「あなたの正義感は人を傷つけていないか?」と問いかけてみよう!

Scales Of Justice

by Clyde Robinson(画像:Creative Commons)




■あなたの正義感は人を傷つけていないか?

世界にはそれぞれの文化的背景の違いによってさまざまな価値観があるはずなのですが、現代は、自分が考える正義と違った行動をする人に対して、その考え方を否定する人が増えている印象を受けます。

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確かに、自分が正義という立場から、間違った行動をする人に対して否定をするというのは気持ちのいいものだと思います。

ただ、本当にその正義(正義感)とは「真っ白」なものなのでしょうか?

Patricia L. Lockwood, Mathilde Hamonet, Samuel H. Zhang, Anya Ratnavel, Florentine U. Salmony, Masud Husain & Matthew A. J. Apps, Prosocial apathy for helping others when effort is required(30 June 2017、nature human behaviour)

They are less willing to choose to initiate highly effortful acts that benefit others compared with those benefitting themselves.

この論文を私なりに解釈すると、人は自分の損得が絡まなければ他人のために行動しないということですが、このことを「正義(正義感)」に当てはめて考えると、興味深いものですよね。

どんなに正義(世の中に役立つというような他人の利益)を掲げていようとも、それは自分の損得に関わるから行動しているということなのかもしれません。

自分がそのことに対して何かひっかかるものがあるからこそ、その問題にフォーカスしたのであって、そうでなければ意識にひっかかることもないのではないでしょうか。

つまり、正義に基づく行動をしているときには、自分の損得に関わる行動をしているということであり、だからこそ、自分の考える「正義」が人を傷つけていないかを問い直す良いチャンスなのだと思うのです。

ただ、「人は自分の損得が絡まなければ他人のために行動しない」という考え方もすべてが悪いわけではありません。

他人事を自分事として考えるとは言葉で言っても難しいものなのです。

最近は、社会全体の利益(公益)と企業の利益が一致しないと企業として成長できない時代に入っていると感じているのですが、自分個人の利益を捨てて他人の利益のためだけに行動することは長続きしないのではないでしょうか?

動機づけの理由として「自分のためにもなる」から行動するということを理解したうえで正義に基づく行動をしていくというのがよいと思います。

【参考リンク】

■まとめ

グレーゾーンやあいまいさというとよくないイメージを持っている人もいるかと思いますが、私たちの心には、「あいまいさ」・「矛盾」が備わっています。

どんなに論理的に考えても、私たちの心には「あいまいさ」や「矛盾」があるため、時にはなぜだか論理的な考えとは反する決断をしてしまうものです。

それは、私たちがこれまで見て読んで聞いてきた物語(神話や昔話、ことわざ)や自分自身が経験してきたのことを考えればわかりますよね。

曖昧さがあることによって、時にはどんな逆境の場面でも努力をしようと思えますし、苦しい時には自分を慰める逃げ道にもなってくれるのです。

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曖昧さに寛容であることは、疑いもなく創造力の大きな要因となっている。

なぜなら、想像のプロセスでは、明らかに矛盾したり食い違ったりする要素が共存していることが多いからである。

グレーを受け入れ、曖昧さを抱えている自分を楽しんでみましょう。

自分の中のグレーを楽しむことができれば、きっと世界のグラデーションをもっと楽しめるはずです。







P.S.

人はなぜ結婚するの? 財産保護や恋愛など、変わり続ける社会的意味を歴史から紐解く|Alex Gendler(アレックス・ジェンドラー)|ログミー

現代の結婚に関する役割や定義について議論し続けるとともに、結婚は常に社会によって形成されるということを覚えておかなくてはなりません。
社会の構造、価値、目的は変わり続けます。それとともに、結婚に対する考え方も変わり続けるのです。

社会や価値観は変化して続けていくのですから、その時代に合わせて言葉の定義が変わることは自然なことですし、本当にその考え方が「正しい」のか、自分自身に問い続けなければならないですね。

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