【目次】
■STEM教育に役立つ学習キットに注目!
STEMとは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉で、当時のオバマ大統領が積極的に教育に取り入れようとしたことで注目されました。
President Obama on the Importance of STEM Education
そうして、STEMが世界的に注目を集める中、STEM教育に役立つ学習キットに関心をもって調べています。
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Twitterを見ていると、「littlebit」という製品があり、littleBitsの開発者であるAyah BdeirさんがTEDでlittlebitsについてスピーチしている動画を見つけました。
■「littlebits」とは?
Ayah Bdeir: Building blocks that blink, beep and teach
(February 2012、TED)
littleBitsは、一つ一つが特定の機能を持つ電子部品のブロックであり、磁石でくっつくようになっているので、間違ったつなぎ方ができないところが特徴です。
部品には、ライトやブザー、モーター、センサーがあり、それらを組み合わせていくことでさまざまなものを作ることができます。
ブロックは種類で色分けされていて、色それぞれに意味があります。
緑は「出力」、青は「電源」、ピンクは「入力」、オレンジは配線というように、それぞれをつなげていくことで、電源とライトをつなぐと単純な光るライトができますし、調節つまみをつけることで調光機能が付いたライト、パルス機能のブロックを間につけることで点滅するライトのようにとアイデアによっていろんなものを作ることができます。
[vimeo]https://vimeo.com/45276780[/vimeo]
What is littleBits?|Vimeo
Synth Kit Introduction – littleBits x KORG
The Cult of littleBits: How This Tech Toy Is Changing the Engineering Landscape
■まとめ
by Ultra-lab(画像:Creative Commons)
今回紹介した動画の中で共感した点は「専門家だけのものになっていることが納得いかなかった」という点です。
Ayah Bdeirさんがlittlebitsを開発したきっかけは、トランジスタが専門家だけのものになっていることが納得いかなかったためで、エンジニアだけでなく、アーティストやデザイナーでも使えるものにするというアイデアからスタートしたそうです。
なぜこの考え方に共感したのか、理由は2つあります。
一つは、専門的なことは専門的な知識を持っている人に任せるとクリエイティビティが生まれにくくなるのではないかという心配です。
専門的なことは専門的な知識を持っている人に任せるというのは正しいことだと思います。
ただ、それはアイデアや組織の固定化を生んでしまい、クリエイティビティ(創造性)が生まれにくい環境になってしまいます。
「How Google Works」(著:エリック・シュミット ジョナサン・ローゼンバーグ)
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「いい人ばかり」の職場は均質的なことが多く、職場の均質性は悪い結果を招きやすいからだ。視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、極めて効果的な政策だ。
社会学者のセドリック・ヘリングによれば、人種のダイバーシティと売上高、顧客数、市場シェア、利益の増加には相関があることを発見しています。
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イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則(著:スティーブン・ジョンソン)にはこう書かれています。
研究室で一人で仕事をして顕微鏡を覗いていたのでは、考えが一カ所にひっかかって、最初にあった自分自身の偏見から抜けられない。
集団での会話にある社会的な流れが、個人の固体的な状態を液体のネットワークに変える。
専門的な人や専門外の人など多様な人がいることによって、固定されたアイデアが流れるようになることがあるのではないでしょうか。
今回のようなキットがあれば、アーティストやデザイナーとして優れた人が専門家では出なかったようなアイデアを出すきっかけにもなるかもしれません。
Steven Johnson:スティーブン ジョンソン「良いアイデアはどこで生まれる?」(Jul 2010、TED Talk)
もう一つは、専門的なものに対して無関心になるということは知的好奇心が少なくなっている可能性があるのではないでしょうか。
素晴らしいのは子どもたちが 学校で習いもしない身の回りの電子機器の 仕組みを理解するようになることです たとえば終夜灯の仕組みや なぜ自動ドアは人を挟まないのか iPodはどうやってタッチ操作に反応するのかといったことです
興味深いと感じたのは、私たちが疑問を持つことなく受け入れている身の回りにあるテクノロジーの仕組みに対して、疑問を持ち、理解しようとする点です。
「なぜ自動ドアは開くのか?」「どのようにしてスマホが動いているのか?」という疑問が生まれた時に、大人になるにつれて「そういうものだ」とそこで思考停止してしまいがちになりますが、こうしたキットに触れることによって、知的好奇心が活発になり、こういうメカニズム・仕組みで動いているんじゃないかなという仮説を立てるなど自然と考えるようになると思います。
また、専門外のことを学ぶにつれて、そのテクノロジーのすごさを実感することができれば、どれだけ専門家が優れているのかもわかると思います。
テクノロジーのことを学べば、技術者の方々はこんなことができるんだと感じることができるでしょうし、医療のことを勉強すれば、お医者さんや看護師さんのすごさの一端を感じることができるでしょう。
最初のうちは、その人と自分自身の間にある能力の距離がわからなかったため、その人・職業のすごさを実感することはできませんが、知るにつれてその人の持つ実力を測る物差しを持つことができれば、その専門家の能力・知識についてのすごさを実感することができるでしょう。
なぜ能力が低い人ほど自信があるのか?|能力が高い人が自信がない理由によれば、能力の低い人は、自分には能力があると過信する傾向があるそうですが、その理由としては、能力に対する物差し(基準)がないからだと考えられます。
自分のことを過大評価している成績下位グループに能力を高めるトレーニングをさせ、能力が向上すると、自身の自信過剰は改善されるそうです。
知らないうちは近いように思えた距離も、能力を測る物差しができてくることによって、その距離が途方もなく遠いと経験したことが誰しもあるのではないでしょうか。
それこそが能力に対する物差しができたということだと思います。
世界にはあらゆる専門がありますが、専門家だけのものにするのではなく、知的好奇心をもって様々なものに取り組むことが、きっと新しいものを生み出すきっかけになると信じています。
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