病院のネットワークシステムを改善することによる医療者と患者のメリットとは?|群馬大病院とNECネッツエスアイのケース




【目次】

■病院のネットワークシステムを改善することによる医療者と患者のメリットとは?|群馬大病院とNECネッツエスアイのケース

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by NEC Corporation of America(画像:Creative Commons)

<医療>高速ネットで瞬時にカルテ 患者対応充実

(2017/2/26、毎日新聞)

医療の高度化によって患者ごとの診療や検査のデータが増え、診察の際にデータを入力したり参照したりする時間が延びている。その時間を短縮し、医療者がタイミングよく、必要な情報を得られるネットワークを、群馬大病院(前橋市)とNECネッツエスアイ(東京都)が共同で構築した。

群馬大病院とNECネッツエスアイが共同でネットワークを構築しましたが、どのような問題点を抱えていて、どのような改善を行なったのでしょうか?

■病院が抱えていた問題点

<医療>高速ネットで瞬時にカルテ 患者対応充実

(2017/2/26、毎日新聞)

「これまで電子カルテや検査画像を見るにはダウンロードに時間がかかり、医療者のストレスになっていた」と鳥飼准教授。

病院内の通信が遅いことにより、電子カルテや検査画像をすぐに見ることができずに、それが医療者のストレスになっていたそうです。

なぜ病院内の通信は遅かったのでしょうか?

従来の病院内のネットワークは、元のサーバーから何度も分岐を経て、銅線のLANケーブルで端末につないでいた。通信速度は分岐のたびに遅くなり、外来や診療が立て込む時間帯は利用が集中して、さらに遅くなった。

病院内のネットワークが古いものであり、利用が集中するときにはさらに遅くなるという問題を抱えていたようです。

病院情報管理システム 導入事例 国立大学法人 群馬大学医学部附属病院 様|NEC

同院では医師・看護師・事務員などの職員間連絡にPHSを活用していました。1対1の音声によるコミュニケーションは可能でしたが、正確な情報伝達には文字メディアが不可欠でありながら職員全員に対するシステムとしての連絡能力が不足していました。また、電子カルテシステムの中にしかない緊急性の高い診療データは、これまで電子カルテシステムを閲覧できる端末でしか情報を参照することができませんでした。

PHSでは音声による伝達はできても、正確な情報伝達には文字のほうが良い場面でも音声で伝える必要がありました。

また、電子カルテを見るための専用端末でしか情報を見ることができなかったそうです。




■どのように改善を行なったのか?

●光ファイバーケーブル

<医療>高速ネットで瞬時にカルテ 患者対応充実

(2017/2/26、毎日新聞)

そこで、群馬大は病院がある地区のネットワーク全体を見直し、サーバーと病院、同じ敷地内の大学医学部のほぼ全部屋を、銅線より高速な光ファイバーケーブルで直接結んだ。

病院情報管理システム 導入事例 国立大学法人 群馬大学医学部附属病院 様|NEC

特に高速な処理が求められ、かつ特定の時間に処理が集中する外来などの端末は、サーバと端末を10Gbpsの光ファイバーで直接つなぐFTTDを採用しました

●アクセスポイントの設置

<医療>高速ネットで瞬時にカルテ 患者対応充実

(2017/2/26、毎日新聞)

光ファイバーケーブルとつなげた無線用のアクセスポイント(AP)も計約1800カ所に設置した。

●PHSからスマホ

<医療>高速ネットで瞬時にカルテ 患者対応充実

(2017/2/26、毎日新聞)

患者が鳴らすナースコールも、担当看護師のスマホへ「緊急」「トイレ介助」「点滴終了」などと具体的に伝えられ、多くの患者を抱える看護師が優先順位を付けて対応できるようになった。

PHSよりも安い価格でのスマホの導入ができるようになり、全職員への配布を行なったことで、看護師に具体的に連絡ができるようになり、また、電子カルテシステムとの連携ができることで、情報共有が可能になったそうです。

■改善の結果どうなったのか?

病院情報管理システム 導入事例 国立大学法人 群馬大学医学部附属病院 様|NEC

オールフラッシュ(SSD)化、RAID10、10Gbpsネットワークなど、現時点で最高レベルのレスポンスを発揮できる環境を整えた新システム。

その効果を電子カルテシステムの機能ごとに計測した結果、一覧表示部分では従来システムと比べて5-12倍、診療のレスポンスで高速化しているとの結果が出ました。

<医療>高速ネットで瞬時にカルテ 患者対応充実

(2017/2/26、毎日新聞)

国内の医療機関で初めて導入した新ネットワークは、患者のメリットも大きい。例えば、患者1人の看護日誌を作成するのに以前は約40分かかっていたが、今は約40秒に短縮。

従来とのシステムと比べて高速化したことにより、患者・医療者にとっての負担軽減につながり、また、データの確認がすぐにできることにより安全性もアップすることが期待されます。

また、患者と医療者がコミュニケーションをとる時間も多く取れるようになります。

女性医師の治療を受けた患者は生存率が高い!?|医師の患者に対する共感・コミュニケーションが重要な役割を果たしている?によれば、医療における医師と患者のコミュニケーションの重要性は高まっています。

コミュニケーションの重要性が高まっているのには以下のような理由があります。

  • 主たる病気が生活習慣病へ移行したことで、ケア(care)やマネジメント(management)が大きな位置を占めるようになった
  • 患者が医療情報に触れる機会が増えたが、その情報に混乱している患者も増加
  • 医学の進歩により市民の一部は医学を万能と考えるようになり、医療への過度の期待を生んでいる

患者に対して適切な医療を行うためには、医師が患者の言葉に耳を傾け(傾聴)、気持ちを受け入れ(受容)、そのうえで医師として適切な情報を患者にわかりやすい言葉で伝えることが重要になります。

また、患者が持っている間違った医学的知識を訂正することは重要ですが、そのやり方が重要だということですよね。

まずは、患者がどのような悩み・苦労を抱えているのか、患者の声に耳を傾け、それを受け入れることによって、医師と患者間での信頼関係が生まれ、その後のケアやマネジメントが良好になると考えられます。

しかし、従来のシステムではそうした患者とのコミュニケーションにかけられる時間が少なくなってしまったり、コミュニケーションにかける時間を増やそうとすると、労働時間が増えることにより、医療者の心身の負担が増加してしまっていたのではないでしょうか。







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