【頭寒足熱】氷枕で寝ると睡眠の質の改善に役立つ可能性!




氷枕で寝ると健康にいいのかどうかについて、論文ベースで調べてみました。

結論から言うと、氷枕(頭部・後頭部の冷却)によって、主観的な快適性や睡眠の質の改善に役立つ可能性が示されています。

睡眠が良くなることで、間接的に疲労感が軽減されることも期待できます。

■睡眠の質への効果

頭部冷却は、睡眠時の体動や覚醒を減らし、深い睡眠を増やす可能性が複数の研究で報告されています(サンプルサイズは比較的小さいものが多い)。

・高温多湿環境下での頭部冷却

健康な男性9名を対象に、室温32℃・湿度80%の条件で冷却枕を使用した実験によれば、冷却なしでは覚醒が有意に増加したが、冷却枕使用時は通常環境(26℃・50%)と差がなくなった。

全身発汗量も減少し、朝の鼓膜温上昇が抑えられた。

結論として、頭部冷却は高温多湿下での睡眠を助け、発汗を減らす可能性がある。

・女性の黄体期(月経前)での頭部冷却

昼間の眠気を感じる若い女性14名を対象としたランダム化クロスオーバー試験によれば、冷却シート(25℃)を頭部に使用した場合、覚醒の割合が低下し、ノンレム睡眠ステージ3(深い睡眠)の割合とデルタ波パワーが増加。

主観的な睡眠の快適さも改善。

黄体期は深部体温が上がりやすいため、頭部冷却が有効だったと考察されている。

日本の研究でも、夏季の非冷房環境で冷却枕を使うと睡眠効率が向上する傾向が報告されています。

■頭寒足熱

氷枕による頭部冷却は、伝統的な「頭寒足熱」の考え方にかなりよく当てはまります。

「頭寒足熱」とは昔から言われる「頭を冷やして足を温める」状態が健康や快眠に良いという経験則です。

現代の睡眠科学・体温調節の観点からも、理にかなった部分が多いとされています。

・頭寒(頭部を涼しく)

脳や頭部に熱がこもるのを防ぎ、深部体温の自然な低下を助けます。

氷枕や冷却枕はまさにこの「頭寒」を積極的に作る方法です。

研究でも、高温多湿環境や黄体期などで頭部冷却が睡眠の質(覚醒減少・深い睡眠増加)を改善する可能性が示されていました。

・足熱(足元を温かく)

足(や手)の皮膚血管が拡張すると熱が体外に逃げやすくなり、深部体温が下がりやすくなります。これが入眠をスムーズにする重要なポイントです。

1999年のNature誌の有名な研究では、「手足の血管拡張の程度が、入眠の速さの最も良い生理的予測因子である」と報告されています。暖かい靴下や湯たんぽ、足浴などで足元を温めると、入眠潜時が短くなることが複数の研究で確認されています。

ただ、氷枕だけで全身を冷やしすぎると「足熱」が崩れてしまう可能性があるため、理想的には1)頭部・首周りを適度に冷やす(氷枕・冷却ジェル枕・通気性の良い枕)、2)足元を温かく保つ(厚めの靴下、レッグウォーマー、湯たんぽ、布団の足元を厚くする)、3)部屋全体は涼しめ、布団内は適度に温かく、を心がけると頭寒足熱の環境といえるでしょう。

■まとめ

頭部冷却は、睡眠時の体動や覚醒を減らし、深い睡眠を増やす可能性が複数の研究で報告されています。

暑い夜の睡眠、黄体期の女性で睡眠の質が低下していると感じているときには氷枕を活用してみてはいかが?

ただし個人差があり、冷たすぎると逆に不快になる場合もあるため、タオルで調整するなどして試してみてください。

【参考文献】

■【補足】質の良い睡眠には温度が大切

夜眠れないという悩みを抱えているあなたに。不眠の原因とは?不眠対策!良質な睡眠をとる方法

質の良い睡眠には室温を少し下げて=研究

(2016/2/24、WSJ)

トロント大学のジョン・ピーバー教授(細胞・システム生物学)は「以前に考えられていた以上に、温度は正常な睡眠を促進する上でずっと大きな役割を果たしている可能性がある」と話す。さらに、脳の視床下部という部分の特定の細胞が温度の変化を感じ取り、眠りをコントロールすると説明。

質の良い睡眠に欠かせない要素として「温度」が重要なようです。

The Ideal Temperature for Deep Sleep

なぜ質の良い睡眠に「温度」が重要な役割を果たしているのでしょうか?

深部体温を下げる方法とは|眠くなる時は体の深部の体温が下がる!によれば、眠くなる時は、体の深部の体温が下がり、深部体温が下がると眠くなるため、就寝前には深部体温を上げない工夫が必要であると紹介しました。

トロント大学のジョン・ピーバー教授とバージニアコモンウェルス大学のナタリー・ダウトビッチ教授に共通している考え方は、温度が睡眠において重要な役割を果たしているという点です。

質の良い睡眠には室温を少し下げて=研究

(2016/2/24、WSJ)

カリフォルニア大学バークレー校のマシュー・ウォーカー教授(神経科学・心理学)は「人々は家や寝室の温度を、睡眠に最適な温度より少し高めに設定する傾向がある」と話す。

 ウォーカー氏によると、眠りに入るには中核体温が華氏で2~3度低下する必要がある。「中核体温が高過ぎると、覚醒状態から睡眠状態への脳の切り替えがスムーズに行かず、最適な睡眠を導き出せない」と説明する。

カリフォルニア大学バークレー校のマシュー・ウォーカー教授によれば、眠りに入るためには、深部体温が2~3度下がる必要があり、深部体温が高すぎると、覚醒状態から睡眠状態への脳の切り替えがスムーズにいかないため、よい睡眠に導くことができないそうです。

■眠るときの室温を何度に設定するといいの!?

それでは、眠るときの室温を何度に設定するとよいのでしょうか?

質の良い睡眠には室温を少し下げて=研究

(2016/2/24、WSJ)

複数の研究で、室温の設定は華氏65度(摂氏約18.3度)前後にするのが眠りに適しているとの結果が出た。

<中略>

 不眠症患者の治療に際し、睡眠の専門家たちは室温について患者に尋ね、華氏70~72度(摂氏約21.1~22.2度)に設定している患者には温度を下げるようアドバイスするとウォーカー氏は述べた。

バージニアコモンウェルス大学のナタリー・ダウトビッチ教授(心理学)は、非営利団体の米睡眠財団が通常、睡眠時の室温として華氏60~67度(摂氏約15.6~19.4)を薦めていると話す。同財団のコンサルタントも務めている同氏は「温度が低い寝室が質の良い睡眠につながることが分かっている」と続けた。

睡眠時の室温として18度前後にするのが良いそうです。

もう一つは、寝る前に温かいお風呂から上がると、体温が下がり、眠りやすくなります。

質の良い睡眠には室温を少し下げて=研究

(2016/2/24、WSJ)

英国のラフバラー大学のジェームズ・ホーン教授(精神科学)は「お風呂から上がると、体温が急速に下がる。これは就寝時に身体に必要なことだ」と説明する。同氏の研究では、若く健康な人は就寝前に暖かいお風呂に入ると、余波睡眠(脳を休ませる深い眠り)が約10%増すことが分かっている。同氏は夜早い時間に華氏約102度(摂氏約38.9度)のお湯に30分間浸かると睡眠の質が改善するとの見方を示す。

入浴は、熱い湯を避け、ぬるめのお湯に浸かり、就寝1から2時間前までに済ませておくようにするとよいそうです。







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