ライジングセラーの小さな経済圏が社会を変えていく!

「ライジングセラー」「オーナーズ」の小さな経済圏が社会を変えていく!





■「ライジングセラー」「オーナーズ」の小さな経済圏が社会を変えていく!

ライジングセラーの小さな経済圏が社会を変えていく!
ライジングセラーの小さな経済圏が社会を変えていく!

これからの時代は次のような形に変わっていくという仮説を立てました。

売ることよりもまずは自分たちが満足いくまで作り上げた熱量の高いモノ・サービスを、(SNSに頼らずクローズドで宣伝し)その価値を理解してくれるファンとの関係を築き上げた結果、小さな経済圏が生まれていく。

よりリアルで、より身内感のあるもの。

リアルというのは、加工されていない、生のままの、メディアで作られたブームではない物。

身内感のあるものとは、価値観に共感できるもので、最近のワードで言えば、ヒップホップ文化からきている、家族・親友・仲のいい身内・尊敬できる人を指す「マイメン」がキーワード。

「みんなが良いというものを疑え」 佐藤裕介の審美眼

(2018/7/13、CAREER HACK)

”例えばルイ・ヴィトンとのコラボレーションなどで盛り上がっている『Supreme』。 hey 社内でも例によく出していて、僕らは『Supreme』のことを「マイメン・ビジネス」と呼んでいます。彼らはショップスタッフも、商品を配るセレブリティーも、事業パートナーも、コラボレーションするブランドも、みんな元からの「マイメン(友達)」として捉えている。つまり、仲良い身内で楽しむためにビジネスをしているんですね。

例えるならば、インディーズバンドのように、DIY的に自分たちで一つ一つ作り上げて、各地のライブで実績を残し、人気を獲得していくイメージです。

消費者側・ユーザー側はただ消費することからプロダクトを作る側に関心を持ってきています。

【フリークアウト/ヘイ・佐藤 裕介氏登壇】広告業界の変遷と2018年最新トレンド~東大起業サークルTNK×EastVentures協賛イベント~

(2018/7/2、JEEK)

クリエーターと言っても、こだわりのアーティストになるという大それたものではなくて、もっとカジュアルで軽量で簡単で楽しめるものを作る側に回るということです。事実、ジェネレーションZと言われる若い世代ではTikTockやMusicallyなどの CGM コンテンツが流行っています。

ジェネレーションZ世代が「リアルビジネス」に回帰する理由

(2017/9/28、最所あさみ note )

”1990年代半ば以降に生まれた「ジェネレーションZ」と呼ばれる若者世代は、場作りやものづくりなどのリアルビジネスを展開する人が増えてきています。”

”ジェネレーションZ世代の若者と事業について話していて感じるのは、規模の拡大よりも自分が決定権をもつことを重要視する人が多いということ。
彼らが目指しているのは店舗数を増やすことでもなく、売上を数億規模にすることでもなく、価値観を共にする人と出会い、その輪を広げていくことなのです。”

また、Tik tokのようなサービスに人気が集まっているのも、ただあるものを有難がって受け取るのではなく、自分たちも参加することで楽しみたいと思っているからではないでしょうか。(そして、なおかつポジティブなもので)

こうしたことを考えているうちに、「ライジングセラー」という言葉に出会いました。

[hey]社内向けに会社説明会をやってみた|note

(2018/4/5、naoko )

heyが持っている仮説は「野心ある小さなチーム = ライジングセラー」の時代が来るというものです。heyは会社として「Just for Fun」という言葉を掲げていますが、そういう楽しみのための経済ドリブンで世の中が動き、個人、または小さなチームがもっともっと活躍するような世界を見ています。

ライジングセラーとは「野心ある小さなチーム 」のこと。

共感できる価値観やカルチャーが背景にあるプロダクトやサービスを生み出し、小さな経済圏を作り上げていくのが「ライジングセラー」というのが私の解釈です。

BASE鶴岡さんのツイートによれば、経済の規模の大小にとらわれず(あえて小さな経済圏を選択している人もいる)、自分の価値観で仕事をしている方を「オーナーズ」と呼んでいますね。

【参考ツイート】

最近の傾向としては、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSをフル活用して宣伝をしていくのがトレンドでしたが、「ライジングセラー」がトレンドになるとすれば、反対にSNSを活用せずにクローズド(ここでの意味はインターネットで拡散せず、人づての口コミのみ)で宣伝をしていくようになるのではないでしょうか。

そう考える理由としては、ネットワークの性質にあります。

ネットワーク|群衆の英知または狂気
ネットワーク|群衆の英知または狂気

参考画像:群衆の英知または狂気|スクリーンショット

群衆の英知または狂気によれば、たくさんのつながりは時として複雑な概念の拡散を邪魔しているそうです。

ネットワークのつながりを意識すると、健康的な社会では、グループ内部とそれらの間をほどよくつながれていなくてはいけない。

少ないつながりでは複雑な概念は拡散しない。

多すぎるつながりも集団浅慮で破壊される。

集団浅慮(しゅうだんせんりょ。グループシンク)とは集団で合議を行う場合に不合理あるいは危険な意思決定が容認されること、あるいはそれにつながる意思決定パターンのことです。

わかりやすく言えば、集団が意思決定をする時に、一人で決断するよりも、誤った判断をしてしまいやすくなるということです。

もしかすると、現代のネットワークは「とにかく張り巡らせるほうがいい」というように、ネットワークがつながりすぎていて、複雑な概念が伝わっていないのかもしれません。

また、英国のEU離脱後の経済危機をインターネット・SNSが増幅してしまう!?で紹介した『つながりすぎた世界 インターネットが広げる「思考感染」にどう立ち向かうか』(著:ウィリアム・H・ダビドウ)によれば、インターネットが推し進める環境では、物事は超高速で進展するため、問題はもっと早くに積み上がり、頻度も高くなるそうです。

つながりすぎた世界

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インターネットが物理的な結びつきをより強固で効率的なものにしている。

この21世紀の情報化社会の神経網は、情報を事実上ただで効率良く運び、かつて独立していたシステム同士を結びつけては相関関係を強めていく。

その結果、社会に存在する正のフィードバックは大幅に増幅される。事故が起きやすく、激しやすく、感染に対して脆弱な社会は、こうして生み出されるのである。

わたしたちはこの流れに適応しなければならない。現行の制度の多くはもっと結びつきの弱い社会を前提に築かれたものだ。

<中略>

カギを握るのはシステム内の正のフィードバックを減らすこと、つまり、結びつきを減じるか断ち切ることだ。

インターネット以前の社会では、結びつきがリアルに限られており、また情報の伝達スピードが遅いことが「ブレーキ」の役目を果たしていましたが、インターネット後の社会は情報の伝達スピードが速くなっています。

無理に多くの人に伝えようとすると、かえって誤ったメッセージを伝えてしまう結果になってしまう恐れがあるので、そうするよりも、遠回りすることが近道であるという例えのように、自分の周りの小さなネットワークを作り、他の小さな世界のネットワークとを自然とつないでいくことがより多くの人にプロダクトやサービスを拡散することができるのではないでしょうか?

つまり、これからの課題は、群衆の英知または狂気にあるように「小さな世界のネットワークを作り、結合と橋渡しを最適な割合で混ぜ合わせること」が大事になってくるのではないでしょうか。

【関連記事】

共感できる価値観やカルチャーが背景にあるプロダクトやサービスを生み出し、小さな経済圏を作り上げていくためには、SNSを活用せずにクローズド(ここでの意味はインターネットで拡散せず、人づての口コミのみ)で宣伝をしていくことのほうが、遠回りなようであっても、より多くの人に共感できる価値観やカルチャーを広めることができるのです。

そして、この「ライジングセラー」という考え方のお店が増えていくと、その周りのエコシステムにも影響が出てきます。

【参考ツイート】

自分たちが考える新しい価値観やカルチャーを伝えることがベースとしてあるため、ただ売りたいということをサポートするエコシステムを避けていくのではないでしょうか。

つまり、ここにも大きな変化が生まれるということです。

■ライジングセラーに興味がある人におすすめの本

ビジネス・フォー・パンクス

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顧客ではなく、ファンをつくれ

まずは使命だ。商品じゃない

企業文化で3分の1が決まる

社内=社外

ビジネスを始めるんじゃない。革命だ。

この著者の企業は「パンクか、パンクじゃないか」という価値観を基準として思考し行動しています。

「パンク」というと、パンクバンドを想像してしまい、イメージが偏ってしまいがちですが、この本の解説をしている楠木健 一橋大学教授はパンクの精神の凝縮的表現として「倜儻不羈(てきとうふき)」という漢語の言葉を紹介しています。

漢語でいう倜儻不羈、すなわち「確固たる信念を持って自分の責任のもとに独立し、常識や権力に拘束されることのない、既成の尺度では律しがたい自由な精神」。

「パンク」も「倜儻不羈(てきとうふき)」も「ライジングセラー」という考え方に似ていると思いませんか?

■まとめ

世の中は事業のタネで溢れているという件について

(2018/6/11、ダダステーション)

事業づくりで大切だと思うことは、

1.新しい価値観の発見がある
2.新しい価値観からぱっーと広がる世界観(物語)がある
3.新しい世界を想像して自分自身がワクワクできること

だと思います。

新しい価値観から広がる世界観(物語)を想像して自分自身がワクワクすることが事業づくりにおいて大切だと書かれています。

この「物語」の考え方が「ストーリー(Story)」から「ナラティブ(Narrative)」に変わってきているのではないでしょうか?

世界ではストーリーに代わる概念“ナラティブ”が語られている――『DQ』はナラティブで、『FF』はナラティブではない【CEDEC 2013】

(2013/8/24、電撃オンライン)

まずストーリーとは、“始まりがあって終わりがあり、誰がなぞっても同じ経路をたどるものである”という。それに対して、ナラティブには“時系列が設定されておらず、これはプレイヤー自身の経験や出来事によって語られるもの”だという。またそこには、受け手であるプレイヤーにとっての意外性や偶発性が必要だ。

 さらにナラティブは、単にこういうことがあったという“体験”ではなく、プレイヤー自身に“経験”として刻み込まれることが必要だという。そのためナラティブは、プレイヤー自身の生い立ちや、その人が生活する文化によっても左右される。つまりナラティブとは、それぞれのプレイヤーの心の中にしか存在しないものであり、それゆえに定義づけるのが非常に難しいのだそうだ。

誰かが作り出した物語(ストーリー)を受け取るのではなく、自分自身の経験として語られる物語(ナラティブ)を作り上げたいと考えて、共感できる価値観やカルチャーが背景にあるプロダクトやサービスを使っていくようになっていくでしょう。

ヒップな生活革命 (ideaink 〈アイデアインク〉)

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「ヒップな生活革命」(著:佐久間 裕美子)を自分なりに解釈すると、アメリカでは空前の不景気となり、文化が危機にさらされ、自分たちが消費するものの本質を強く意識したことで、今までの衣食住の習慣を変え、コミュニティー・つながり・品質・創造性を大切にしたライフスタイル革命が起こっています。

例えば、消費に対する価値基準がラグジュアリー性を求めるブランド主義から実質を求める方向へシフトしたり、アメリカのルーツやヘリテージ(伝統)を見直すムーブメントが起こったりしています。

具体的に言えば、インディペンデント系のカフェのサードウェーブコーヒー、産地直送の新鮮な野菜・オーガニック、手作りのクラフト文化・ハンドメイド、ポップアップショップ(期間限定の店)、生産者と消費者を直接つなぐ地域支援型流通システムによる食の定期購買(csa(Community Supported Agriculture:地域支援型農業)・csf(地域支援型漁業))などです。

日本でも「食べチョク(有機野菜の生産者と消費者をつなぐサービス)」「Ragri(前払いの契約栽培により農家の収入の安定化を支援するサービス)」が生まれています。

企業の存在価値は最大限の利益を上げることだけにあるのではなく、企業の社会的責任や社会貢献を評価する企業形態である「Bコーポレーション」に注目が集まっているのも現在の流れにあるものなのでしょう。

これからはプロダクトやサービスに共感をした人たちだけをターゲットにして、小さな世界のネットワークを少しずつ広げていくことができた個人や企業だけが生き残るでしょう。







【参考ツイート】

【参考リンク】

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