■「介護入浴向け泡シャワー装置」が開発された背景・効果|#所さんお届けモノです!
参考画像:【モリタグループ】泡シャワー装置デモンストレーション|YouTubeスクリーンショット
2017年11月19日放送の「所さんお届けモノです!」では福祉・介護の展示会で見つけた「介護入浴向け泡シャワー装置」(モリタグループ)を紹介しました。
なぜ「介護入浴向け泡シャワー装置」を開発することになったのでしょうか?
参考画像:介護内容別にみた介護者の組合せの構成割合|グラフで見る世帯の状況|平成26年国民生活基礎調査(平成25年)の結果から|厚生労働省|スクリーンショット
介護内容別にみた介護者の組合せの構成割合|グラフで見る世帯の状況|平成26年国民生活基礎調査(平成25年)の結果からによれば、「入浴介助」「洗髪」「身体の清拭(体をふく)」は事業者のみの介護が多いことから考えられるのは、入浴に対するニーズに高いのですが、入浴介助は負担が大きいため、事業者による介護に頼っているという現状があることがわかります。
参考画像:施設業務の改善要望点|福祉用具・介護ロボット実用化支援事業 事業報告書(平成24年3月、厚生労働省)|スクリーンショット
ただ、福祉用具・介護ロボット実用化支援事業 事業報告書(平成24年3月、厚生労働省)によれば、施設内で行っている業務で苦慮している点・改善したい点について要望の多かった点として、「入浴に関する介護負担の軽減」(5割強)という入浴介助における介助者の負担が大きいという実態があります。
また、介護入浴向け泡シャワー装置の開発と評価Ⅰ 装置の開発( Development and Evaluation of Foaming Shower System for Care Bathing:Ⅰ- Development – )で紹介されている介護施設によるヒアリングではさまざまな問題点があることもわかったそうです。
●肌乾燥予防のため、良く泡立てた泡で優しく体を洗うことの重要性は理解していても、泡立ての手間や難しさから、十分に泡立った状態で洗えていない
●泡がほとんどない状態で全身を擦り洗いすることに力が必要で、また洗う際に介護者が上下に体勢を変える動作が多いことが負担
●寒い時期には寒さを訴える高齢者が多く、保温のため洗身中にもシャワーでお湯をかけ続けることがある
こうした課題をもとに考えられたアイデアが、適度に泡立てられた温かい泡で全身を覆いながら体を洗うことにより、被介護者の入浴満足度の向上(泡による保温と肌の乾燥予防)と同時に介護者の負担軽減をするというものです。
そこで、考えられたのが、消防車の消火装置(CAF:Compressed Air Foam System)として用いられている技術を応用した「泡シャワー装置」です。
この「泡シャワー装置」に期待される効果は、先程紹介したように、泡の保温性から被介護者の入浴満足度が向上されるだけでなく、しっかり泡立てられた泡で洗うことにより肌への摩擦が小さくなることから肌の健康にも良いことが期待できます。
また、介護者にとっては泡立てる作業やシャワーで被介護者の体を温めるという作業がなくなることで作業がシンプルになり、作業時間が短縮することが期待されます。
泡による保温効果については、介護入浴向け泡シャワー装置の開発と評価Ⅱ 保温性の評価(Development and Evaluation of Foaming Shower System for Care Bathing:Ⅱ- Evaluation of the thermal effect -)によれば、泡により皮膚の温度低下が抑制され、被験者は温かく感じており、洗い流した後もしばらく残ったことから、泡の身体保温効果が高いと考えられるそうです。
■まとめ
「泡シャワー」は元々介護者と被介護者の入浴を助ける商品だったのが、一般向けにも販売されるようになってきているのは、実に #マイノリティデザイン 的発想。こうした商品やサービスがこれから増えてくるんじゃないかな?https://t.co/3hz2iQOJYD#がっちりマンデー
— 健康美容ブログ「HAKUR」|女性の知りたいがココにある! (@4050health) May 23, 2021
以前、「少子高齢化による高齢化社会は日本にとってのビジネスチャンス(医療・介護など)になる!」と発想を転換してみない?では、世界に先行して高齢化社会に突入している日本は、医療費削減のアイデアやよりよい介護の方法を実行できる立場にあり、それらのやり方をスタンダードにすることができるというビジネスチャンスがあるのではないでしょうか?と提案しましたが、「介護入浴向け泡シャワー装置」(モリタグループ)は介護における問題を解決するためのシャワー装置でありながら、若い世代にとっても新しいスタンダードとなりうるシャワー装置になる可能性があるかもしれません。
【参考リンク】
- Rie NISHIHAMA,Yoshitoshi MATSUSHIMA,Koichi KONDO,Huang Ya-wen,Naohisa SAKAMOTO (Morita Holdings Corporation, Technical Laboratory)Norikazu OHNISHI,Shin SAITO,Motoko OHIRA,Misa KOMATSU,Tomoyuki HASEGAWA (Mie Prefectural College Of Nursing)Toshio Matsuoka (Mie Prefecture Industrial Research Institute)介護入浴向け泡シャワー装置の開発と評価Ⅰ 装置の開発( Development and Evaluation of Foaming Shower System for Care Bathing:Ⅰ- Development – )
【参考リンク】
- Norikazu OHNISHI,Shin SAITO,Motoko OHIRA,Misa KOMATSU,Tomoyuki HASEGAWA (Mie Prefectural College Of Nursing),Rie NISHIHAMA,Yoshitoshi MATSUSHIMA,Koichi KONDO,Huang Ya-wen,Naohisa SAKAMOTO (Morita Holdings Corporation, Technical Laboratory),Toshio Matsuoka (Mie Prefecture Industrial Research Institute)介護入浴向け泡シャワー装置の開発と評価Ⅱ 保温性の評価(Development and Evaluation of Foaming Shower System for Care Bathing:Ⅱ- Evaluation of the thermal effect -)
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