「腎臓が寿命を決める」「腎臓寿命」という投稿を見つけたので、論文ベースで調べてみました。
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■腎機能低下と死亡リスク・寿命短縮の直接的な証拠
eGFR(推定糸球体濾過率の低下のこと、腎臓が血液をろ過する能力の目安)が低いと死亡リスクが上昇します。
多くの大規模研究で、eGFRが60未満(慢性腎臓病:CKDの基準)になると、全死亡リスクや心血管疾患リスクが明らかに高くなります。
例えば、eGFR<45のグループでは、基準グループに比べて死亡や健康寿命短縮のハザード比(リスク倍率)が1.86倍程度になる報告があります。 eGFRが低いほど、不健康な生存年数が長くなる(健康寿命が短い)傾向が見られ、医療費や介護費が増加する傾向にありました。 【参考文献】
- Ogura H, Toyama T, Samuta H, Hirako K, Itatani T, Nakagawa S, Oshima M, Kitajima S, Hara A, Sakai N, Shimizu M, Takura T, Wada T, Iwata Y. Relationship between kidney function and healthy life expectancy: A historical cohort study. BMC Nephrol. 2025 Jan 13;26(1):21. doi: 10.1186/s12882-024-03843-0. PMID: 39806298; PMCID: PMC11730782.
30〜50代でeGFRが低下していると、寿命が10年以上短くなる可能性(Years of Life Lost:YLLs)があり、特にタンパク尿(蛋白尿)を伴うとリスクがさらに高まります。
タンパク尿およびeGFR < 60の参加者の平均余命は26.24年で、腎機能異常は、特にタンパク尿のある患者や若年成人において、平均余命を短縮することから、腎機能の積極的な健康管理は、将来的な病気による経済的負担を軽減することができると考えられます。 【参考文献】
- Chan TC, Chuang YH, Hu TH, Y-H Lin H, Hwang JS. Mortality risk and years of life lost for people with reduced renal function detected from regular health checkup: A matched cohort study. Prev Med Rep. 2023 Jan 3;31:102107. doi: 10.1016/j.pmedr.2022.102107. PMID: 36820368; PMCID: PMC9938332.
2つ論文を参考にすると、腎機能が低下(eGFRが低下)すると、健康寿命が短くなり、特に若いうちから蛋白尿を伴うと寿命が短くなったり、病気による経済的負担が増加することから、若いうちから腎機能の健康管理に取り組むことが重要になることがわかります。
つまり腎臓は寿命を決める臓器ともいえるわけですね。
■なぜ腎臓が全身の老化・寿命に深く関わるのか?
腎臓の老化のメカニズムには、酸化ストレス、Klotho(クロトー)レベルの低下、細胞老化、慢性炎症などがあります。
これらの変化は、腎臓の濾過、再吸収、分泌、および内分泌機能の持続的な低下につながり、ひいては全身の健康に影響を与える。
腎臓の構造的変化は主に糸球体硬化症、尿細管変性、間質線維化です。
これらの構造的変化は腎機能の低下と密接に関連しており、慢性腎臓病(CKD)の発症につながる可能性があり、高齢者は急性腎障害(AKI)の発症率が高く、回復の見込みが低いです。
加齢に伴う腎疾患、特に糖尿病性腎症(DN)の有病率は年齢とともに増加します。
末期腎不全(ESRD)とは、慢性腎臓病(CKD)の最も進行した段階を指し、患者の腎臓は健康な人に比べて早期老化の兆候を示します。
●Klotho(クロトー)という抗老化物質
腎臓で作られるタンパク質「Klotho(クロトー)」は、老化を遅らせる重要な因子なのですが、このKlothoが減少すると、酸化ストレス・炎症・血管石灰化が進み、腎臓だけでなく心臓・骨・筋肉の老化も加速します。
【参考文献】
- Zhang M, Ni H, Lin Y, Wang K, He T, Yuan L, Han Z, Zuo X. Renal aging and its consequences: navigating the challenges of an aging population. Front Pharmacol. 2025 Jul 24;16:1615681. doi: 10.3389/fphar.2025.1615681. PMID: 40777989; PMCID: PMC12328422.
●加齢による腎臓の変化
加齢そのものが腎臓の損傷を引き起こすわけではありませんが、40歳以降、腎機能は自然に年1%程度低下し、腎臓の修復能力を低下させ、高血圧・糖尿病・肥満があるとそれが加速し、急性腎疾患、慢性腎疾患、その他の腎疾患にかかりやすくする可能性があります。
腎臓の構造変化(ネフロン減少、線維化)が起きると、体内廃棄物の排出が悪くなり、慢性炎症や高リン血症を引き起こします。
これらが心筋梗塞・脳卒中・認知症・サルコペニア(筋肉減少)のリスクを高め、結果として寿命を縮めます。
【参考文献】
- Fang Y, Gong AY, Haller ST, Dworkin LD, Liu Z, Gong R. The ageing kidney: Molecular mechanisms and clinical implications. Ageing Res Rev. 2020 Nov;63:101151. doi: 10.1016/j.arr.2020.101151. Epub 2020 Aug 22. PMID: 32835891; PMCID: PMC7595250.
■腎臓の機能低下は全身に波及する
腎臓は血圧調整・電解質バランス・赤血球産生ホルモンなども担っています。
腎機能低下はこれらを乱し、多臓器連鎖不全の引き金になりやすいです。
腎臓は『肝腎連関』『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要|#NHKスペシャルで紹介した京都大学大学院医学研究科の柳田素子教授によれば、腎臓は、腎臓が悪くなると、他の臓器も悪くなり、他の臓器が病気になると、腎臓も悪くなるというように『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』『肝腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要となっているそうです。
■腎臓の機能を守るには?
腎機能が安定している人はQOLが高く長生きしやすいそうです。
【参考文献】
また、寿命が長い家計の男性は腎機能がすぐれていることから、腎臓機能を守ることが長生きの秘訣と言えそうです。
【参考文献】
腎臓の機能を守るためには、血圧・血糖・体重の管理、適度な運動、塩分・タンパク質の適量摂取、禁煙が有効です。
また、早期発見のためにも、定期的な血液検査:クレアチニン、eGFR、尿検査をするとよいのではないでしょうか?
■まとめ
腎臓を健康のカナメと考えて、いかに腎臓を守る生活習慣にするかを考えることが、健康寿命を延ばす秘訣なんですね。
メタボリックドミノを予防するカギは「腸と腎臓」!腸の炎症と慢性腎臓病を避けるにはどんな食事をするといいの?によれば、メタボリックドミノを進行させるリスク要因として、慢性腎臓病(以下、CKD)が大きく関わっていることがわかってきました。
CKDはメタボリックドミノの流れの中では中流にあり、糖尿病と同じ時期に発症します。
CKDを発症すると、腎臓機能が低下するだけでなくメタボと合併症をそれぞれ進行させます。
つまり、体全体に影響を与えるということです。
以前健康的な食事=脂質・糖質・塩分で腎臓のフィルターを詰まらせない食事をするという方が食生活の改善ができるのでは?という記事を紹介しましたが、腎臓を守る食事こそが健康的な食事という意味では合っているということになりますよね。
腎臓を守る食事としては、脂質・高糖分・高塩分の食事を避けるようにしましょう。
→ 慢性腎臓病(CKD)の症状・原因 について詳しくはこちら
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