「ウベ」タグアーカイブ

「ウベ抹茶ラテ」が世界でブームに!韓国から広がる紫×緑のドリンク、フィリピンではウベ増産も

日本の「抹茶」とフィリピンで親しまれてきた紫色のヤムイモ「ウベ」。

この2つを組み合わせた「ウベ抹茶ラテ」などのドリンクやスイーツが、韓国のカフェをきっかけにSNSなどを通じて広がり、Z世代を中心に注目されているというニュースがNHKで紹介されていました。

鮮やかな紫色のウベと、緑色の抹茶。

写真や動画にしたときのインパクトが大きく、「SNS映え」することも人気の理由の一つとして考えられそうです。

ただ、今回のニュースを見ていて興味深かったのは、単に「新しいスイーツが流行っています」という話ではありませんでした。

世界的な需要の高まりを受けてフィリピンではウベを加工する工場が生産を増やす一方、原料となるウベが不足しているというのです。

これを聞いて、どこかで聞いたことがある話だと思いました。

「抹茶」です。

ハクライドウでは以前、

なぜ抹茶(碾茶)が海外でブームになったのか?

という記事で、世界的な抹茶ブームについて取り上げました。

海外で抹茶の需要が急増したことによって、原料となる碾茶の生産や供給にも影響が出ています。以前の記事でも、需要に対応するため碾茶生産を拡大する動きを取り上げています。

もしかすると「ウベ」と「抹茶」という全く違う食材に、同じような現象が起きているのでしょうか?

今回は「ウベ抹茶ラテ」から、世界的な食のトレンドについて考えてみたいと思います。

■そもそも「ウベ」とは?

ウベ(UBE)は、主にフィリピンで親しまれてきた紫色のヤムイモです。

鮮やかな紫色が大きな特徴で、フィリピンでは昔からアイスクリームやケーキ、かき氷など、さまざまなスイーツに使われてきました。

日本で「紫色の芋」と聞くと紫芋を想像するかもしれません。

また、アジアのスイーツでよく使われるタロイモを思い浮かべる人もいるでしょう。

しかし、ウベは日本の紫芋やタロイモとは別のものです。

つまり、ウベは最近突然誕生した「流行のための食材」ではありません。

フィリピンでは以前から食べられてきた食材が、別の国や地域で新しい形にアレンジされ、世界から注目され始めたというところが面白いのです。

■なぜ「ウベ」が人気になっているの?

NHKのニュースでは、韓国のカフェを中心に人気になり、SNSやZ世代へと広がっていることや、健康志向という側面も紹介されていました。

特にSNSとの相性がよさそうなのが、ウベの鮮やかな紫色です。

実際、海外では以前からウベを使ったドリンクやスイーツが存在していましたが、近年はその色を生かしたウベラテやウベシェイクなども注目されています。

そこに抹茶を組み合わせると、

ウベの紫 × 抹茶の緑

という非常に特徴的な色の組み合わせが生まれます。

海外では紫、白、緑の層を作ったウベ抹茶ラテも紹介されており、TikTokを中心に話題になっていると報じられています。

味だけではなく、見た瞬間に「これは何?」と思わせるビジュアルがあることは、SNS時代の食トレンドでは大きな特徴なのかもしれません。

■健康志向もウベや抹茶人気の理由?

もう一つ興味深いのが「健康志向」です。

抹茶についても、海外では単なる日本のお茶ではなく、「健康的」「ウェルネス」といったイメージと結びついて広まってきた側面があります。

以前のハクライドウの記事でも、海外における抹茶人気には健康志向だけでなく、SNSで映える鮮やかな緑色、日本文化への関心、カフェ文化など複数の要素があることを紹介しました。

ただ、ここでは注意も必要です。

「健康的なイメージで人気になっていること」と「ウベ抹茶ラテを飲めば健康になること」は別の話です。

ラテやスイーツは商品によって使用される材料も異なります。

そのため「ウベ抹茶ラテ=健康食品」と考えるのではなく、健康志向やウェルネスというイメージも、消費者が関心を持つ背景の一つになっている、と捉える方がよいのではないでしょうか。

■「抹茶の次はウベ」といわれているけれど、本当にそう?

2026年には日本でも「抹茶の次はウベ」と、ウベを次のトレンド候補として紹介する記事が登場しています。

でも、今回の「ウベ抹茶ラテ」を見ていると、

「抹茶 → ウベ」

と人気食材が交代しているわけではないことに気づきます。

むしろ、

「抹茶 × ウベ」

なのです。

ここが今回のブームの面白いところではないでしょうか?

世界でMATCHAそのものが知られるようになったことで、「抹茶とは何か」を一から説明しなくても、別の食材と組み合わせることができる。

つまり抹茶が、

「日本独自の飲み物」から「世界中でアレンジできる素材」へ

変化してきたとも考えられます。

■実は「抹茶×現地の食材」はウベだけではない

この仮説を考えるうえで面白い例があります。

ベトナムでは、日本の抹茶とココナッツジュースを組み合わせた「抹茶ココナッツジュース」が若者の間で広がった事例が報告されています。

つまり、

日本の抹茶 × フィリピンのウベ

だけではありません。

抹茶 × ココナッツ

という別の組み合わせも生まれているわけです。

個々の流行だけを見ると、

「ウベが流行っている」

「抹茶ココナッツが流行っている」

という別々のニュースに見えます。

しかし少し引いて見ると、

日本から広がったMATCHAが、それぞれの地域で親しまれている食材と組み合わされ、新しいドリンクやスイーツへと変化している

という共通した動きとして見ることもできそうです。

■ウベは世界同時多発的に流行する「ファッションフード」?

今回のNHKのニュースで興味深かったのが、食文化研究家が「ファッションフード」という言葉で今回のウベ人気を紹介していたことです。

ここでいう「ファッションフード」とは、ある食べ物が一つの地域から順番に広がっていくだけではなく、世界各地で同時多発的に流行していくような現象を捉えた言葉です。

この視点から「ウベ抹茶ラテ」を見ると、とても興味深いものがあります。

もともとウベは、フィリピンで昔からアイスクリームやケーキなどに使われてきた食材です。

ところが現在は、韓国などのカフェ文化の中で新しいドリンクやスイーツにアレンジされ、SNSなどを通じて世界に広がっています。

一方の抹茶も、日本から海外へ広がり、現在ではラテやスイーツなどさまざまな形で楽しまれるようになっています。

ハクライドウでも以前、なぜ抹茶(碾茶)が海外でブームになったのか?という記事で、健康志向だけでなく、鮮やかな緑色、日本文化への関心、SNS、カフェ文化など、さまざまな要素が海外での抹茶人気と結びついていることを紹介しました。

つまり「ウベ抹茶ラテ」には、

フィリピンのウベ
× 日本の抹茶
× 韓国などのカフェ文化
× SNS

という、いくつもの国や文化の要素が重なっています。

もはや「どこの国の食べ物なのか?」だけでは説明しにくい、新しい食文化が生まれているともいえそうです。

■SNS時代は「食の流行の伝わり方」そのものが変わった?

これまで食の流行というと、

ある地域で流行
↓
別の地域へ広がる
↓
少しずつ世界へ

というイメージがあったのではないでしょうか。

しかしSNSの登場によって、世界各地の人が同じ食べ物の写真や動画を見ることができるようになりました。

すると、

ある地域で昔から親しまれてきた食材
↓
別の国で新しい食べ方にアレンジされる
↓
SNSなどを通じて世界へ広がる
↓
それぞれの地域でさらに新しいアレンジが生まれる

という循環も考えられます。

今回の「ウベ抹茶ラテ」は、まさにその象徴のように見えます。

フィリピンのウベと、日本の抹茶が組み合わされ、韓国などのカフェ文化の中で新しい形となって発信されている。

「ファッションフード」という視点から見ると、重要なのは「ウベが次に流行する食材なのか?」だけではありません。

食の流行が世界へ伝わる仕組みそのものが変わってきているのではないか?

というところまで考えることができます。

■そして「流行」が生産現場まで動かす

さらに今回のニュースが興味深いのは、流行がSNSの中だけで終わっていないことです。

NHKの報道では、世界的な需要の高まりに対応してフィリピンの工場が生産を増やす一方、原料となるウベが不足していることも紹介されていました。

ここで以前取り上げた抹茶の話とつながります。

抹茶も海外での需要拡大によって、生産や供給にまで影響が及んでいます。

以前の記事では、抹茶需要の拡大を受けて中国でも碾茶の生産拡大が進んでいることや、日本でも抹茶需要に対応する動きについて取り上げました。

もちろん、抹茶とウベでは生産地も栽培方法も市場も異なるため、両者の供給問題が同じ原因だとはいえません。

ただ、共通して見えるのは、

ローカルな食材が注目される
↓
SNSなどを通じて世界的なトレンドになる
↓
需要が増える
↓
商品の増産が進む
↓
原料の生産・供給にも影響する

という流れです。

ここまで来ると、「SNS映えするドリンクが流行した」というだけの話ではありません。

デジタル上で生まれた世界的な食のトレンドが、農業や食品加工といったリアルな生産現場にも影響している。

今回のニュースで本当に興味深いのは、ここなのではないでしょうか。

■まとめ:「抹茶の次はウベ」ではなく「食の流行そのものが変わった」?

紫色のウベと緑色の抹茶。

「ウベ抹茶ラテ」は、一見するとSNS映えするカラフルなドリンクの流行に見えます。

しかし、その背景を追っていくと、もう少し大きな変化が見えてきます。

フィリピンで昔から親しまれてきた「ウベ」が、別の地域のカフェ文化の中で新しい姿にアレンジされ、そこへ世界的に人気となった日本の「MATCHA」が組み合わされる。

そしてSNSなどを通じて世界各地で注目され、需要が増えることで、その影響は原料を作る生産現場にまで及んでいます。

今回紹介されていた「ファッションフード」という考え方で見ると、

「抹茶の次はウベなのか?」

だけを考えるのでは少し足りないのかもしれません。

むしろ今回のウベ人気から見えてくるのは、

「食の流行そのものが変わってきている」

ということではないでしょうか。

一つの国で生まれた食文化がそのまま世界へ輸出されるのではなく、別の国の食材やカフェ文化と混ざり、新しいものに変化しながら世界各地で同時多発的に広がっていく。

そしてその流行が、実際の農業や食品生産まで動かしていく。

「ウベ抹茶ラテ」は、そんなSNS時代のファッションフードの生まれ方を象徴する一杯なのかもしれません。

■参考文献・参考記事

NHK:ウベ、ウベ抹茶ラテの世界的な流行に関する報道(2026年10月11日)
韓国のカフェを起点としたウベ人気、Z世代・SNS、健康志向、世界的な需要拡大、フィリピンでの増産・原料不足、「ファッションフード」という視点について参照。

macaroni「抹茶の次は『ウベ』!世界でブームが加速する紫スイーツが日本でもトレンドになる予感」(2026年6月9日)
ウベがフィリピンで親しまれてきた紫山芋(パープルヤム)であること、アイスやケーキなどに使われてきたこと、日本の紫芋やタロイモとは異なることなどを参照。

Businesia「次世代トレンドは比日融合?TikTokで話題の『ウベ・抹茶』の魅力」(2026年6月17日)
ウベと抹茶を組み合わせたメニューや、TikTokを中心としたウベ・抹茶の話題について参照。記事では、ジャカルタのカフェで紫・白・緑の3層からなるウベ・抹茶ラテの提供例も紹介されています。

TNCアジアトレンドラボ「ベトナムZ世代の間で大流行の新抹茶体験/『抹茶×ココナッツジュース』に注目!」(2025年3月25日)
ベトナムでの「抹茶×ココナッツジュース」とSNS・若者への広がりについて参照。

ハクライドウ「なぜ抹茶(碾茶)が海外でブームになったのか?」(2025年8月19日)
海外での抹茶人気と健康志向、SNS・カフェ文化、抹茶需要拡大と生産・供給への影響などについて参照。
ハクライドウの記事を読む







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
この街の歩き方をまとめたページがあります。

▶ はじめての方は
👉 この街の歩き方ガイドから全体を見渡すのがおすすめです。

▶ この街の地図を見る(全体像を把握したい方へ)

※ 無理に読まなくて大丈夫です。
 気になったときに、いつでも戻ってきてください。

この考え方の全体像(意味のハブ)

この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

▶ 料理から見る健康

この街の考え方について

この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。

▶ この街の中心に置いている憲法を読む