企業の人材採用にAI(人工知能)が使われる時代になっている!?|採用に関するアルゴリズム自体に間違った採用基準が埋め込まれていたらどうなるか?

Alex France - Uni interview today at Huddersfield [Day 23]

by Alex France(画像:Creative Commons)




■企業の人材採用にAI(人工知能)が使われる時代になっている!?

面接官の主観よりもコンピューターの客観性を!? 企業の人材採用にAI(人工知能)が使われる時代に

(2015/7/2、現代ビジネス)

求人(企業)側と求職(人材)側のデータを大量に集め、それらを機械学習で解析することにより、企業が求める技能や経験を持つ人材を自動で推薦する。

記事によれば、企業の人材採用に人工知能が使われるようになっているそうです。

【参考リンク】

なぜ企業の人材採用に人工知能(AI)を使うところが出てきたのでしょうか?

理由としては、2つ。

1つは、人工知能は主観的な要素に左右されないから。

求職者の第一印象や面接官との相性など主観的な要素に左右されることが多かった。

第一印象は何秒で決まる?によれば、「第一印象 秒」で検索してみると、1秒、2秒、3秒、6秒、7秒、10秒、15秒、30秒とほぼ30秒以内で、中には、0.1秒というものもありました。

つまり、人は会ってすぐにその人の印象を持つということであり、その印象を覆すのは難しいようです。

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もう一つは、「多様性(diversity)」が重視されているから。

人間の面接官の場合、どうしても自分と似たような経歴や文化的背景、あるいは価値観や考え方などを持つ人材を採用してしまう傾向が強いが、コンピュータにはそれがないからだ。

意見共有で「集合知」が低下:研究結果によれば、集団は最初のうちは『賢い』のですが、他者の推測など社会的影響があると、意見の多様性が狭まり、集合知が低下するのだそうです。

創造性には多様性が必要だといわれています。

「ハイコンセプト(著:ダニエル・ピンク)」の中でMIT ニコラス・ネグロポンテさんの言葉が紹介されています。

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

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「技術面での行き詰まりが、技術者でない人によって解消されることはよくある。そのような場合には、IQよりも全体像を捉える力のほうが重要だからである。思考を大きく飛躍させられる能力は、画期的アイデアの発案者に共通して見られる特徴だ。非常に広いバックグラウンドと総合的な知力を持ち、幅広く多様な経験を積んできた人に、このような能力の持ち主が多い」

例えば、技術者でない人が技術面の行き詰まりを飛び越えるきっかけとなることもあります。

そのためには、様々なバックグラウンドの人材を集める必要があるのです。

なぜ企業はジェンダーダイバーシティ(男女の多様性)を重要視するようになったのか?|ACCENTURE、2025年までに社内男女比「50対50」にによれば、アクセンチュアは男女の多様性(ダイバーシティ)や平等(賃金格差を縮めることなど)について考えており、その実際の行動として、2025年までに社員の男女比を50対50にすると発表しました。

なぜアクセンチュアはダイバーシティ(多様性)を重要視するようになったのでしょうか?

「How Google Works」(著:エリック・シュミット ジョナサン・ローゼンバーグ)

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「いい人ばかり」の職場は均質的なことが多く、職場の均質性は悪い結果を招きやすいからだ。視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、極めて効果的な政策だ。

社会学者のセドリック・ヘリングによれば、人種のダイバーシティと売上高、顧客数、市場シェア、利益の増加には相関があることを発見しています。

職場の均質性は悪い結果を招きやすく、視点の多様性で会社が近視眼的になるのを防ぐと考えられます。

もう一つは、クリエイティブな人材をひきつけるには多様性に対して開放的な環境である必要があるということです。

「クリエイティブ資本論」(著:リチャード・フロリダ)

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経済競争力を持ちたいと望むコミュニティには、むしろ真に開放的で包容力のある人的環境が必要である。

それはクリエイティブ・クラスのみならず、アメリカ社会そのものを構成している多様な人々を引きつけることなのである。

すでに移民やボヘミアンを引きつけること、そしてゲイを含めたあらゆる類の多様性に対して開放的な場所になることの重要性を示してきた。

優秀なクリエイティビティを発揮する人材が求めるものは、思考の多様性であり、寛容さがあるところです。

わかりやすい例えでいえば、大学のような雰囲気でしょうか。

大学は、クリエイティブ・クラスを惹きつけ、抱えておくのに役立つような進歩的、開放的、そして寛容な空気を作り出すことにも一役買っている。ゲイやその他のアウトサイダーの居場所でもあり続けた。

新しいものが学べたり、いろんな人々がいることを許される雰囲気がある場所というのは、自然とクリエイティブな人々をひきつけてしまうものなのでしょう。

そのコミュニティがどれだけ開放的であったり、クリエイティブな人たちが集まっているのかを示す指標として、ゲイ指数やボヘミアン指数というものがあるそうです。

●ゲイ指数

ゲイコミュニティへの開放度は、クリエイティビティを喚起しハイテク産業の成長を促す人的資本への垣根が低いかどうかのよい指標となりうる

●ボヘミアン指数

作家、デザイナー、ミュージシャン、俳優、映画監督、画家、彫刻家、写真家、ダンサーなど芸術を職業とする人口の比率を測定するもの

つまり、多様性があるということは、視点の多様性で会社が近視眼的になるのを防ぐことにつながり、クリエイティブな人々を惹きつけることにつながるのです。




■企業の人材採用にAI(人工知能)が使われる時代になっている!?

1つは、人工知能は主観的な要素に左右されないため、もう1つは、「多様性(diversity)」のある採用をするため、人工知能で人材採用をするというのは良い方法といえそうです。

しかし、気になる点も一つ。

どんなに優秀であり、多様性の要件を満たす人物であっても、一緒に仲間として働くことができるかどうかというのは重要な要素なのではないでしょうか。

それを人工知能が判断できるのかどうか。

それができるようになると、本当に人事は人工知能が行なうようになるかもしれません。

【追記(2017/10/7)】

機械学習で解析すると、偏見がなくなるため、多様性のある人材を採用できると紹介しました。

しかし、その採用に関するアルゴリズム自体に間違った採用基準が埋め込まれていたらどうでしょうか?

CATHY O’NEIL The era of blind faith in big data must end

配慮もなく やみくもに アルゴリズムを適用しても 物事は公平にはならないんです アルゴリズムは公平を生みません 過去の行為や行動パターンを 繰り返し 自動的に現状を維持するだけです この世界が完璧なら それでいいんでしょうが そうではありません さらに付け加えると ほとんどの企業は みっともない裁判を抱えている訳ではありませんが こういった企業にいる データサイエンティストは 正確性に焦点を当て データに従うよう指示されています その意味を考えてみましょう 誰でもバイアスを持っているので アルゴリズムに性差別や その他の偏見が コード化されている可能性があります

キャシー・オニールさんによれば、人材採用プロセスを機械学習アルゴリズムに替えたとして、その成功の基準を「4年在職して最低1回は昇進していれば成功」というものにした場合、バイアスのかかった過去の人事・採用のデータを参考にするため、女性が選ばれない可能性が高いそうです。

アルゴリズムとはプログラムに 埋め込まれた意見なのです これは ほとんどの人が持つ アルゴリズムのイメージとはかけ離れています 人々はアルゴリズムが客観的で正しく 科学的なものと思っていますが それはマーケティング上のトリックです アルゴリズムで人を怯ませるのも マーケティングのトリックですし アルゴリズムを信用させたり 恐れさせたりするのもそう 皆 数学を恐れつつ信用していますから ビッグデータを盲信すると いろいろな問題が生じかねません

「人工知能(AI)や数学は間違えることはない」というわけではなく、人間がプログラミングをしている場合には、アルゴリズムには、何らかの偏見が埋め込まれていたり、その人(企業)自身の倫理基準が反映されたものになる可能性があるわけです。

オーケストラのブラインドオーディションのように、誰が演奏しているのかわからない状況で、ただどんな演奏をしているのかだけをチェックするような採用基準を設けるというのも一つの方法でしょう。

ただ、先述したように、「どんなに優秀であり、多様性の要件を満たす人物であっても、一緒に仲間として働くことができるかどうか」というのも重要な要素だと思いますので、それだけを採用基準にするのも難しいでしょう。

公平性のある採用をするために人工知能を採用するというのは一見正しそうに思えますが、誤った採用をする可能性があることを知っておかなければなりません。

ビッグデータや機械学習と聞くと、信用してしまう人(私もその一人です)ので、常にその基準にはチェックが必要なことを覚えておく必要がありますね。







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