夜食を取ると、肝臓の「時計遺伝子」が乱れ、代謝異常になり、太りやすくなる?|名古屋大





【目次】

■夜食を取ると、肝臓の「時計遺伝子」が乱れ、代謝異常になり、太りやすくなる?

Grabbing good late night eats after the show

by Dion Hinchcliffe(画像:Creative Commons)

夜食取ると代謝異常に肝臓の「時計」に乱れ

(2012/6/1、京都新聞)

夜食など不規則な時間に食事を取るとインスリンの作用で、代謝で中心的な役割をする肝臓の「時計遺伝子」のリズムが乱れ、正常に機能しないことを名古屋大の研究グループがラットの実験で突き止め、1日付の英科学誌電子版に発表した。

名古屋大の研究グループによれば、夜食など不規則な時間に食事を摂ると、インスリンの作用で肝臓の時計遺伝子のリズムが乱れてしまい、肝臓の代謝機能に異常を引き起こすことがわかったそうです。

 小田裕昭准教授(分子栄養学)は「今回の研究で『食事のタイミングのずれ』が代謝異常を引き起こすメカニズムが分かった。これは人でも同じと考えられ、規則的な朝食の重要性が再確認できた」と話している。メタボリック症候群生活習慣病の予防につながることが期待される。

今回の記事だけをみると、「『食事のタイミングのずれ』が代謝異常を引き起こすメカニズムが分かった」ものの、それがなぜ「規則的な朝食の重要性が再確認できた」のかについてはわかりませんでした。

不規則な食生活で不健康になる分子メカニズムを解明

(2012/5/28、名古屋大学)

食事を取ると分泌されるインスリンが肝臓時計を同調させる強力な因子であり、休息期の夜食は肝臓時計を異常にすることがわかりました。活動期の朝に食事を取ると一旦乱れた肝臓時計も正常化されることが説明されました。

夜食を摂ることにより肝臓時計が乱れたとしても、朝に食事をすると乱れた肝臓時計が正常化されることがわかったことから、規則的な朝食をとることが重要だということが言えそうです。




■体内時計と時計遺伝子

時計遺伝子については、新聞やテレビ番組で何度も取り上げられている内容ですので、振り返ってみたいと思います。

体内時計 ダイエット|たけしの家庭の医学 5月25日

日本人のエネルギー摂取量の推移(厚生労働省 国民健康・栄養調査結果の概要)によれば、餓死者も出た昭和21年1903kcalに比べて平成20年1867kcalの方が低い。

しかし、日本人男性の肥満率は増加している。

このエネルギー摂取量が減少しているにも関わらず、肥満者数(男性)が増加しているという謎を解く鍵こそ「体内時計」にあるそうです。

時間栄養学とは、体内時計を利用し、食事の摂り方や摂る時間等を実践する最新科学。

■低カロリーなのにコレステロール値を悪化させた本当の原因とは?

栄養クリニックが改善したのは2点。

1 食事の内容

2 食事の時間

■体内時計とは

体内時計とは、体の中にある24時間時計というべきもので、睡眠・血圧・体温のリズムを司っている。

■時間遺伝子とは

体内時計の正体は、遺伝子に組み込まれている。

時計遺伝子とは、体内の様々な臓器の細胞に存在している遺伝子のことで、時間を刻んでいる遺伝子です。

時計遺伝子には、1日24時間を計る仕組みがある。

まず時計遺伝子は細胞内にたんぱく質を分泌させる指令を出す。

このたんぱく質が砂時計でいう砂であり、細胞にたんぱく質がいっぱいになるまでに約12時間かかる。

次に、時計遺伝子は、細胞内にたんぱく質を減らす指令を出す。

再び、たんぱく質が細胞からなくなるまでにおよそ12時間かかる。

このように1周が約24時間となり、その人の生活習慣に合わせて、様々なリズムをコントロールしている。

そして、この時計遺伝子によって、理想的な食事時間も決まっている。

朝食の時間と夕食の時間は起床時間で決まる。

理想的な1日のリズムは、7時起床の場合は、起床から2時間以内に朝食、起床から10時から12時間の間に夕食を摂るのが理想。

起床時間がずれれば、食事時間もずれる。

時計遺伝子が一日ごとにリセットされ、また新たに時計の針を動かしている。

体の場所によってリセット方法が違う。

脳:朝日がリセット方法

朝日を浴びることで脳のリズムがスタート

内臓:朝食がリセット方法

※内臓の時計遺伝子をリセットするには、たんぱく質が必要。

朝食にタンパク質を取ることで、その刺激が小腸に到達し、小腸の時計遺伝子を動かす。

すると、その信号が胃や肝臓にも伝わり、エネルギー代謝がはじまる。

そのため、タンパク質の少ない朝食の場合は、時計遺伝子はリセットされず、内臓の機能も低下したままになります。

すると、すでに活性化している脳が、栄養分が入っていないことを感知し、体が飢餓状態にあると判断します。

そのような状態で昼食をとると、飢餓状態に対応するため、体内に脂肪をため込む機能がスタート。

脂肪がエネルギーとして消費されず、コレステロール量が増加してしまう。

■夕食の時間

BMAL1(ビーマルワン)と呼ばれるタンパク質の一種には、体内に脂肪分を取り込む働きがある。

起床後14時から18時間後BMAL1の数が最大に達する。

■食習慣と体内時計が合わないとどうなるのか?

人間は、食事で摂ったカロリーの中から一定量を脂肪としてため込むメカニズムが備わっている。

体内時計と食習慣が合わないと、余計にカロリーを脂肪としてため込んでしまう。

余計にため込むカロリー

朝食抜きの場合、男性100kcal、女性80kcal。

夕食が時間がずれてしまった場合、男性50kcal、女性40kcal。

※香川靖雄先生の研究によると、7200kcalで脂肪1kg相当をため込むことになる。

つまり、肝臓などの内臓の時計遺伝子は、朝食を食べることでリセットされるので、規則的な朝食をとることがメタボリックシンドロームや生活習慣病などの予防につながることが期待できるということですね。

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