by TANAKA Juuyoh (田中十洋)(画像:Creative Commons)
(2017/1/17、読売新聞)
昨年4月の熊本地震について、熊本県は16日、甚大な被害を受けた益城(ましき)町や西原村などで、地震後に要介護認定者数が急増したことを明らかにした。
高齢者が避難所や仮設住宅で生活し、体を動かす機会が減ったことなどが影響した可能性があるという。
熊本県内では、地震後に要介護認定者数が急増したことがわかったそうです。
今回のニュースでは、被災前に行なっていた散歩や農作業ができなくなることなど体を動かす機会が減ったことが影響した可能性があるとありますが、以前のブログによれば、避難所での生活によって、病気を発症したケースについて取り上げてきました。
■避難所での生活によって、病気を発症したケース
■血栓
避難所の2千人に検診をしたところ9・1%に血栓が見つかった|熊本で医師ら調査
車中泊で肺塞栓症(エコノミークラス症候群)が多発!その初期症状とは!?では、4月19日、益城町の小学校の運動場や校舎で避難者を対象に「エコノミークラス症候群(肺塞栓症)」の原因とされるひざから下の静脈のエコー検査を実施したところ、26人のうち4人に血栓やそれにつながる血のよどみが見つかっていました。
今回のニュースによれば、約2千人を検診した結果、全体の9・1%の人の足に肺塞栓症の原因となり得る血栓が見つかったそうです。
前回のニュースによれば、血栓が見つかったのは女性に多いというものでしたが、今回のニュースによれば、70歳以上の人や睡眠剤を使用している人は危険性が高まることもわかったそうです。
自動車の中で避難生活をしている人はエコノミークラス症候群になる恐れがある!?予防法とは?によれば、エコノミークラス症候群とは、文字通り飛行機のエコノミークラスのような狭い座席に長時間足を動かさずにいると血流が悪くなり、その結果足に血栓ができ、その血栓が血流に乗って、肺の血管に詰まる可能性のある病気です。
04年の新潟県中越地震や07年の新潟県中越沖地震で避難生活を送っていた被災者に症状が確認されていたそうです。
厚生労働省によれば、エコノミークラス症候群の初期症状は足が赤くなる、足がむくむなどの症状があり、症状が進むと胸の痛みや息切れ、失神などの症状が出て、最悪の場合死亡することもあるそうです。
エコノミークラス症候群は中高年の女性に多いというデータがあるそうで、済生会熊本病院に搬送された患者10人のうち8人が女性だったこともそのデータを裏付ける材料となりそうです。
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■誤嚥性肺炎
肺炎入院患者が地震後に急増 避難長期化で口腔ケアが不十分で誤嚥性肺炎に|熊本地震によれば、国立病院機構熊本医療センターで、肺炎による入院患者数が前年同期と比べて倍増していることがわかったそうです。
その原因としては、誤嚥性肺炎が考えられています。
高齢者は注意したい!誤嚥性肺炎の気づきにくい症状のサインとは?によれば、誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物、唾液に含まれた細菌が気管から入り込むことが起こる病気です。
高齢者の肺炎の7割以上は、細菌を含む唾液や食物が気管や肺に入ることで起こる誤嚥性肺炎だと言われています。
誤嚥性肺炎の予防は、細菌を含む食べ物や唾液の誤嚥を防ぐことが重要となるため、口の中を清潔に保つ口腔ケアと誤嚥を防ぐ対策が必要になるのですが、避難生活では、歯磨きなどの口の中のケアが不十分になっていることが考えられます。
また、寝たきりや脳血管障害、認知症の患者の場合は、嚥下反射やせき反射が低下し、細菌が気道を通じて肺に入り込みやすくなるため、誤嚥性肺炎のリスクが高くなるそうです。
阪神大震災でも肺炎で亡くなっている人が約24%を占めており、その多くが誤嚥性肺炎だったそうです。
また、東日本大震災でも誤嚥性肺炎による危険性が指摘されていたそうです。
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■糖尿病
避難所の食事は糖尿病が悪化しやすい!?医療チームが糖尿病悪化を防ぐ指導|熊本地震によれば、避難所での食事は量が安定しておらず、炭水化物の割合が多くなりがちであるため、血糖値が上下動しやすいからなのだそうです。
■お薬手帳がないために、適切な薬の処方を判断に苦しむ
「お薬手帳」を避難時に持ち出すことの有効性が熊本地震で再確認によれば、お薬手帳を見ることで、それまで要観察者リストから漏れていた人も病気の特定ができ、健康状態の悪化を防ぐことができたケースがある一方で、お薬手帳がないために、適切な薬の処方を判断に苦しんだケースもあったそうです。
■まとめ
地震後に体調を崩し、病気になるケースというのはこれまでの経験で得られているので、今後のためにも、どういう対策をしておくべきか検討しておく必要がありますね。
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