■手足にふるえなどが生じるパーキンソン病、遺伝子治療で運動機能回復|自治医科大
by Fredrik Rubensson(画像:Creative Commons)
パーキンソン病遺伝子治療に光明…自治医科大
(2009/8/14、読売新聞)
パーキンソン病患者の脳にウイルスを使って遺伝子を組み込む国内初の遺伝子治療を実施している自治医科大学で、治療を行った患者6人のうち5人の運動機能が回復した。
自治医科大学が行ったパーキンソン病患者への遺伝子治療によって、運動機能を回復したそうです。
■パーキンソン病の従来の治療法
パーキンソン病は、手足にふるえなどが生じる神経難病で、国内に約12万人の患者がいる。
脳の「線条体」で神経伝達物質ドーパミンが不足することが原因と考えられており、現在はドーパミンの元になる「L―ドーパ」を投与する薬物治療が主流。
だが、病気が進行するとL―ドーパからドーパミンを作る酵素が不足し、薬効が低下していくことが問題だった。
パーキンソン病の初期の治療は、「L―ドーパ(L-DOPA)」を投与する治療薬により、症状を緩和する治療を行いますが、病気が進行すると治療薬の効果の低下(L―ドーパからドーパミンを作る酵素が不足し、薬効が低下していく)やジスキネジア(自分の意思とは関係なく現れる不随意運動)などが起こり、発症から十数年で寝たきりになることが多いです。
遺伝子治療は、まだ一般的な治療法とは言えないようですが、パーキンソン病の方の生活の質が改善されるようになることが期待されます。
【参考リンク】
- 国内初のパーキンソン病遺伝子治療実施|PDF|自治医科大学
- パーキンソン病|難病情報センター
■手足にふるえなどが生じるパーキンソン病、遺伝子治療で運動機能回復|自治医科大
(2011/9/17、日本経済新聞)
自治医科大の村松慎一特命教授らによれば、パーキンソン病の遺伝子治療は3年以上効果が持続することを確認されています。
■遺伝子治療の考え方
(2016/7/21、NHKおはよう日本)
人間が体を動かす時、脳の中の神経細胞が「ドーパミン」という物質を出して、手や足に指示を出します。
しかし、2人は遺伝子に異常があるため、この「ドーパミン」が十分に作られず、脳からの指示が体に伝わらないのです。
治療では、正常な遺伝子を体内に入れます。
すると、その遺伝子の働きでドーパミンが作られ、体を動かせるようになると考えたのです。
こうした治療を可能にしたのが、「ベクター」と呼ばれる遺伝子を運ぶ入れ物の開発です。
遺伝子治療|自治医科大学
『AADC欠損症に対する遺伝子治療』は、ほぼ欠損しているAADCという酵素の正常な遺伝子を、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを使って脳内の被殻(線条体)という部分の細胞に入れAADCを作らせる治療法です。その結果、欠乏していたドパミンやセロトニンが効率よく作られるようになり、運動機能が改善することが期待されます。
人は体を動かすときにドーパミンを出して、手や足に指示を出すことにより体を動かしていますが、何らかの原因により、ドーパミンが作られなくなると、脳からの指示が体に伝わらず、手足の震えなどの症状を起こします。
そこで、AACD遺伝子をAAVベクターという遺伝子を運ぶ入れ物を使って脳の線条体に入れてAADCを作らせ、ドーパミンやセロトニンを作らせることにより、運動機能の改善を目指すのが遺伝子治療です。
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自治医大のパーキンソン遺伝子治療結果についてその他の情報はありませんか?
以前、自治医大のパーキンソン病患者の脳にウイルスを使って遺伝子を組み込む国内初の遺伝子治療についてのニュースを取り上げましたが、その後のニュースは出ていないようです。