Verily(元Google X)のProject Baseline studyの目的は、病気のサインを見つけ病気の予防をすること!?





【目次】

■Verily(元Google X)のProject Baseline studyの目的は、病気のサインを見つけ病気の予防をすること!?

GoogleX-Tecnomovida

by Tecnomovida Caracas(画像:Creative Commons)

【(2014/9/5)】

インターネットの次は人体情報を整理する!Googleがデジタルヘルス事業へ本腰 (2/6)

(2014/8/27、IT Pro)

Baseline Studyの目的は、心臓疾患や癌など病気の兆候を早期に発見すること。病気を発症してからではなく、健康な人体が病気になりそうなサインを見つける。これにより医師は、病気予防に重点を置いた措置が可能となる。東洋医学に「未病」という言葉があるが、この研究はこのコンセプトに近い。

Google X、人体の謎に迫る長期プロジェクト「Baseline Study」始動

(2014/7/25、IT media ニュース)

米Wall Street Journalが7月24日(現地時間)、同社のGoogle X部門が取り組む新プロジェクト「Baseline Study」について、同プロジェクト統括者への取材を基に報じた。

このプロジェクトでは、協力者から抽出する膨大な生体データ(心拍数などだけでなく、尿、血液、唾液、涙などの成分も)を解析することで、健康のBaseline(基準値)を割り出すというもの。特定の病気について研究するのではなく、生体の状態や病態を示す指標、「バイオマーカー」を発見し、健康維持や病気の早期発見に役立てることが目的だ。

Google Xが行なうプロジェクト「Baseline Study」で行なうのは、尿・血液・唾液・涙といった成分からデータを収集・解析し、健康の基準値(ベースライン)を見つけようというものみたいです。

病気になりそうなサインが知ることで病気の予防につなげようという考え方は先ほど紹介した記事にもある通り、どちらかというと西洋医学よりも東洋医学の「未病」の考え方に近いと感じます。




■Googleによって医学の進化がもたらされる!?

病気になりそうなサインが知ることで病気の予防につなげようという考え方が主流になれば、これからの医学は大きく変わっていくのではないでしょうか。

例としては、19世紀中頃に行われたパリ万博で紹介された日本の浮世絵が、ゴッホ、マネ、モネ、ドガ、セザンヌといった印象派の画家に影響を与えたことが挙げられます。

それまでのヨーロッパの絵画は人物などの最もよく目立つものを中心に大きく描くのに対して、日本の浮世絵はそれぞれのものを同列において描かれていました。

浮世絵の衝撃から影響を受けた印象派の画家たちによって、ヨーロッパの絵画は進化していったそうです。

このように、それぞれの考え方が出会うことで新たな可能性が生まれたわけです。

今回取り上げたGoogleによる新しい取り組みは、その医学の進化をもたらすであろう”サイン”なのではないでしょうか。

■Baselineの考え方はVerily社に受け継がれている

【追記(2017/6/14)】

Project Baseline

Introducing Verily Study Watch

(2017/4/14、verily blog)

Multiple physiological and environmental sensors are designed to measure relevant signals for studies spanning cardiovascular, movement disorders, and other areas.Examples include electrocardiogram (ECG), heart rate, electrodermal activity, and inertial movements.

GoogleX、そしてGoogle Life Sciencesは、Verily Life Sciencesへと名前は変わりましたが、プロジェクトベースラインの研究は引き継がれており、その研究のためのツールがVerily Study Watchです。

Verily Study Watchは、複数の生理学的センサーと環境センサーによって、心電図(ECG)、心拍数といった信号を測定するように設計されたものです。

Why Baseline?

(2017/4/19、verily blog)

Teams across Verily have united around the Project Baseline study, and we work closely with Duke University School of Medicine and Stanford Medicine, as well as other partners from academia, medicine, science, patient-advocacy, engineering and design.

VerilyのProject Baseline Studyは、米デューク大学医学部や米スタンフォード医学、その他のパートナーと緊密に協力してすすめていくそうです。

【参考リンク】

■まとめ

スマートウォッチは病気の早期発見に役立つ|正常値とベースライン値の確立が重要|スタンフォード大で紹介したスタンフォード大学のマイケル・スナイダーの研究によれば、フィットネスモニターや他のウェアラブルバイオセンサーが心拍数、肌の温度などの異常が起きているかを知らせてくれることにより、病気になっていることを伝えてくれるそうです。

フィットネストラッカーのデータから心房細動は脳卒中によるものと判断され救われたケースがあるによれば、すでにフィットネストラッカーをつけている人の心拍数のベースラインと異常値のデータを参考に病気を判断したケースがありました。

Fitbitのおかげ。世界初、フィットネストラッカーが人命救助

(2016/4/20、ギズモード)

患者の検査の際に、腕に付けるアクティビティトラッカー(Fitbit Charge HR)を着用していることが確認されました。それは患者のスマートフォン上のアプリケーションと同期されており、フィットネス・プログラムの一環として彼の心拍数が記録されていました。このアプリケーションを患者のスマートフォンを通じて閲覧したところ、彼の心拍数のベースラインが毎分70から80回であり、脳卒中が発生した大体の時間において突如、持続して毎分140から160回の幅へと上昇していたことが分かりました。心拍数はジルチアゼムを投与するまで上昇した状態が続きました。

Fitbitのデータのおかげで、心房細動は脳卒中によって引き起こされたものであり、電気的除細動を行って良いことが確認されたということです。

フィットネストラッカー「Fitbit Charge HR」に記録されている心拍数のデータを参考に、医師は心房細動は脳卒中によって引き起こされたと判断し、電気的除細動を行なったそうです。

ウェアラブルデバイスで得た生体データによる病気の予兆を検知することで運転手の突然の体調変化による死亡事故を未然に防ぐシステムによれば、リストバンド型の血圧測定デバイスを運転手につけてもらい、脈拍、心電図、体温、呼吸数、血中酸素濃度をクラウド上でモニターすることで、病気の予兆を検知するサービスが考えられています。

今後、様々な生体データのベースラインを見つけることができれば、病気の予防ができるようになることが期待されます。







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P.S.

■アートの進化は技術革新と共に起きている

watercolors

by Bernal Saborio(画像:Creative Commons)

また、アートの進化は技術革新と共に起きているそうです。

グラフィックアートの新たな可能性を探る 森俊夫教授 京都文教大学

実は、アートと技術革新は非常に密接な関係を持っています。例えば、屋外に出ての写生が可能となったのは、「絵の具を入れるためのチューブ」が開発されたから。絵の具が乾くことなく持ち運べるようになったことで、印象派と呼ばれる画家たちの作品も生まれたのです。

Googleというテクノロジー企業が行うプロジェクトによって、新たな技術革新が起こるということも医学に進歩をもたらすであろうもう一つの理由になります。

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