「星の王子さま」は自分がオトナの視点で世界を見ていることを思い出させてくれる


132/365 The Little Prince

by Chris Waits(画像:Creative Commons)




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「星の王子さま」は長いあいだ読まれている本なのだそうだ。

児童書だと聞いていて、今の自分が読む必要があるのだろうかとも思ったが、これだけ多くの人が読みつないできた本には何か秘密があるのではないかと思い、今回初めて読むことにした。

「星の王子さま」というタイトルから、夢を与えるような華やかな話なのかなと読む前は想像していた。

しかし、どうも思っていたものとは違う。

まるで黒い霧が立ち込めているようで、心がすっきりしないのだ。

途中途中で読む手が止まり、少し物悲しく、落ち込んだ気持ちにさせるのだ。

なぜそんな気持ちになってしまうのか。

読み終えたあとに考えてみた。

それは僕が大人になってしまったからから、もとい正確には僕がオトナの視点から世界を見ているからなのだ。

「モモ」を読んだ時と同じような感覚だ。

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「モモ 時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語」(著:ミヒャエル・エンデ)

「大人には早くなりたい、けど大人のようにはなりたくない」と小さいころは思っていたのだが、なぜか昔自分がなりたくないと思っていたそんな大人になっていたのだ。

大人の視点で世界を見ると、とても楽だ。

なんでもわかったようなふりで、物知り顔でいれば、誰にもバカにされない。

数字だけで人や物を判断する。

そんな大人は楽なのだ。

だけど、ラク=楽しい、というわけではない。

甲本ヒロトの言葉に次のような言葉がある。

「“楽しい”と“楽”は違うよ “楽しい”と“楽”は対極だよ」

「ただ 生活は楽な方が絶対いいと思うよ でも人生は楽しい方がいいじゃん」

大人になると見失ってしまうのだ。

生活=人生であると。

人生を楽しむためには、楽してはダメなのだ。

わからないことがあったら素直に人に尋ねる。

純粋にもっと自分がしたいのか、心に問いかける。

こういう行動をすると、大人の論理からすれば、最初は恥ずかしい思いをするかもしれないし、きっと苦しい。

でも、次第に楽しくなってくるはずだ。

なぜなら、それが本当の自分が楽しいと思うことなのだから。

「星の王子さま」は大人が読むとそんな複雑な感情を呼び起こしてくれる作品であり、子どもが読むとファンタジックで、別の世界に行った気分になるだろう。

そして、「星の王子さま」は愛し方・友達との関わり方で悩んでいる人の一つの道標になる。

自分と違った視点を理解するというのは自分の視野を拡げることであり、世界が広くなること。

読む前と読んだ後ではきっと違った自分になっているよ。

読み終わった自分に対して、今の気持ちを忘れないためにも、言葉を残しておくことにする。

「もっと自分の感覚を信じてみよう。」


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