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【目次】
■糖尿病治療と一緒に不眠治療を行うことで、糖尿病が改善し、血管障害を予防できる可能性がある!?
by Josh Angehr(画像:Creative Commons)
睡眠で糖尿病改善? =血管障害と関連―大阪市立大
(2015/4/14、時事通信)
糖尿病患者の睡眠の質と、血糖値や動脈硬化などの血管障害には密接な関連があると、大阪市立大の稲葉雅章教授らのグループが発表した。
大阪市立大の稲葉雅章教授らのグループの研究によれば、糖尿病治療と一緒に不眠治療を行うことで、糖尿病が改善し、血管障害(血糖値・動脈硬化)を予防できる可能性があるそうです。
■糖尿病患者の睡眠の質と血管障害にはどのような関係があるの?
糖尿病患者の睡眠の質と血管障害にはどのような関連があるのでしょうか?
睡眠障害が糖尿病の血糖改善や血管障害防止に有効な治療ターゲットであることを解明
(2015/4/14、大阪市立大学)
医学研究科 代謝内分泌病態内科学の稲葉雅章(いなばまさあき)教授らのグループは、糖尿病の血糖コントロール悪化で睡眠の質の劣化を伴う睡眠障害が引き起こされること、また睡眠障害が早朝高血圧を起こすことで糖尿病の心血管障害の原因となることを明らかにしました。
糖尿病の血糖コントロール指標であるHbA1cの数値が上昇する、つまり悪化すると、深睡眠指標であるレム睡眠潜時の短縮をもたらすことを示唆する結果が出たことから、睡眠の質の劣化を伴う睡眠障害が引き起こされることがわかりました。
睡眠障害と血管障害にはどのような関連が考えられるのでしょうか?
糖尿病での睡眠障害が動脈硬化進展に関連していることは明らかとなったが、その機序についても我々は一つの機序を示すことができている。
それは、睡眠障害が夜間高血圧・早朝高血圧を引き起こすことによる。
とくに早朝高血圧は種々の血圧指標のなかで最も強力に心血管エベントを抑制する因子であることが示されている。
50名の2型糖尿病患者において、血糖コントロール指標であるHbA1cと空腹時血糖は早朝の血圧上昇と有意に正に相関し、またインスリン抵抗性指標も早朝血圧上昇と有意な正関連を示しています。
多変量解析でも、HbA1cとインスリン抵抗性指標であるHOMA-Rと血清中性脂肪値は正の有意な関連を示しました。
さらにこれら患者で早朝血圧上昇は、多変量解析で血管内皮依存性の血管拡張反応低下と有意な負の関連を示したことから、2型糖尿病患者では、血糖コントロール悪化→早朝血圧上昇→血管障害が起こっていると考えられます。
この以前の研究に加え、本研究で血糖コントロール指標悪化が睡眠の質劣化と関連すること、および以前の研究により睡眠障害の治療が夜間高血圧・早朝高血圧低下につながることが示されていることを包括的に考えると、2型糖尿病患者での睡眠障害の積極的な介入が、血糖コントロール改善や動脈硬化進展の防止に向けた重要な治療ターゲットであることが浮かび上がってきました。
血糖コントロール指標であるHbA1cが上昇すると、早朝の血圧上昇を起こし、血管障害を起こしていると考えられます。
■まとめ
今回の記事のポイントはこちら。
研究グループは、日本人の糖尿病の大半を占める2型糖尿病患者の多くが、睡眠障害を併発していることに着目。
2型糖尿病患者の多くが睡眠障害を併発しているそうです。
睡眠不足になると、健康にさまざまな悪影響があります。
睡眠不足がすべての原因とはいえないでしょうが、睡眠不足をもたらす生活習慣によって、太りやすくなり肥満の原因となったり、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まることが考えられます。
徹夜をする子供は糖尿病のリスクが高まる?によれば、睡眠時間を毎日6時間、あるいはいつもより1時間でも多く睡眠をとった場合は、インスリン抵抗性が9%改善されたそうです。
今後、糖尿病治療に不眠治療を並行して行なっていくことが増えていくかもしれませんね。
→ 糖尿病の症状・初期症状|糖尿病とは について詳しくはこちら
→ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状・原因・検査・治療法 について詳しくはこちら
【補足】睡眠と健康の関係
睡眠障害のある患者は、糖尿病・高血圧・動脈硬化になりやすい?によれば、糖尿病患者の血糖コントロールがうまくいかなくなると、睡眠の質が低下し、不眠などの睡眠障害が起きることが、大阪市立大学大学院のグループの研究により明らかになったそうです。(2015/8/17)
睡眠時間が短いと、血圧が高いという結果が出たり、また糖尿病の発症リスクが高くなったり、さらには肥満度が高くなるなど、睡眠不足が健康に影響を及ぼしているようです。
睡眠不足になると、食欲のバランスをとるグレリンとレプチンのバランスに影響を与えてしまい、食欲が増え、満腹を感じにくくなるそうです。
夜更かし好きの人は朝食を抜く人が多いため、新陳代謝を早い時間から促す重要なチャンスを逃しがちだ。
米シカゴ大学の研究によると、たとえ短期的な睡眠不足であっても、健康な体が糖尿病患者のごとく糖分を処理するようになるという。
睡眠不足になると、グレリンが増えて食欲が増し、レプチンが減って満腹を感じにくくなってしまうそうです。
<中略>
一晩寝不足しただけでも、グレリンの過剰とレプチンの低下は起こる、つまり、太りやすい体になるようです。
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