人工知能「Watson」に医療画像解析を追加|IBM、Merge Healthcareを10億ドルで買収


A Computer Called Watson

by Atomic Taco(画像:Creative Commons)




これは医療革命が起きそう。IBMが膨大な医療画像を人工知能「ワトソン」に追加

(2015/8/11、ギズモード)

今週IBMは医療画像の会社である「Merge Healthcare」を10億ドル(約1200億円)で買収したと発表しました。

<中略>

IBMはさらなるステップとして画像認識に力を入れていて、膨大な医療画像の分析と病歴や治療、投薬計画の情報とを組み合わせて診断の手助けをします。

IBMはMerge Healthcareを10億ドルで買収し、Watson Healthに医療用画像解析を加える予定

(2015/8/7、TechCrunch)

Mergeの技術は、アメリカ中の7500の医療機関で使用されていると、IBMは情報を開示した。同社はこれまで合計300億ものレントゲン写真、MRI、CTスキャン画像を解析してきた。日に日にその数字は増えている。IBMの研究者は、現在の医療データの90%は画像形式であると推測している。

<中略>

レントゲン技師が扱う画像の数は、ここ20年から25年の間に100倍にもなり、医師の中には一日10万の画像を見る場合もある。全ての画像情報を処理し、正しい診断を行うには、患者のこれまでの医療記録、研究データ、更には遺伝子情報と照らし合わせる必要がある。

2つの記事から読み取ると、IBMは、医療用画像解析技術をMerge Healthcareを買収することで、Watsonに医療画像分析の機能を追加しようとしていると思われます。

■Watsonに医療画像解析を加える理由

医療従事者は、膨大な数の情報(最新の医療研究、論文、医療データ、患者の医療記録)を取り扱っていて、すでに人の頭脳では把握することができないほどなのだそうです。

そこで、注目を集めているのが、人工知能で医師や患者をサポートするシステムであり、その代表的なものがWatsonです。

IBMの「WATSON」によってがん治療がスピードアップする!?で以前紹介しましたが、Watsonは膨大な量の医療データや論文などのデータベースが格納されており、患者のデータを高速で解析し、医療データを照らし合わせることで、患者に最も最適と思われる治療方針を提案することで、医師や患者が意思決定の支援をするシステムです。

さらに、このWatsonをよりよくするために医療画像解析の機能を追加する必要があったのでしょう。

様々な企業が人工知能を活用したシステムを研究しており、例えば、ディープ・ラーニングを利用したシステムでIBMと対抗しているようなところもあるようですが、今回の買収によって、その差別化の要素が小さくなってしまうかもしれません。







【関連記事】