糖尿病患者は糖尿病でない人と比べると骨密度が10年程度早く低下する傾向がある|奥羽大

健康・美容チェック > 糖尿病 > 糖尿病の合併症 > 骨粗しょう症 > 糖尿病患者は糖尿病でない人と比べると骨密度が10年程度早く低下する傾向がある|奥羽大




【目次】

■糖尿病患者は糖尿病でない人と比べると骨密度が10年程度早く低下する傾向がある

Lower Leg Tib Fib Right x-ray 0001 - no info

by Eric Schmuttenmaer(画像:Creative Commons)

糖尿病患者に警鐘 骨密度低下10年早く 奥羽大の衛藤教授ら

(2016/9/6、福島民報)

臨床研究では、糖尿病の女性127人と、糖尿病ではない女性622人の骨密度を50代から80代まで10年ごとの年代別に調べた。その結果、どの年代でも糖尿病患者は、糖尿病ではない人と比べて骨密度の低下が確認された。

奥羽大薬学部の衛藤雅昭教授、斉藤美恵子非常勤講師らの研究チームによる臨床研究によれば、糖尿病患者は糖尿病でない人と比べると骨密度が10年程度早く低下する傾向があることがわかったそうです。

研究では、50代の糖尿病女性は84%で糖尿病ではない60代の83%とほぼ同じ水準となった。60代の糖尿病女性の78%は糖尿病ではない70代の79%とほぼ同水準だった。他の年代でも同様の傾向が表れており、糖尿病患者の骨密度低下の進行は、糖尿病ではない人よりも10年程度早いことを示しているという。

糖尿病の合併症には、3大合併症ともいわれる糖尿病網膜症糖尿病腎症糖尿病神経障害がありますが、今後骨粗しょう症も含まれるようになりそうです。

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら

■なぜ糖尿病の人は骨粗しょう症になりやすいのか?

糖尿病と骨粗鬆症の関係について

(2013/4、T-Friends)

最近、糖尿病の人は骨粗鬆症になりやすいことが分かってきました。

糖尿病でない人と比べ、一型糖尿病患者さんは6~7倍、2型糖尿病患者さんは1.5~2倍、骨折リスクが高いことが報告されています。

その理由の一つにインスリンが関与します。

インスリンには血糖値を下げる働きのほかに、骨芽細胞に作用して骨の形成を促す働きがあります。

1型糖尿病は、インスリンがほとんど分泌されないため、骨形成が低下して、骨粗鬆症になりやすくなります。

一方、2型糖尿病では、インスリンを分泌する能力は保たれており、骨量も減少していませんが、終末糖化産物や他の骨に悪影響を及ぼす要因が増え、骨の質が悪化するため、骨粗鬆症になりやすくなります。

糖尿病はインスリンの作用不足によって起こりますが、インスリンが作用しないと骨を作り出す細胞を減らしてしまうことなどから、糖尿病になると骨粗鬆症のリスクが高まります。

特に、合併症の一つである腎症が進むと、骨の材料になる、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの働きが低下して、骨量が減りやすくなります。

インスリンが作用しなくなると、骨を作り出す細胞が減ってしまい、骨粗鬆症になるリスクが高まります。

また、糖尿病腎症になると、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの働きが低下して、骨量が減りやすくなるそうです。

ビタミンDとカルシウム摂取で糖尿病リスク低減も(2010/2/22)で紹介した厚生労働省の研究班によれば、ビタミンDとカルシウムの摂取により、糖尿病の発症のリスクを「低減させ得る」とする研究結果を発表していました。

カルシウムの摂取量を増やすことによって、骨粗鬆症の予防だけでなく、糖尿病の予防ができそうです。

→ 糖化とは|糖化の症状・糖化チェック・糖化を防ぐ方法 について詳しくはこちら

【関連記事】

■カルシウムチェック

簡易版カルシウムチェック表がチェックしてみましょう。

簡易版カルシウムチェック表(監修:女子栄養大学教授 上西一弘氏)

1・□牛乳をあまり飲まない
2・□ヨーグルトをあまり食べない
3・□チーズをあまり食べない
4・□納豆をあまり食べない
5・□豆腐、大豆製品はあまり食べない
6・□ほうれん草、小松菜などの野菜をあまり食べない
7・□しらす、ししゃもなどの小魚はあまり食べない
8・□朝食を抜くことが多い
9・□ダイエットをしている

チェック数:
0-2個 適量摂取できている
3-4個 不足気味
5-6個 不足
7-9個 大きく不足




カルシウムの多い食品

●牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品

●納豆・豆腐などの大豆製品

●ほうれん草、小松菜などの野菜

●しらす、ししゃもなどの小魚

●ごま

■糖尿病による脆弱性骨折

血糖値を下げる方法|血糖値を抑える食べ方|たけしの家庭の医学では「糖尿病による脆弱性骨折」を紹介していました。

骨の成分は、カルシウムとコラーゲンで構成されています。

カルシウムとコラーゲンが働くことで骨の強度は保たれています。

しかし、血糖値が高くなると、糖がアミノ酸と結びつき、ペントシジンが血液中に増加。

ペントシジンという物質が、血管を通り、骨の内部に入ると、コラーゲンの質を悪化させてしまうと考えられるそうです。

コラーゲンは、鉄筋コンクリートでいう鉄筋の役割を果たせなくなり、いつ骨折してもおかしくない状態になってしまうそうです。

近年、骨密度が高くても骨折してしまう例が数多く見られているそうです。

【関連記事】

■まとめ

糖尿病の合併症には、3大合併症ともいわれる糖尿病網膜症糖尿病腎症糖尿病神経障害がありますが、今後骨粗しょう症も含まれるようになりそうです。

糖尿病患者は日頃から意識的にカルシウムを摂取するようにアドバイスをされるようになるのではないでしょうか。

→ 骨粗鬆症とは|骨粗しょう症の症状・原因・予防する方法(食べ物・運動) について詳しくはこちら

→ 糖尿病の合併症 について詳しくはこちら







【関連記事】

糖尿病関連ワード

糖尿病の症状・初期症状|糖尿病とは

糖尿病の診断基準(血糖値・HbA1c)

糖尿病改善・予防する方法(食べ物・運動)

糖尿病危険度チェック

糖尿病の原因(生活習慣)|女性・男性

薬局でもできる糖尿病の検査|検尿(尿糖検査)と採血による血糖検査

糖尿病の合併症|網膜症・腎症・神経障害

糖尿病の食事(食事療法)|血糖値を抑える食べ方

糖尿病の運動(運動療法)|筋トレ・有酸素運動

インスリン(インシュリン)とは|血糖を下げる働きがあるホルモン

血糖値(正常値・食後血糖値・空腹時血糖値)・血糖値を下げる食品