> 健康・美容チェック > 目の病気 > 白内障 > 角膜上皮障害の修復メカニズム解明|白内障術後などに処方される非ステロイド性消炎鎮痛剤の副作用治療への応用への期待|順天堂大学
■角膜上皮障害の修復メカニズム解明|白内障術後などに処方される非ステロイド性消炎鎮痛剤の副作用治療への応用への期待|順天堂大学
参考画像:角膜上皮障害の修復メカニズムを解明~ 非ステロイド性消炎鎮痛剤点眼薬の副作用治療への道筋 ~(2017/10/16、順天堂大学プレスリリース)|スクリーンショット
角膜上皮障害の修復メカニズムを解明~ 非ステロイド性消炎鎮痛剤点眼薬の副作用治療への道筋 ~
(2017/10/16、順天堂大学プレスリリース)
• 非ステロイド性消炎鎮痛剤は12-HHT産生を抑制することで角膜上皮損傷の修復を遅延させる
• BLT2作動薬は角膜上皮細胞の移動を促進することで角膜上皮障害の修復を促進する
• 難治性角膜上皮障害の新規治療法につながる研究成果
順天堂大学大学院医学研究科 生化学・細胞機能制御学の横溝岳彦教授と、眼科学の岩本怜助教、松田彰准教授らの研究グループは、白内障術後などに処方される非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)を含む点眼薬によって生理活性脂質12-HHT(12-ヒドロキシペプタデカトリエン酸)産生が抑制される結果、角膜上皮損傷の修復が遅れることを発見し、また、BLT2作動薬が角膜上皮障害の修復を促進することを発見したことから、難治性角膜上皮障害の新規治療法の開発につながることが期待されます。
■背景
眼球の前面に存在する角膜は常に外界に接しており、微生物や異物の侵入から眼全体を保護するバリアとして機能していますが、コンタクトレンズの使用や異物の侵入、外傷などによって角膜上皮障害が生じることがあります。また、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)を含む点眼薬は白内障手術の術後などに頻用されていますが、その副作用として角膜上皮びらんや重症例では角膜穿孔を生ずることが問題となっています。
角膜は微生物や異物から目を保護するバリアとしての機能を持っていますが、コンタクトレンズ(角膜を覆うためレンズの汚れや酸素不足で角膜に傷がつきやすい)や異物の侵入、外傷などによって角膜上皮障害が生じることがあるそうです。
また、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs:NonSteroidal Anti Inflammatory Drugs)は、アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなど、シクロオキシゲナーゼを阻害しプロスタグランジン産生を抑制することで、解熱鎮痛作用を発揮し、短時間で効果を発揮しますが、消化管粘膜障害、血液凝固阻害、陣痛発来遅延などの副作用が知られているそうで、その副作用の一つとして、角膜上皮びらんや重症例では角膜穿孔を生ずることが問題となっているそうです。
■まとめ
今回の研究によって、BLT2作動薬が角膜上皮障害の修復を促進することを発見したことから、難治性角膜上皮障害の新規治療法の開発が期待されます。
【参考リンク】
- Satoshi Iwamoto, Tomoaki Koga, Mai Ohba, Toshiaki Okuno, Masato Koike, Akira Murakami, Akira Matsuda, Takehiko Yokomizo Non-steroidal anti-inflammatory drug delays corneal wound healing by reducing production of 12-hydroxyheptadecatrienoic acid, a ligand for leukotriene B4 receptor 2(非ステロイド性消炎鎮痛剤は、ロイコトリエンB4第二受容体リガンドである12-ヒドロキシエイコサテトラエン酸の産生抑制を介して、角膜創傷治癒を遅延させる。) Sci. Rep. (2017) doi: 10.1038/s41598-017-13122-8
【関連記事】
- <コンタクトレンズ>増える角膜感染症 汚れによる傷が原因、失明も
- 眼球破裂とはどんな病気?|白目の部分である「強膜」が裂けた状態
- #西島秀俊 さん、映画の撮影で角膜がはがれる|角膜はそんな簡単にはがれるの?
- 磯山さやかさん、目の不調(角膜が細かく傷つき両目が開けられない状態)で休養
- 落ちない化粧「アートメーク」で角膜が傷ついたり、皮膚が腫れるなどのトラブル
- タウリンとビタミンAが角膜上皮幹細胞を酸化ストレスから保護するメカニズムを発見|ロート製薬