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「おならが臭い」「おならの回数が多い」は腸内環境が悪いサインなの?おならのにおいを良くして、回数を減らす食事とは?




犬のオナラの臭さ&頻度のランキング発表 カワイイ人気の犬種が一番くさいなんて!(2025年6月25日、よろずーニュース)では英ペットフード会社のバーンズ・ペット・ニュートリション社のローラ・クロッチ=ハーヴェイ氏は「高脂肪の食べ物、チーズやポテトチップスといった人間のおやつ、質の悪いドッグフードは全て腸内環境を悪化させます」とコメントしていますが、これが人間の腸内環境の改善にとっても重要なことなのではないでしょうか?

そこで、そもそも腸内環境の悪化がおならの臭いを強くするのかについて、科学的根拠に基づく論文や研究を調べてみたいと思います。

■腸内フローラとガスの生成

腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れると、硫黄を含む化合物(例:硫化水素、メチルメルカプタン)を生成する悪玉菌(例:硫酸還元菌)が優勢になることがあります。
これらの化合物は強烈な悪臭の原因となり、おならの臭いを強くします。

Suarez et al. (1998) の研究(American Journal of Physiology)では、硫化水素やメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物が、腸内細菌の代謝活動によって生成され、臭いの主な原因となることが示されています。

Magee et al. (2000) の研究(Gut)では、食事や腸内細菌叢の組成がガス生成量と臭いに影響を与えると報告されています。特に、タンパク質や硫黄を含む食品(例:ブロッコリー、肉類)の過剰摂取が悪臭を増加させる可能性が指摘されています。

■腸内環境の改善と臭いの軽減

無糖ヨーグルト
無糖ヨーグルト

腸内環境が改善すると、善玉菌(例:ビフィズス菌、乳酸菌)が優勢になり、硫黄化合物の生成が抑えられるため、おならの臭いが軽減する傾向があります。

また、プロバイオティクスやプレバイオティクスの摂取が腸内フローラを改善し、ガスの質や量を正常化するという研究も存在します:

Gibson et al. (1995) の研究(Gastroenterology)では、プレバイオティクスが腸内細菌叢を改善し、ガス生成を抑える可能性が示唆されています。

■プロバイオティクスとプレバイオティクスの違い

プロバイオティクスは、生きたまま腸に届いて善玉菌を増やし、腸内環境を改善する微生物や食品のことです。

一方、プレバイオティクスは、善玉菌のエサとなり、善玉菌の成長を助けることで、間接的に腸内環境を改善する成分のことです。

■おならのにおいと腸内細菌叢の関係について参考にした論文

1. Suarez et al. (1998)

Gas production and odor intensity in human flatus: Effects of diet and bacterial metabolism

掲載誌: American Journal of Physiology – Gastrointestinal and Liver Physiology

巻/号: Volume 274, Issue 6, June 1998, Pages G1028-G1033

DOI: 10.1152/ajpgi.1998.274.6.G1028

概要:
この研究では、食事内容と腸内細菌の代謝が、おなら(腸内ガス)の生成量と臭いに与える影響を調査しました。

特に、硫化水素(H₂S)やメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物が、腸内細菌叢の活動によって生成され、悪臭の主な原因となることが確認されました。

実験では、被験者に異なる食事(例:高タンパク食、高繊維食)を摂取させ、ガスの組成と臭いの強さを分析しました。硫黄を含む食品が悪臭を増加させる傾向が示されました。

関連ポイント: 腸内細菌叢のバランスが崩れると、硫酸還元菌などの悪玉菌が優勢になり、悪臭の原因となる化合物の生成が増えることが明らかになりました。

2. Magee et al. (2000)

Contribution of dietary protein to sulfide production in the large intestine: an in vitro and in vivo study

掲載誌: Gut

巻/号: Volume 46, Issue 5, May 2000, Pages 634-641

DOI: 10.1136/gut.46.5.634

概要:
この研究は、食事中のタンパク質が大腸での硫化物生成にどのように寄与するかを調べました。

硫黄を含むアミノ酸(例:システイン、メチオニン)が腸内細菌によって代謝され、硫化水素などの悪臭ガスを生成することが示されました。

体外(in vitro)および体内(in vivo)の実験を通じて、高タンパク食が硫黄化合物の生成を増加させ、おならの臭いを強くする可能性を報告しています。

関連ポイント: 腸内細菌叢の組成(特に硫酸還元菌の存在)が、ガスの臭いに大きく影響することが強調されています。

3. Gibson et al. (1995)

Selective stimulation of bifidobacteria in the human colon by oligofructose and inulin

掲載誌: Gastroenterology

巻/号: Volume 108, Issue 4, April 1995, Pages 975-982

DOI: 10.1016/0016-5085(95)90192-2

概要:
この研究では、プレバイオティクス(オリゴフルクトースやイヌリン)が腸内のビフィズス菌(善玉菌)を選択的に増加させ、腸内環境を改善する効果を検証しました。

※プレバイオティクスは、消化されずに大腸まで届き、腸内の有益な細菌(主にビフィズス菌や乳酸菌)の増殖を助ける成分

善玉菌の増加により、腸内発酵が最適化され、硫黄化合物の生成が抑えられる可能性が示唆されています。これにより、おならの臭いやガスの生成量が減少する傾向が観察されました。

関連ポイント: 腸内フローラの改善が、悪臭ガスの生成を抑えるメカニズムに関連していることを示しており、プロバイオティクスやプレバイオティクスが有効である可能性を裏付けています。

■おならの回数と腸内細菌叢の関係について参考にした論文

おならの回数は、腸内細菌による発酵、食事内容、消化器の健康状態、腸内細菌叢の組成などに影響されます。

1. Tomlin et al. (1991)

Investigation of normal flatus production in healthy humans

掲載誌: Gut

巻/号: Volume 32, Issue 6, June 1991, Pages 665-669

DOI: 10.1136/gut.32.6.665

概要:
この研究では、健康な人のおならの頻度とガスの組成を調査しました。1日あたりのおならの平均回数は約10~20回と報告されており、食事内容(特に発酵性炭水化物、例:豆類や食物繊維)や腸内細菌の活動が頻度に影響を与えることが示されました。

腸内細菌による発酵が活発な場合(例:乳糖不耐症や高繊維食)、ガス生成量が増加し、おならの回数が増える傾向が確認されました。

関連ポイント: 腸内細菌叢の組成がガス生成量に影響し、善玉菌(ビフィズス菌など)が優勢な場合、発酵が効率的になり、過剰なガス生成が抑えられる可能性が示唆されています。

2. Cummings et al. (1997)

タイトル: Fermentation in the human large intestine: Evidence and implications for health

掲載誌: European Journal of Clinical Nutrition

巻/号: Volume 51, Supplement 1, January 1997, Pages S32-S37

概要:
この研究は、腸内細菌による発酵がガス生成に与える影響を包括的に調査しました。発酵性炭水化物(例:オリゴ糖、食物繊維)が腸内で分解される際、炭酸ガス、メタン、水素などのガスが生成され、おならの回数が増えることが報告されています。

腸内細菌叢のバランスが崩れると、異常発酵が起こり、ガス生成量が増加する可能性が指摘されています。逆に、プレバイオティクスやプロバイオティクスによる腸内環境の改善が、ガスの過剰生成を抑える可能性が示唆されています。

関連ポイント: 腸内環境が良好な場合(善玉菌が優勢)、発酵が最適化され、おならの回数が正常範囲(10~20回/日)に収まることが多いとされています。

3. Furnari et al. (2012)

Functional gastrointestinal disorders and gut microbiota

掲載誌: World Journal of Gastroenterology

巻/号: Volume 18, Issue 34, September 2012, Pages 4653-4660

DOI: 10.3748/wjg.v18.i34.4653

概要:
この論文では、機能性胃腸障害(例:過敏性腸症候群、IBS)と腸内細菌叢の関係を調査しました。IBS患者では、腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオシス)がガス生成量の増加やおならの頻度の増加と関連していることが報告されています。

特に、悪玉菌の増加や善玉菌の減少が、過剰なガス生成や腹部膨満感を引き起こし、おならの回数を増やす要因となることが示されました。

関連ポイント: 腸内環境の改善(例:プロバイオティクスの摂取)が、ガス生成量とおならの頻度を減少させる可能性があると結論付けています。

Gibson et al. (1995)(Gastroenterology): プレバイオティクスによる善玉菌の増加がガス生成を抑え、腸内環境を正常化することで、おならの頻度や量を適切な範囲に保つ可能性を示しています。

Suarez et al. (1998)(American Journal of Physiology): 食事内容や腸内細菌の代謝活動がガス生成量に影響し、頻度にも関連することが報告されています。

■まとめ

1)おならの臭いと腸内細菌叢

腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れると、硫黄を含む化合物(例:硫化水素、メチルメルカプタン)を生成する悪玉菌(例:硫酸還元菌)が優勢になることがあり、硫黄化合物は強烈な悪臭の原因となり、おならの臭いを強くします。

  • 腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオシス)により、硫酸還元菌などの悪玉菌が優勢になると、硫黄を含む化合物(硫化水素、メチルメルカプタンなど)が生成され、強烈な悪臭のおならの原因となる(Suarez et al., 1998; Magee et al., 2000)。
  • 食事中の硫黄含有アミノ酸(例:システイン、メチオニン)や硫黄を含む食品(例:ブロッコリー、肉類)が悪玉菌によって代謝され、臭いを増加させる。
  • 善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)が優勢な場合、硫黄化合物の生成が抑えられ、臭いが軽減する(Gibson et al., 1995)。
  • プロバイオティクスやプレバイオティクス(例:オリゴフルクトース、イヌリン)の摂取が腸内フローラを改善し、悪臭を減らす可能性がある。

2)おならの回数と腸内細菌叢

  • 腸内細菌による発酵がガス(炭酸ガス、水素、メタンなど)を生成し、おならの回数に影響する。健康な人のおならの頻度は1日約10~20回が平均(Tomlin et al., 1991)。
  • 発酵性炭水化物(例:食物繊維、豆類、オリゴ糖)の摂取や腸内細菌の異常発酵(ディスバイオシス)がガス生成量を増やし、頻度を増加させる(Cummings et al., 1997)。
  • 過敏性腸症候群(IBS)など、腸内細菌叢の乱れが関与する疾患では、ガス生成が増加し、おならの回数が増える(Furnari et al., 2012)。
  • 善玉菌が優勢な腸内環境では、発酵が効率的でガス生成が過剰になりにくく、頻度が正常範囲に収まる(Gibson et al., 1995)。

3)腸内環境の改善による効果

  • プロバイオティクスやプレバイオティクスによる腸内フローラの改善は、硫黄化合物の生成を抑え(臭いの軽減)、ガス生成量を最適化(頻度の正常化)する(Gibson et al., 1995; Furnari et al., 2012)。
  • バランスの取れた食事(過剰なタンパク質や発酵性炭水化物を避ける)も、臭いと頻度の改善に寄与する(Suarez et al., 1998; Magee et al., 2000)。
  • 腸内細菌叢の乱れは、IBSや腸内感染症などでガス生成や臭いを悪化させるが、腸内環境の改善によりこれらが軽減する可能性がある(Furnari et al., 2012)。

腸内環境が改善すると、善玉菌(例:ビフィズス菌、乳酸菌)が優勢になり、硫黄化合物の生成が抑えられるため、おならの臭いが軽減する傾向があります。

例えば、【カズレーザーと学ぶ。】梅ジュースを摂取すると赤ちゃんのような匂い(皮膚ガス)が出る!によれば、梅摂取により半数が体臭寄与成分(Octanalと2-Ethyl-1-hexanol )の減少が見られ、また2/3の人に梅摂取によるインドールの減少が見られたことから、梅の摂取は体臭・便臭に対して改善効果を示すことが期待できるそうです。

つまり、どのような食べ物を選択するかによって、おならのにおいが変わってくるということですね。

ただ、おならの臭いは、腸内細菌叢だけでなく、食事内容(例:硫黄を含む食品、発酵性炭水化物)、消化器疾患(例:過敏性腸症候群、腸内感染症)、個人の代謝など複数の要因に影響されること、臭いの強さを定量的に評価するのは難しいため、間接的な指標(硫黄化合物の濃度など)で議論されることには注意が必要です。

おならのにおいと回数は健康のバロメーターといわれますが、より具体的に言えば、腸内細菌叢のサインの一つと考えるといいのではないでしょうか?

例えば、おならの回数が正常範囲(10~20回/日)だと善玉菌が優勢な場合、発酵が効率的になり、過剰なガス生成が抑えられており、おならの回数が多いと腸内細菌叢が乱れているという風にです。

最近は腸内細菌叢と食べ物の関係に関する研究を良く調べているのですが、ちゃんと食べ物によって、腸内細菌叢は変化することがわかっています。

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将来的には「おなら外来」ができて、おならの回数、臭い、成分などによって腸内細菌叢から出るサインを見つけて、病気を予防するなんてことが起こりそうな予感です。







うつ伏せゴロゴロ寝運動でガス(おなら)を出して大ぜん動を促して便秘解消!|潰瘍性大腸炎チェック|#ガッテン(#NHK)

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2016年9月14日放送の「ガッテン」(NHK)のテーマは『出た!「便秘」新対策で劇的改善SP』でした。




【目次】

■大腸の「大蠕動(だいぜんどう)」は夜起こる

私たちの大腸は昼に寝て、夜起きているそうです。

健康な大腸は夜起きているときに「大ぜん動」という便を通常の200倍のスピードで動かす働きがあり、これが便秘対策のポイントになります。

ぜん動運動と大ぜん動はどのように違うのでしょうか?

ぜん動運動とは、大腸の壁から栄養や水分を吸収するために食べ物を動かす運動で、大腸にある内容物はゆっくりとしか動きません。

大蠕動は、通常のぜん動運動と比べて200倍のスピードで一気に直腸まで運んでくれるそうです。

しかし、大蠕動は副交感神経が優位の時しか起こらず、緊張しているときなど交感神経が優位の時には大蠕動は起こらないそうです。

しっかり眠れていないときにも大蠕動は起きないので、しっかり寝ることも便秘対策には重要なのです。

■便秘の原因はガス(おなら)

健康な大腸の人はおならが1日に数回出るのですが、便秘の人はおならが出ないそうです。

そのために便秘の人はガスが出ないためにおなかが張ってしまい大蠕動が起こらなくなります。

大蠕動が起こらなくなると、腸内細菌がガスを発生させてガスがたまることによりおなかが張って、ますます大蠕動が起こらなくなってしまうのです。

それではどのようにしたらよいのでしょうか?

■うつ伏せゴロゴロ寝運動で大蠕動を促して便秘解消!

Planking

by Hikosaemon(画像:Creative Commons)

大蠕動を復活させるためには、ガスのために動きが鈍った大腸の中にあるガスを追い出すことが重要です。

そこで番組で提案したのが「うつ伏せゴロゴロ寝運動」です。

  1. 夜寝る前に、おなかのあたりに枕やクッション・座布団を敷いて、うつぶせの状態になり、この姿勢のまま10分間動かずにじっとします。
  2. 次に、体を左右にゴロゴロ転がします(5往復)。

※食後2、3時間は避けたほうが良いそうです。




■食物繊維は便秘予防に効果があるが、便秘改善には逆効果の場合もある!

便秘を解消しようと思って食物繊維をたくさん摂取している人もいると思いますが、食物繊維は便秘予防に効果があるのですが、便秘改善には逆効果になる場合があり、便秘の人が食物繊維を多くとってしまうとかえって便が詰まってしまうことがあるそうです。

便秘を解消したい人は、うどんやおかゆなどの消化吸収の良い炭水化物を食べるようにして便秘解消してから、便秘の予防のために食物繊維を摂るようにしたほうが良いようです。

【補足】

食物繊維といっても、食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、不溶性食物繊維だけを摂りすぎると、便秘になりやすくなるケースがあります。

不溶性食物繊維には、便のカサを増して、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促す働きがあるのですが、腸の機能が衰えている人がとりすぎると、腸が動かない(ぜんどう運動が起きない)ため、水分が腸に吸収されて便が固くなって、便秘になってしまうことがあるようです。

水溶性食物繊維には便をやわらかく、かつ滑りもよくする働きがあるので、水溶性・不溶性の食物繊維をバランスよく摂取するようにしましょう。

■潰瘍性大腸炎チェック

「潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)」とは、大腸に原因不明の炎症で慢性的な下痢などの症状が起こる病気です。

【潰瘍性大腸炎チェック】

  • 出血まじり、あるいは白いゼリー状のものが便に混ざる
  • 原因不明の激しい腹痛や、それに伴う熱などの体調不良
  • 体重の急激な減少
  • 下痢→便秘を繰り返す

このような症状があれば、潰瘍性大腸炎の疑いがあるそうですが、似たような症状の病気もあるので、自己判断をせずに気になる人はぜひ病院で診てもらいましょう。

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