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インドで「肥満税」導入を議論 来年度予算案に計上か ジャンクフードなどの普及一因
(2017/1/30、Sankei Biz)
課税対象となるのは、コレステロールを増やす飽和脂肪酸と塩分を多く含み、一般にジャンクフードと呼ばれる加工食品や、糖分を多く含む飲料など。徴収した税は、中央政府の健康関連支出の財源とする。
現地紙タイムズ・オブ・インディアなどによれば、検討グループがナレンドラ・モディ首相に対し、肥満や糖尿病など生活習慣病の予防が目的として、ジャンクフードなどへの課税を2017年度予算に組み込むように提言したそうです。
■インドにおける健康問題
インドで「肥満税」導入を議論 来年度予算案に計上か ジャンクフードなどの普及一因
(2017/1/30、Sankei Biz)
専門家によると、インドはここ数年、ジャンクフードと砂糖入り飲料が一因とみられる肺や心臓の疾患、がんや糖尿病で亡くなる人が年間で約580万人に上るという。15年には、6910万人が糖尿病と診断された。
●糖尿病
インドの糖尿病患者、2030年までに1億人超え|国際糖尿病連合(IDF)予想(2012/1/30)によれば、国際糖尿病連合(IDF)によれば、インドは2030年までに糖尿病患者数が1億人を超えると予想されているそうです。
〝糖尿病急増〟インド経済を脅かす 関連コストGDPの2%(2010/12/1)によれば、インドにおける糖尿病の関連コストはインドの国内総生産(GDP)の2%にも達するそうです。
〝糖尿病急増〟インド経済を脅かす 関連コストGDPの2%
(2010/11/10、Sankei Biz)
英週刊誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は07年の調査でインドの糖尿病関連コストは対国内総生産(GDP)比で2.1%に上ると指摘した。
米国のコストは1.2%、英国は0.4%だった。
全インド医科大学のニキル・タンドン教授によれば、インドの2型糖尿病罹患率は現在11から12%に上昇しているそうで、また、フォルティス・ヘルスケアのニューデリーの病院部門で糖尿病・代謝性疾患の責任者を務めるアヌープ・ミスラ氏によるとインドの糖尿病患者の平均発症年齢は42.5歳と、欧州に比べて約10年早いそうです。
つまり、働き手として重要な時期に糖尿病に発症することから経済にもたらす影響も大きいと考えられます。
●心臓病
世界の心臓病患者の約6割をインド人が占める<WHO予測>によれば、世界保健機関(WHO)は、2010年までに世界の心臓病患者の6割をインド人が占めることになると予測している。
●慢性腎臓病
インドや中米で慢性腎臓病が増加している!?|猛暑の中の農作業による熱ストレスや脱水症状が原因か?によれば、先進国の場合では、慢性腎臓病というのは、高血糖や高血圧が原因で、腎臓の血管で動脈硬化が起こり、腎機能の低下(腎臓にある糸球体による濾過する能力が低下)することによって起こりますが、中米ニカラグアやインドでは別の要因で慢性腎臓病になっているそうです。
その腎臓病のことを「非伝統的原因による慢性腎臓病(CKDnT)」と呼び、はっきりとした原因はわかっていませんが、その原因の一つには猛暑の中の農作業による熱ストレスや脱水症状が考えられているそうです。
猛暑の中で水分補給も行わずに長時間働くことは、体内の水分量が減って、脱水状態になり、腎臓に流れる血液量が減少し、老廃物を排泄できなくなるため、腎臓に傷害を与える可能性があり、そのようなダメージを繰り返し受け続けることで、慢性腎臓病に陥ると考えられます。
→ 慢性腎臓病(CKD)の症状・原因 について詳しくはこちら
■砂糖税・肥満税の例
世界各国で健康問題の解決と税収アップのために、健康に関する税金をかける動きが広がっています。
「ソーダ税」を導入した米バークレー、清涼飲料の消費量が21%減少|砂糖の摂取量減少による健康効果は得られるか?によれば、清涼飲料水に課税するいわゆる「ソーダ税」を導入したカリフォルニア州バークレーでは、低所得世帯による清涼飲料の消費量が21%減少したそうです。
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■課税に期待の声も
インドで「肥満税」導入を議論 来年度予算案に計上か ジャンクフードなどの普及一因
(2017/1/30、Sankei Biz)
同国内で健康食品などを扱う企業の経営者は、若年層を中心に健康志向が強まっていると指摘。「国内の健康食品市場の潜在規模は3300億ルピー(約5680億円)で、ここ数年の成長は目を見張るものがある」と述べ、課税が実現すれば成長が加速するとの認識を示した。
【インド】ダイエット・サプリ市場、5年以内に1000億ルピー超に?(2011/12/11)で紹介した市場コンサルタント大手のフロスト&サリバンが実施した調査によれば、インドのダイエット・サプリメント市場は2009年が377億ルピー規模で年20%のペースで成長しており、5年以内に1000億ルピー超規模に達すると紹介しました。
今回の記事によれば、インド国内の健康食品市場の潜在規模は3300億ルピー(約5680億円)となっており、健康食品に対する関心は年々高くなっていることがわかります。
ジャンクフードや砂糖入り飲料への課税が行なわれれば、健康食品に対する関心はますます高くなるかもしれません。
■まとめ
肥満、糖尿病対策のために、政府による砂糖入り飲料への課税を求める|WHOによれば、WHO(世界保健機関)は肥満や糖尿病を減らすためにも、政府による砂糖入り飲料への課税を求めました。
砂糖入り飲料に課税をするというのは、消費者にとっては、大好きなものを制限されるというメッセージとして伝わり、ネガティブに感じるキャンペーンですよね。
ただ、砂糖入り飲料に課税をするというのは、行動習慣を変えるという意味では分かりやすいと思います。
食事バランスガイドを守ると死亡リスクが減少する!|バランスの良い食事をしようというメッセージは伝わっているの?でも紹介しましたが、「健康のためにはバランスの良い食事をおすすめします」というメッセージは実は伝わりにくいのです。
『スイッチ!「変われない」を変える方法』(著:チップ・ハース&ダン・ハース)によれば、「もっと健康的な食生活を送る」といった総括的な目標は、不明瞭であり、その曖昧さが感情に言い逃れの余地を与え、失敗を正当化しやすくしてしまうそうです。
つまり、「健康のためにはバランスの良い食事をしましょう」というメッセージは、受け取る側としてはわかりづらいもので、結果どうしたらよいかわからず、今まで通りの生活をしてしまうことになってしまいます。
ではどのようにしたらよいのでしょうか?
『スイッチ!「変われない」を変える方法』(著:チップ・ハース&ダン・ハース)ではこのような提案がされています。
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例:アメリカ人に健康的な生活をさせるには?
「もっと健康的に行動しよう」と訴えるのではなく、「次にスーパーの乳製品コーナーに立ち寄ったら、ホールミルクではなく低脂肪乳に手を伸ばしなさい」というべきなのだ。
飲食行動を変える必要でなく、購入行動を変える。
「もっと健康的に行動しよう」と伝えても、解釈の仕方はいくらでもある。
この意見を参考にすると、こういう提案はどうでしょうか?
「砂糖入り飲料の代わりに、野菜ジュースや緑茶を飲むとキャッシュバックされる」というもの。
なぜこの提案を考えたのかというと、野菜ジュースや緑茶には血糖値の上昇を抑える効果があったり、血糖値を改善する効果があるといわれているからです。
食前に野菜ジュースを飲むと、食後の血糖値の上昇を抑える効果-カゴメがヒト試験で確認によれば、食前に野菜ジュースを飲むと、食後の血糖値の上昇を抑えることができることがヒト試験で確認されたそうです。
糖尿病なりかけに「緑茶が効果」 1日7杯で血糖値改善!で紹介した静岡県立大などの研究によれば、緑茶を1日に7杯分ほど飲むことで、糖尿病になりかかっている人たちの血糖値が改善することがわかったそうです。
そのため、砂糖入り飲料に課税するという代わりに、野菜ジュースや緑茶を飲むとキャッシュバックするという風にするとポジティブなメッセージによって行動習慣が変わるのではないでしょうか。
→ 血糖値(正常値・食後血糖値・空腹時血糖値)・血糖値を下げる食品 について詳しくはこちら
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