テストステロンがアルツハイマー型認知症のリスクを低減~性差が認知症リスクを決める?テストステロンとオートファジーの関係を解明~(2025年4月1日、九州大学)によれば、アルツハイマー型認知症(AD)の患者の約3分の2が女性であることが知られているのですが、男性ホルモンであるテストステロンが、脳内の免疫細胞であるミクログリアに作用し、オートファジー(細胞が不要になったタンパク質や細胞内小器官、異常タンパク質などを分解し再利用するしくみ)を活性化することでアミロイドβの蓄積を抑えていることを発見しました。
■まとめ
女性は閉経によってエストロゲンが急激に減少し、最終的には男性よりも低くなります。
一方、男性のテストステロンレベルは、加齢によって緩やかに減少するものの、生涯にわたって女性よりも高いレベルを維持します。
近年、血中テストステロンの低下が AD の発症リスクを高めることや、高齢女性に対するテストステロン補充が認知機能を改善することが報告されています。
これらの知見は、男性にはテストステロンによる AD 発症抑制機構があることを示唆しています。
MCI(軽度認知障害)は女性の方が速く悪化し、腎機能の低下という特徴がみられる|東大教授の調査によれば、軽度認知障害(MCI)の女性は男性よりも症状が悪化しやすく、また、認知障害の悪化が早い女性には腎機能の低下がみられるという特徴がみられたそうです。
今回の研究によれば、女性に比べてテストステロン値の高い男性は、ミクログリアのオートファジーが維持され、アミロイドβ除去能力が高く保たれるため、アルツハイマー型認知症(AD)リスクが低く抑えられていると考えられることがわかりました。
今後は、まずアルツハイマー型認知症について性差の理解を深めること、そして、生物学的な性別を考慮したアルツハイマー型認知症の予防・治療につなげていくことが必要ですね。