■パンク的な生き方がこれからのトレンドになる!
「パンク的なもの」がこれからのトレンドになると考えています。
なぜ「パンク的なもの」がこれからのトレンドになるのか、について説明する前に、まずはここで「パンク」についての考え方をまとめておきます。
※同じような動きは他にもあったと思いますが、最もわかりやすいムーブメントがパンクなのでこちらを参考にさせてもらいました。
パンク(パンク・ロック)といえば、社会に対する不満や怒りを過激に表現するロックをイメージする人が多いことでしょう。
【参考リンク】
- パンクの意味とは何か(2009/9/20、ロッキング・オン)
- パンク (サブカルチャー)|Wikipedia
パンクのイデオロギーは多くの場合、個人の自由と反体制的視点に関係している。典型的なパンクの視点としては、反権威主義、DIY主義、不服従、直接行動、反産業ロックなどが含まれる。
Wikipediaに書かれていることがパンクの定義とまではいかなくても、考えるための材料としてとらえることはできます。
社会の不公平や経済格差といった社会に対する不満や怒りを何らかの形で表現したものを「パンク」とここでは定義しましょう。
これを読んでいると、オルタナティブに言い換えてもいいかもしれないと思う人もいるでしょう。
【参考リンク】
- オルタナティヴ・ミュージック|Wikipedia
オルタナティヴ・ミュージック とは、現在の商業的な音楽や流行音楽とは一線を引き、時代の流れに捕われない普遍的なものを追い求める精神や、前衛的でアンダーグラウンドな精神を持つ音楽シーンのこと。
そう、いつの時代にも、ある一つの大きな流れ(権威的なもの)に対して、それは違うんじゃないかという考えを持った人が現れ、それが大きな渦となったものが、パンクであり、オルタナティブなのです。
「なぜデザインなのか 原研哉 阿部雅世 対談」によれば、ヨーロッパの文化とは保守であり、だからこそ若者文化は時にパンキッシュに走るとあります。
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ヨーロッパの文化というのは保守だと思うのです。
ヨーロッパにおける保守は「進歩を疑う」ということだと思います。
要するに、いかにあなたが天才的な合理性を持っていたとしても、人類が何千年もかけて築いてきたこの叡智をあなた一代で覆すことはできないでしょう、という視点。
覆すにしても、その膨大な叡智を覆すのだという重みを持って覆しなさいという慎重な態度が背景にある。積み重ねられてきた文化の堆積の尊厳をすごく大事にしているしそうだと思うんですね。
そういう保守が分厚すぎるから、ヨーロッパにおける若者文化やデザインは時にパンキッシュに走る。
パンクが生まれるには、巨大な保守が背景にあるのです。
ここで改めて、なぜパンク的な生き方にこれから注目が集まるのかについて考えてみます。
「突破するデザイン」(著:ロベルト・ベルガンティ)では、問題解決のイノベーションと意味のイノベーションという2つのイノベーションについて書かれています。
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問題解決のイノベーション
→与えられた問題を解決しているかどうか?
意味のイノベーション
→何が良くて、何が悪いのか?
この本においては「意味のイノベーション」による価値創造が重要になるとあります。
そして、この「意味のイノベーション」の考え方は実にパンク的だと感じたのです。
イノベーションすべきは「判断の物差し」そのもの。
批判精神を持つことで、深く掘り下げ、強力なビジョンを構築し、安易なアイデアを越えていく。
批判精神は、古びた解釈を超えることと、新しくビジョンをつくりだすことに貢献する。
最近Twitterを見ていると「モノがあふれる時代にこのまま今までと同じようにモノを作って、売っていていいのだろうか?」と考える人が生まれているのを感じます。
そして、心の中に生まれたモヤモヤ(世の中に対する疑問のような不満)を抱えた人たちが「意味のイノベーション」に取り組みだしているのです。
ミレニアル世代の主な時間の過ごし方は、過剰なナルシシズムだと責められるほどのアイデンティティを構築することである。
個人的な人脈、生活スタイル、信念、規範といった観点から、私たちの選択肢が多くなればなるほど、アイデンティティをつくりだす必要性が増大する。伝統文化と文化制度(宗教や政治)が弱体化し、混乱を収束させるのにもはや役立たないような現状では、このアイデンティティは、自分以外の他者からは与えられない。アイデンティティは、外部から借用できず、誰もが自分自身でつくり育てなければならない。
選択肢が多くなればなるほど、アイデンティティを作り出す必要性は増えていきます。
しかし、現状ではアイデンティティを与えてくれるような、頼れるものはなくなっています。
アイデンティティは自分自身から作り出さなくてはいけなくなったのです。
それがミレニアル世代の時間の過ごし方に現れているのです。
意味のイノベーションとは、進むべき方向の変化、判断のものさしの変化である。
アイデンティティを作り出すことは、自身の判断のものさしを作っていくことも含まれるでしょう。
ソリューションを探すことは外部に頼めるが、ビジョンをつくることは他者に頼めない。ビジョンとは、モノゴトを見るためのレンズであり、世界に意味を与える魂である。他の誰かのメガネを借りることはできない。当然、魂も同じだ。
外部の考え方に頼ることができなくなった時代に、寄る辺のない時代だからこそ、生まれるんじゃないかと考えたのがパンク的な生き方だったのです。
パンク的な生き方に必要なものは何なのでしょうか?
意味のイノベーションのキーワードは「内から外へ」と「批判精神」です。
意味のイノベーションを行なうためには、まず自分自身が仮説を立てそこから生まれるものが他の人にとっても意味のあるものなのかを確かめなければなりません。
それは、自分自身が古い考え方・枠組みにとらわれているかもしれないからです。
この考え方は自らのアイデンティティを作り出し、パンク的な生き方に通ずるものがあります。
これから予測されるのはパンク的な生き方を始めた個人やチーム、企業が生まれ、既存の考え方の企業とバチバチとやり合う機会が増えていくことでしょう。
きっとそのときに問われるのは「ビジョン」です。
多くのアイデアは必要とせず、意味のあるビジョンが一つあればいい。モノゴトをいかに改善するかではなく、なぜ私たちがそれらを必要としているかが重要だ。
そして、よりよい何かではなく、「より意味のある何か」を提供することで顧客をほれさせるのである。
消費者・ユーザーはどちらの側が「より意味のあるもの」を提供しているかで判断し、それを選んだことで自身のアイデンティティを形作っていくことでしょう。
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顧客ではなく、ファンをつくれ
まずは使命だ。商品じゃない
企業文化で3分の1が決まる
社内=社外
ビジネスを始めるんじゃない。革命だ。
この著者の企業は「パンクか、パンクじゃないか」という価値観を基準として思考し行動しています。
「パンク」というと、パンクバンドを想像してしまい、形のイメージが偏ってしまいがちですが、この本の解説をしている楠木健 一橋大学教授はパンクの精神の凝縮的表現として「倜儻不羈(てきとうふき)」という漢語の言葉を紹介しています。
漢語でいう倜儻不羈、すなわち「確固たる信念を持って自分の責任のもとに独立し、常識や権力に拘束されることのない、既成の尺度では律しがたい自由な精神」。
さあ、あなたはどんな「ビジョン」を見せつけてくれますか?
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