の多い環境ほど脳の働きが活発になる(海馬の神経細胞の成長を促す)仕組みが解明されたそうです。
自然という環境は、五感を通して様々な刺激を与えてくれます。
つまり、PCやスマホから離れて自然の中で過ごすと、想像力がアップするというのは、ごく自然なことといえるのではないでしょうか。
■参考文献
- 「マリアビートル」(著:伊坂幸太郎)
- 「魔王」(著:伊坂幸太郎)
- 「孤独力」(著:津田和壽澄)
- 「錯覚の科学」(著:クリストファー・チャブリス ダニエル・シモンズ)
孤独力―人間を成熟させる「ひとりの時間」(ソリテュード・タイム) (こころライブラリー) 中古価格 |
【追記(2014/10/5)】
あなたの思考力、言語能力、身体能力、ほとんどが「人とつながっていない時間」に培われるよ。「人とつながる」のは独りの時間に種を蒔いた収穫だと考えましょう。ずっとつながっていると土は痩せます。
— 田中泰延 (@hironobutnk) 2014年5月11日