■「ビール腹」体形の人は、肥満の人より糖尿病や心臓病のリスクが大きい!?|メイヨー・クリニック
by Tom Graham(画像:Creative Commons)
ビール腹は肥満より危険? 男性の死亡リスク2倍に 米研究
(2015/11/12、CNN)
米ミネソタ州にあるメイヨー・クリニックなどの研究チームが1万5000人あまりのデータを調べた結果、ビール腹体形の男性は単なる肥満や太りすぎの男性に比べて死亡リスクが2倍になることが判明。女性の死亡リスクも1.5倍の高さだった。
メイヨー・クリニックなどの研究チームによれば、「ビール腹」体形の人は、肥満の人より糖尿病や心臓病のリスクが大きいという研究結果が出たそうです。
このニュースを単純に見ると、「ビール腹」体形の人は生活習慣の改善に気を付けたほうがいいという結論になるかと思いますが、よく考えると気になることが2つありました。
1.なぜ「ビール腹」体形の人は死亡リスクが高まってしまうのか?
2.腹部肥満には、皮下脂肪と内臓脂肪がありますが、今回の記事では、なぜ皮下脂肪についてだけ書かれているのか?
1.なぜ「ビール腹」体形の人は死亡リスクが高まると考えられるのか?
胃の周りにたまった皮下脂肪は体内に浸透して重要な臓器を包み込み、肝臓でコレステロールに変換されて血中に送り込まれる。このコレステロールが動脈に蓄積すると動脈硬化が進み、心臓発作や脳卒中を引き起こすと考えられるからだ。
皮下脂肪がたまるとインスリン抵抗性も高まり、2型糖尿病など慢性疾患の原因にもなる。
皮下脂肪がたまることで死亡リスクが高まるメカニズムは以下の通り。
皮下脂肪がたまる
→コレステロールが血中に流れる
→動脈硬化
→心臓発作・脳卒中・糖尿病
【関連記事】
しかし、メタボと腹囲は無関係?によれば、腹部肥満の有無に関係なく、体重が増加すれば、検査値(血圧、血糖値)は悪化することがわかっているそうです。
【関連記事】
つまり、ビール腹体型だからというように、体型が問題ではなく、体重が増加すると、血圧や血糖値は悪化するということです。
2つの研究を比べると、なぜ「ビール腹」体形の人は、肥満の人より糖尿病や心臓病のリスクが大きいのか、その理由はわからないということになってしまいます。
一つ考えられることは、ビール腹体型の人と肥満の人とに体型以外の何か違うポイントがあるかどうかを探ることです。
ビール腹体型の人特有の要素が何か隠されているのかもしれません。
「ミンクル」が脂肪組織の線維化のカギによれば、脂肪にはいくつかの種類があり、腹部の筋肉の外側にあってつまむことができるのが「皮下脂肪」、大腸や小腸のまわりについているのが「内臓脂肪」、皮下脂肪や内臓脂肪の貯蔵量が限度を超えると、毒性の高い「異所性脂肪」が肝臓などに蓄積されるそうです。
肥満の人の内臓脂肪の量が限度を超えると、ミンクルを介して脂肪組織の線維化が起こり、脂肪が肝臓に蓄積して脂肪肝になります。
その結果、脂質代謝異常(コレステロール値の異常)などを経て、動脈硬化になったり、糖尿病になったり、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に発展したりします。
つまり、ビール腹体型が糖尿病や心臓病のリスクが大きい理由としては、内臓脂肪の量が限度を超えたことが原因にあると考えられるのではないでしょうか。
2.なぜ皮下脂肪についてだけ書かれているのか?
腹部肥満には、皮下脂肪と内臓脂肪がありますが、今回の記事では、皮下脂肪についてだけ書かれています。
その理由としては、欧米人は日本人に比べて皮下脂肪がたまりやすいことから研究対象になったからと考えられます。
日本人は欧米人より内臓脂肪がたまりやすい?によれば、日本人は、欧米人と比較すると、皮下脂肪に脂肪を蓄えておく力が低いため、内臓脂肪としてたまってしまうようです。
アジア人は日本人と同様に皮下脂肪に脂肪を蓄えておく力が低いため、内臓脂肪としてたまってしまうようです。
中国の約3億4100万人が「過体重」か「肥満」|内臓脂肪型肥満が多く、糖尿病・脂肪肝・心筋梗塞のリスクが高いによれば、中国人は内臓脂肪型肥満が多く、糖尿病や脂肪肝、狭心症、心筋梗塞、痛風のリスクが高いそうです。
■内臓脂肪対策
内臓脂肪は溜まりやすい一方、落ちやすい性質があるので、しっかりと対策を行なえば大丈夫です。
→ 内臓脂肪を減らすには|内臓脂肪の落とし方 について詳しくはこちら
●アディポネクチン
アディポネクチンは、中性脂肪の燃焼を助けるホルモンで、内臓脂肪が少ないほど分泌量が増えるそうです。
反対に、メタボリックシンドロームが進行する=内臓脂肪が増えると、アディポネクチンは減少してしまいます。(アディポネクチンの健康効果|中性脂肪を減らす・メタボリックシンドロームの改善・高血圧予防)
→ アディポネクチンを増やす方法 について詳しくはこちら
【内臓脂肪 関連記事】
- なぜ内臓脂肪症候群の多い職業第一位が建設業なのか?
- ラクトフェリンに内臓脂肪を減らす効果
- オキシトシンで内臓脂肪の減少と高血糖、脂肪肝の改善、メタボの治療にも期待
- 異所性脂肪|世界一受けたい授業 7月9日
【内臓脂肪関連記事】