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どうしたらスポーツのコーチングレベルが上がるのか?|アーバンスポーツとトラディショナルスポーツのコーチングの違い|ヒントは「オープンソース」?




■どのようにしたら監督・コーチのレベルが上がるのか(トレーニング理論がより良くなるのか)?

Coach Brad Stevens

by Bradjward(画像:Creative Commons)

バルサも採用するサッカーのコンディショニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」という記事は定期的に見ていただいている記事です。

【参考記事】

この記事の元記事はNumberで紹介されており、見たときにはこれほどの内容をウェブで公開するなんて素晴らしすぎると思ったものでした。

昔であれば、本を読んだり、指導者に教えを仰ぐという方法(もちろんこれが一番いい方法だと思いますが)しかなかったもののウェブ上でこうした情報が公開されることによって、このトレーニング理論を試してみようと考える人も出てきていると思います。

また、こうした理論はそのスポーツだけでなく、ほかのスポーツの発展にも役立っていくのだと思います。

先日Twitterを見ていたら、バルサも採用するサッカーのコンディショニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」を「ラクロス」に使えるのではないかと考えている方がいました。

このようにして一つのトレーニング理論が他のスポーツに波及するなんて面白いですよね。

そして、このトレーニング理論を試してみた別のスポーツの研究結果をまたフィードバックすることができればよりよいトレーニング理論ができていくのだと思います。

では、アスリートと指導者の情報共有コミュニティを仮に作るとしたら、どうなるといいでしょうか?

●テキスト・画像・動画でトレーニングの様子を公開

アスリート自身が自身のトレーニング風景を動画で撮影して、子ども、学生などのアマチュアからプロまでが、その情報を共有します。

その情報一つ一つに対して価格を設定し、学生向けには低価格で提供したり、プロに対してはある程度の価格で提供できるなど柔軟な価格帯を用意します。

そして、その情報が今後のアスリートの育成費用となっていきます。

【参考リンク】

●コーチ自身のトレーニング理論をプレゼンし、プロのコーチの転職活動や採用活動に活かす

リンクトインのようなスポーツコーチ版の転職SNSも作り、コミュニティ内でコーチ自身のトレーニング理論をプレゼンし、プロのコーチの転職活動や採用活動に活かすことができます。

ウェブで公開しているのはあくまで言葉なので、どうしても伝わる内容には限りがあります。

動画などを活用する方法もありますが、知りたい内容(わからない内容)と教える内容がマッチしていなければいけません。

トレーニングにおいてどういう点で悩んだのかや試行錯誤した点、非言語の部分などやはり文章で伝えるには限界があるのです。

そうなると、その指導者に直接教えを仰ぎたいと思ったチームの採用担当者がオファーをするようになるでしょう。

●スポーツ栄養学コミュニティ

女性アスリートが陥る3つの障害は「栄養不足」「月経(月経不順や無月経)」「骨」によれば、カロリーは摂れていても食事内容がよくなかったり、栄養バランスが悪かったり、体重制限などで食事を減らしていることによって、栄養不足になっているケースがあります。

女性アスリートの三主徴(FAT)等|男女共同参画白書(概要版) 平成30年版によれば、女性アスリートの選手生命に大きな影響を及ぼす徴候として、摂食障害の有無によらないエネルギー不足・無月経・骨粗しょう症が挙げられており、新体操や体操、フィギュアスケート等の「審美系」競技など、体重管理の重要性の高い競技で多く見られるそうです。

このようにスポーツ栄養学が広まっていなかったり、男性コーチが女性アスリートの健康についての関心が低かったために、選手生命に大きな影響を及ぼすエネルギー不足・無月経・骨粗しょう症を起こしていることがあります。

スポーツ栄養学コミュニティができることで、アスリートとコーチが学んでいくと、アスリート、特に女性アスリートの成績の向上につながることが期待されます。

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■まとめ

伝統的なスポーツとアーバンスポーツの考え方の違いは、コーチングシステムの違いにあると考えられます。

伝統的なスポーツではコーチと選手という明確な関係性がありますが、アーバンスポーツでは、選手の動き(の動画)を見て真似することで、誰かが誰かのコーチにいつの間にかなっています。

上手くなるには、単純に時間をかければ上手くなるというわけではなく、目的意識をもってフィードバックをすることが重要です。

適切な問題さえ生まれれば。|ほぼ日では、「Ruby」というオープンソースのプログラムを作ったまつもとゆきひろさんが語った「オープンソースの秘密」の話で、毎日動きを続けていると適切な大きさの問題が次々に生まれ、それを解決する人が現れるそうです。

まるで新聞にクロスワードパズルが載っていたら、勝手に解くように。

大事なことは、何か意味があるからやるんじゃなくて、自分が解決したい問題がそこにあるから解いているだけであって、自分のためにやっていることが結果誰かの役に立つことがあるということです。

「いい」「悪い」といった善悪の判断、利己・利他といったものでもなく、本能的についやってしまう行動が積み重なり、その総体がいい方向に向かうというのが良いプロジェクトなんですね。

そうまるで、アーバンスポーツのコーチングシステムは「オープンソース的」ではないでしょうか?

ただ自分がうまくなりたいと思って、技を習得しようとしてできたことを動画に取ったことは自分のためにやったことですよね。

それが結果誰かにとってのコーチングになっている。

つまり、新しい時代のコーチングは、オープンソース的になることが一つの方法です。

オープンソースのメカニズムにおいて大事なことは「とにかく動き続けること」、そして魅力的な問題を生み出し続けることです。

【追記(2021/4/20)】







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