石黒浩さん(アンドロイド研究第一人者)が考える20年後の未来とは?


The Future Is Here

by Alisa Perne (Alisa26)(画像:Creative Commons)




「家族という概念が人類を悲惨にした」 チームラボ猪子氏が語る、現代のつながりがもたらした不幸とは

(2014/12/23、ログミー)

■石黒浩(アンドロイド研究第一人者)が考える20年後の未来とは?

僕は、哲学的になると思ってるんですよ。

<中略>

技術によって人間の定義が変わると同時に生活は楽チンになるわけですよね。楽チンになればなるほど、自分に問いかける時間が出てくると。技術によって進化した自分の生活とか自分の体とか、そういったものを見ながら自分について考えるっていうのが未来だと思ってて。

ロボットやテクノロジー、人工知能が進化していくにつれて、人間の生活は楽になっていくと予想されます。

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そうなると、時間にも余裕ができて、今まで考えてこなかったことについても考えるようになり、哲学的になるだろうというのが、石黒さんの考える数十年後の未来です。

哲学的になることがいいかどうかは別として、この数十年後の未来というのは、数十年前の感覚に近いのではないでしょうか。

つまり、ケータイ・スマホ・SNS・コミュニケーションアプリができる前の時代です。

つながっていても孤独?|つながりすぎることで失ったものとは何か?では、「スマホが普及したことで失ったものとは何か」について書きました。

  1. 孤独な時間
    スマホで常につながっている中で、そうした孤独なプライベートな時間が全くなくなっています。
  2. 相手との関わり方を考える時間
    97%の大学生が場の空気を読んで、自分の意見を言わないことがある!?そうです。
    場の空気を読むということが重視されていますよね。場の空気を読むということは大事な能力だと思いますが、その能力は間違えてしまうと、自分の感情を押し殺し、相手に合わせようとすることで無理を重ね、ストレス感を強めていくのではないでしょうか。
    内省する時間を作り、「大切にする自分」とは何か、「譲れない一線(美意識)」を自覚し、どこまで他者に合わすことができるかということを考えることが重要になるのです。
  3. リアルのコミュニケーション
    ちょっと暇な時間があったとき、昔は何をしていたかなと考えると、おしゃべり(雑談)だったのではないでしょうか。雑談は内容自体は全く意味のないものがほとんどかもしれませんが、それこそがその人自身を作り上げているような感じもします。そして、その雑談が大事なコミュニケーションなのではないでしょうか。
  4. 読書の時間
    コミュニケーションツールやアプリ(ゲームアプリ)などがその代替する時間となっていると思います。ひとまとまりの文章を読む機会を失うことで何かを失っているのではないかと思います。
    「マリアビートル」(著:伊坂幸太郎)にはこう書かれています。

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    「本を読み、内容を噛み砕く事で、語彙が増え、知識が増え、いっそう読解力が増した。
    本を読む事は、人の感情や抽象的な概念を言語化する力に繋がり、複雑な、客観的な思考を可能にした。」
    本を読むことを通じて、他人の感情を慮ることや自分にはこんな感情があるんだということに気づき、そして、著者が経験したことから学ぶこともできます。

  5. 考える時間
    「魔王」(著:伊坂幸太郎)の中に

    『おまえ達のやっていることは検索であって、思索ではない-。』

    という台詞があります。

    魔王 (講談社文庫)

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    この台詞を読んだ後、何かわからないことがあったらすぐに検索してしまいその情報が本当にあっているのかどうか考えることなくわかったような気になっているなと思わされました。
    情報を仕入れることは大事ですが、それを自分の考えにするのには、長い時間がかかります。

    静かに横たわって、のんびりして、待っていること、しんぼうすること―だが、それこそ、考えるということではないか!
    ニーチェ(ドイツ)

    静かに横たわって、のんびりして、待っている時間は決して無駄な時間ではなく、考えるための必要な時間ともいえるのではないでしょうか。

  6. ぼーっとする暇な時間
    暇な時間はコミュニケーションツールやゲームアプリで埋めてしまっていないでしょうか。
    暇で暇で何もすることがないと思うからこそ何かに興味を持つ知的好奇心を生み出してくれるのではないでしょうか。

時間に余裕ができて、暇になることによって、人は考えるようになるのではないかというのが石黒さんの予測ですが、もしかすると、全く考えなくなる人も生まれるかもしれません。

現代の人の生活は、暇であったり、すきま時間があることを嫌い、また、常にだれかとつながっていたいと思っています。

つまり、ロボットやテクノロジー、人工知能によってもたらされた時間をそのまま現在すきま時間を埋めるために行なっていることに費やす人も出てくることが予想されます。

■まとめ

数十年後の未来は、時間が増えることによってより哲学的になる人とそうでない人に分かれる。







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