by NYC Media Lab(画像:Creative Commons)
■魔法をテクノロジーで創りだそうとする科学者|「充分に発達した科学は魔法と見分けがつかない」
人と機械はどこまで近づくのか?最先端の科学者らが語る『機械で能力を拡張し始めた人類』
(2016/3/31、CodeIQ MAGAZINE)
「Japan Innovation Leaders Summit 3.0 Sponsored by Accenture Digital」というイベントで最先端の科学者がどのようなことを研究しているのかについての記事から気になることをまとめてみました。
■VISION:機械で人間の能力を拡張し、生物で機械を作り出す時代
■IoA(Internet of Abilities)
暦本は、話題の「IoT」(モノのインターネット)の本質は「IoA(Internet of Abilities。能力のインターネット)」と語り、これからはデジタル技術を使った人の能力の拡張が盛んになることを予言。
IoA(INTERNET OF ABILITY)で「人間の能力」がネットワーク化される未来とは?によれば、「IoT(人間と物とがつながる)」時代の次は、「IoA(人間や人工知能の能力がネットワークされる)時代になるというのが東京大学の暦本純一教授が予想する未来です。
これからは人間の能力を拡張させようとすることになり、今後は、「義足のほうが優れていたら義足に付け替えるか」という問いや「指(手)を増やす」というアイデアを問われるようになっていくことが予想されます。
ある側面から見れば、人はすでに道具・テクノロジーによって機能を拡張し、能力の限界を越えています。
例えば、記憶に関して言えば、PCやスマホによって記憶容量は大幅に増えており、程度の問題ですが、ある意味で人間は”サイボーグ化”しているのです。
これからの時代はテクノロジーの進歩によって、人間は能力の限界を超えることができる時代です。
だからこそ、人間の身体とは何か、について考えないといけないと思います。
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■バイオロジー
最近ではMITメディアラボを創ったニコラス・ネグロポンテも「バイオは新時代のデジタル」と語っているという。
バイオロジーの分野が盛んになっているのを感じます。
WIRED VOL.20によれば、都市や建築に対するバイオロジーの実用性という意味では、近い将来、室内の空気と外気のバランスによって換気を自動制御する建築が登場するかもしれないそうです。
MITメディアラボの石井裕さんは、バイオロジーを活用して、ダンサーの体温上昇や発汗に合わせて開閉するウェアを開発したそうです。
このウェア、よく見るとたくさんの通気孔があるが、これがダンサーの体温上昇や発汗に合わせてゆっくりと開閉するという。
センサーやアクチュエーター(何かの動作を促す仕掛け)の役割を果たしているのは「納豆菌」だ。「同じことは機械でもできるが、生物である納豆菌は増殖し、耐久性も高い」。
石井らは、納豆菌が温度や湿度でどう膨張するかを調べ、どのような形状にすればどんな動きを再現できるかを試作、それを人の体温や発汗のメカニズムの研究に重ね合わせてウェアをつくったという。
今後はこうしたバイオロジーを活用した製品が増えていくのではないでしょうか。
[vimeo]https://vimeo.com/142208383[/vimeo]
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Design/Body:生命科学によるものづくりと、美しい身体拡張のあり方
●Internet of Body
いずれは職人が持つ熟練の技を自分の腕を通して体験することもできるようになれば、過去の蓄積された手技を自分の腕で再生することも可能になるという。
玉城は、元々、手を通した感覚の共有によって、自分の身体という制約に縛られず、より多くの体験をしたいとこれを作った。
「INTERNET OF BODY」|私たちの身体はインターネット化する!?によれば、私たちの身体はインターネット化する(「Internet of Body」)というのがH2Lの岩崎健一郎さん、玉城絵美さん(東京大学大学院では暦本純一研究室に所属していた)の予想です。
職人技・伝統技術の伝承が難しいと叫ばれている昨今ですが、職人の技術をテクノロジーによってデジタルアーカイブとして残すことができれば、「UnlimitedHand」(腕に巻きつけると手がどんな動きをしているかを筋肉の電位で読み取る装置)のような装置を活用することによって、自分たちの手で再生することができるようになるかもしれません。
身体を容れ物だという考えをもとに、必要に応じてそれぞれの身体を共有していくという世界というのもありうる未来なのかもしれません。
Data/Business:コンピューターの発達で、新しい仕事は増えていく!?
●ふたつ目の地球
アクセンチュアの樋口陽介は、今、電脳空間あるいはスマートフォンの画面の向こう側にもう一つの地球ができようとしている、と語った。さまざまな形で日々収集されるデーターの集合体としての地球の記録で、このもう一つの地球では過去にも自由に旅ができる。しかも、ここではあらゆることが非常にきめ細かく、いつまでも残り、集約しやすい。
二つ目の地球という考え方は面白いですよね。
●今生きている地球
リアル/物質的地球
●データ/電脳で構成される地球
過去未来を記憶し続けるタイムマシン
色んな角度からアプローチをすることで、色んなモノがみえてきそうです。
■まとめ
情報を足すのではなく引くについて考える。/”スマートウィンドウのように「あえて見えなくする」のは現実から情報をマイナスすることです。これまでのように情報をどんどん足していくのではなく、逆に引いてちょうどよいところにもっていく。”https://t.co/0xFxMNsYWv
— ハクライドウ (@hakuraidou) 2017年5月17日
Squamahttps://t.co/tVHgVRwf9a
スマートウィンドウ
●プライバシーを守る
オフィスの外側を歩いている人の視界からモニター部分だけ隠す
●生活環境を良くする
食べ物が置いてある部分だけ暗くする→これからの建築は機能(ソフト)が変わっていく。
— ハクライドウ (@hakuraidou) 2017年5月17日
マーク・ワイザー
「もっとも深い技術というのは見えなくなる。日々の生活と区別がつかなくなるまで溶け込むのが、テクノロジーの最も成熟した姿である」https://t.co/0xFxMNsYWv
見えているというのは溶け込んでいないわけで、見えなくなった時に技術は浸透したといえる。— ハクライドウ (@hakuraidou) 2017年5月17日
P.S.
「バイオテクノロジーにはたくさんの悪夢が潜んでいるが、いずれ、どんな夢も現実になる。それならば誰かがいい夢を見ていかなければならない」
どんな夢も現実になるとすれば、自分が望む未来を作る努力すると同時に、そうした研究をしている人を応援していかないといけないのではないでしょうか。