「言語がなくなっていく世界」と「怒りのない世界」は素晴らしい世界か?


Angry

by Maggie Stephens(画像:Creative Commons)




■「言語がなくなっていく世界」と「怒りのない世界」は素晴らしい世界か?

nanapi古川健介【第3回】インターネットはこれから、もっと日常生活を自動化する

古川 僕は最近「言語がなくなっていく」のではないかと考えているんですよ。というのも、言語があるとマイナスの感情に振れやすいらしいと聞いたことがあります。例えば、これはチームラボの猪子さんが言っていたのですが「ボクサーは試合前にののしり合わないと相手を殴れない」らしいです。つまり、言語に落とし込まないと怒りという感情は長続きしないんです。

チームラボの猪子寿之さんによれば、『言語を介さないと怒りの感情は長続きしない』そうで、それはつまり、言語がない状態であればポジティブなやりとりしか出来ないのではないかという発想を元にnanapiの古川さんはemosiというテキストが使えない画像や動画、音声を投稿するコミュニケーションサービスを開発したそうです。

言語がなくなっていく世界と怒りのない世界という予測については、その意味を考えなければ素晴らしい物に感じますが、別の視点からみると世界を悪い意味で小さくしてしまう可能性があります。

1つ目の怒りについて。

怒りという感情はネガティブな印象を受ける感情ですが、怒りの感情を自分の夢を叶える力に変えるによれば、怒りという感情は、集中力を高める、自信を高める、ということを強化してくれるそうです。

また、思春期の頃に感じた怒りの感情をいい方向に向けることが出来た人は素晴らしい作品を残したりもしています。

決して怒りという感情が悪いわけではなく、怒りの感情をどういう方向に向けるのか、どうコントロールするのかが大事だと思うのです。

2つ目の言語がなくなっていくことについて。

90%の言語が消失の危険性、米専門家が指摘-英紙によれば、言語が失われると、その地域の文化や価値観が失われることを意味します。

「天才が語る サヴァン、アスペルガー、共感覚の世界」(著:ダニエル・タメット)に書かれているMITの言語学者だった故ケン・ヘールは言語の喪失についてこう語っています。

MITの言語学者だった故ケン・ヘールは「言語の喪失は、この世界が被っているはるかに大きな喪失、つまり、あらゆる事柄に備わっている多様性の喪失の一部なのである」と述べた。

言語が消失するということは、世界から多様性が失われるということです。

私は、多様性はクリエイティビティに欠かせないものの一つだと思っているので、言語が消失するという状況が続けば、世界からクリエイティビティが失われてしまうかもしれません。

つまり、怒りのない、言語がなくなっていく世界というのは世界を小さくしてしまう可能性があるのです。

【追記(2017/6/8)】

けんすう氏が語る“遊びが仕事になる”時代の事業の作り方

(2017/6/7、ログミー)

当時、ちょっとなんか考えすぎていて「言語ってださいなー」と思ったんですね。

(会場笑)

言語って、1万年ぐらい使われてるテクノロジーなんですけど、明らかに頭の中のものを言語化した時点で劣化してるじゃないですか。「本来劣化するものをネット時代に使い続けてるのってやばいなー」と思ったんですね。僕のほうがやばいんですけど。

(会場笑)

そこで、テキストを使ったコミュニケーションをさせようみたいな感じで、グローバルサービスをやり、めちゃくちゃこけたんですよ。これ、今から考えるとニーズとか無視してとにかく自分の世界観を表現したいだけの場、……現代アートみたいになっちゃって。「これはいかんなぁ」と反省はしたりしています。

emojiというサービスが失敗したのは、時代が速すぎたのか、そもそもニーズがなかったのかはわかりませんが、メッセンジャーサービスでスタンプを押しあって会話することがあったりするのですから、そういうことが流行る時期もあるかもしれません。

【!追記終わり】