by University of Exeter(画像:Creative Commons)
がん治療法、AIが選択…シカゴ大・中村教授ら2年以内に実用化目標
(2016/10/3、読売新聞)
がんの遺伝子研究で世界的に知られる中村教授ら専門家の経験や判断の基準をAIが取り込み、膨大な医学論文から学習して患者の遺伝情報などをもとに最適な治療の候補を提案する。
FRONTEOが持つ、人間の経験や感覚を学習するAIを使って、2年以内のサービス開始を目指す。
米シカゴ大学の中村祐輔教授と情報解析企業「FRONTEO」は、人工知能(AI)を活用して、がん患者に適した治療法を選んだり、患者が治療の悩みを解決したりできるサービスの開発に取り組むそうです。
■米シカゴ大学の中村祐輔教授とは
中村祐輔教授はがんペプチドワクチン治療の研究をされている方で、がんペプチドワクチン治療は、独自のワクチンを投与することで、ヒト本来の免疫力を飛躍的に高め、癌を退治する治療法です。
また、がん治療薬の新物質発見、シカゴ大・中村祐輔教授によれば、がん細胞を狙い撃ちする分子標的薬の候補である化合物を使ってマウスによる実験したところ、肺がんが完全に消えたそうです。
■人工知能が病気の診断を助けるようになる!?
先日も人工知能(AI)が”特殊な白血病”を見抜き、患者の命を救う 国内初かによれば、東京大学医科学研究所の附属病院は、IBMなどと協同で、人工知能「ワトソン」に2000万件に上るがん研究の論文を学習させ、がん患者の診断に役立てる臨床研究を進めているのですが、今回60代の女性患者の1500に上る遺伝子の変化のデータを人工知能に入力し分析したところ、女性が「二次性白血病」という別のがんにかかっていることを見抜き、治療法を変えるように提案して、命が救われたそうです。
今後はこうしたケースが増えていくことが予想されますが、人工知能が治療法を選択するようになるという背景には、IBMの「WATSON」によってがん治療がスピードアップする!?によれば、医療従事者は、膨大な数の情報(最新の医療研究、論文、医療データ、患者の医療記録)を取り扱っていて、すでに人の頭脳では把握することができないところまで来ていることにあります。
医学論文は、米国の公的データベースだけで2600万件以上登録され、がん関連だけで毎年20万件増えている。最新の情報についていくのは、専門医でも難しい。インターネット上の情報は玉石混交で、患者が正しい情報になかなかたどり着けない。
論文を学習して最適な治療法を選ぶ研究は、東京大学などが米IBMの「ワトソン」を使って行っている。今回の手法は、専門家の判断をまねして、良質な情報だけを選び、効率的に学習できるのが特徴という。
そこで、注目を集めているのが、人工知能で医師や患者をサポートするシステムであり、その代表的なものがWatsonです。
Watsonは膨大な量の医療データや論文などのデータベースが格納されており、患者のデータを高速で解析し、医療データを照らし合わせることで、患者に最も最適と思われる治療方針を提案することで、医師や患者が意思決定の支援をするシステムです。
現在でも様々ながんの治療法(外科手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療など)があります。
そして、がんの遺伝子を解析して患者ごとの診断を行い、がんを引き起こす特定の変異細胞を狙った治療ということも実現しています。
しかし、がんと立ち向かうことは、時間との闘いなのですが、がんの遺伝子を解析して患者ごとの診断を行い、治療方針を決める際には、専門の医師によるチームでも数週間という長い時間を要してしまうのが現状です。
Watsonを活用することで、遺伝子情報の解析、医療データや論文などと照らし合わせる作業の時間短縮が可能になります。
■まとめ
専門家の経験や感覚と膨大なデータを学習したAIの組み合わせによって、適切な治療を受けられるようになるといいですね。
【関連記事】