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新しいがん治療として注目される「免疫チェックポイント阻害剤」とは|ポイントはアクセルとブレーキの考え方




■免疫チェックポイント阻害剤とは

Documenting Research Findings

by National Eye Institute(画像:Creative Commons)

※画像と文章とは直接関係ありません。

がん治療で注目の「免疫チェックポイント」、がん全体での共通点や相違点が明らかに

(2015/5/21、Medエッジ)

がん細胞の表面に存在する「PD-L1」は、「免疫チェックポイント」という今注目の仕組みに関係するタンパク質。これは、本来は体を守る免疫の働きを暴走させないための仕組みなのだが、これをがん細胞は逆手に取って利用している。

がん細胞の「PD-L1」が、攻撃にやってきた免疫細胞の表面にある「PD-1」というタンパク質をつかむと、つかまれた免疫細胞はまひして動けなくなり、攻撃できなくなってしまう。これにより、がんは進行しやすくなる。

がんの分子標的薬として、PD-1とPD-L1が接触できないように邪魔する薬「免疫チェックポイント阻害薬」が開発されている。

免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞の「PD-L1」と免疫細胞にある「PD-1」というタンパク質を接触できないようにすることでがんの進行をさせないようにする薬のようです。

「ニボルマブ」「ペンブロリズマブ」といった免疫チェックポイント阻害薬の検証が行われているようです。




■最初は偶然の発見だった

脚光を浴びる新たな「がん免疫療法」:小野薬品のオプジーボ

(2015/4/22、nippon.com)

1990年代初頭、本庶研究室の大学院生だった石田靖雄氏(現・奈良先端科学技術大学院大学准教授)が、免疫細胞があらかじめプログラムされた細胞死(アポトーシス)を起こす分子の探索を進めていた。92年に最初に見つかった分子がPD-1(Programmed cell death-1)と命名された。

<中略>

PD-1は活性化した免疫細胞(T細胞やB細胞)に広く発現し、“免疫のブレーキ役”(免疫チェックポイント分子)として、免疫応答を抑制する機能を持つことが証明されたのである。

がん免疫療法の開発を進めてきたのは、京都大学の本庶佑(ほんじょ・たすく)研究室だったそうです。

がん治療が変わる ~日本発の新・免疫療法~

(2015/10/27、クローズアップ現代)

20年ほど前、免疫細胞が持つ「PD-1」という役割の不明なたんぱく質を見つけ、その働きを探ろうとしました。

遺伝子操作でPD-1がないマウスを作り、観察したのです。

すると、心臓に炎症が起きました。

PD-1がないマウスでは免疫細胞が暴走し、自分自身の正常な細胞を攻撃してしまったのです。

このことから、PD-1が免疫細胞を制御するブレーキであることが分かりました。

PD-1が免疫細胞のブレーキならば、その働きをコントロールすることでがん細胞と戦う力を取り戻せるかもしれない。

これまでの従来のがんに対する免疫療法の開発というのは、免疫細胞に働きかけ攻撃力を高めるというアクセルを踏むことを考えて、どのように免疫細胞を活性化しようかということばかりを考えてきていたそうです。

しかし、免疫細胞をどんなに活性化しても、免疫細胞がブレーキをかけられてしまうと、がんを攻撃できません。

免疫細胞というのは、もともと自分と自分以外のものを識別して、自分以外のものを排除するというような働きを持っています。

このブレーキというのは、免疫細胞が逆に暴走しないように、自分自身を攻撃しないようにするために非常に必要な分子なんですね。

免疫細胞におけるブレーキは自分自身を攻撃しないようにするために必要なのですが、がん細胞はそのブレーキを利用して、がん細胞自身が攻撃にされないようにしているそうです。

そこで、免疫チェックポイント阻害薬によって、ブレーキを外すことにより、がんを進行させないようにすることができるそうです。







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高額ながん治療薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の薬価50%引き下げ|中医協了承

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参考画像:<がん治療薬>「オプジーボ」最大50%値下げ 政府方針|毎日新聞スクリーンショット




<がん治療薬>「オプジーボ」50%下げ 中医協了承

(2016/11/16、毎日新聞)

厚生労働省は16日、厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)を開き、極めて高額のがん治療薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の薬価50%引き下げを提案し、了承された。

政府ががん治療薬「オプジーボ」の値下げ幅を最大50%引き下げる調整を行なっていましたが、中央社会保険医療協議会(中医協)で薬価50%引き下げを提案し、了承されたそうです。

<がん治療薬>「オプジーボ」最大50%値下げ 政府方針

(2016/11/10、毎日新聞)

オプジーボは2014年に一部の皮膚がんを対象に保険適用され、100ミリグラム約73万円の薬価が認められた。その後、患者数の多い肺がんなどにも適用を拡大、16年度は1万5000人の利用が見込まれている。患者1人あたり約3500万円かかるとされ「医療財政を圧迫する」と薬価の引き下げを求める声が強まった。

政府はがん治療薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の値下げ幅を当初方針の最大25%から拡大し、最大50%引き下げる調整を行っているそうです。

■「オプジーボ」とは?

脚光を浴びる新たな「がん免疫療法」:小野薬品のオプジーボ

(2015/4/22、nippon.com)

米国での治験では、非小細胞肺がん、前立腺がん、大腸がん、腎細胞がんなどの固形がん、および悪性黒色腫(メラノーマ)を対象に投与する試験が実施され、いずれも有効例が認められた。メラノーマや腎細胞がんでは30%近い奏効率(がんが消失または一定割合以上縮小した人の割合)を示した。試験の結果は、2012年、最高峰の臨床医学雑誌「New England Journal of Medicine」誌に報告され、論説では、「過去30年で試みられた多くのがん免疫療法で、最も高い奏効率」と評された。1年以上の長期にわたって再発がない患者もいた。

日本では、小野薬品が非小細胞肺がん、腎細胞がんなどの患者を対象に安全性を調べるフェーズⅠ試験を行い、著効を示す例が出た。中で最も予後の悪いメラノーマを対象とした開発を先行させた。メラノーマを対象にしたフェーズⅡ試験は国内では実に20年ぶりだ。

抗体を用いた「がん免疫療法」は、米国科学雑誌「Science」が選ぶ13年の「Breakthrough of the Year」に選ばれた。ニボルマブは14年7月、「オプジーボ」として、メラノーマを対象に世界に先駆けて日本で承認され、9月には米国でも承認された。肺がん(治療歴を有する進行期肺扁平上皮がん)については、米国では既に試験を終えて優先審査がなされている。

ニボルマブは2014年7月、メラノーマ(悪性黒色腫)を対象に「オプジーボ」として、日本で承認され、9月には米国でも承認されたそうです。

■ニボルマブのメリットとデメリット

脚光を浴びる新たな「がん免疫療法」:小野薬品のオプジーボ

(2015/4/22、nippon.com)

ニボルマブには従来の抗がん剤と比べ、①がん種を問わない、②副作用が少ない、③末期でも効き始めたらずっと効き、再投与もできる、という大きな特徴がある。特定のがん種の増殖にかかわる分子をピンポイントで狙う分子標的薬とは逆で、免疫チェックポイント阻害薬は幅広いがんの治療薬となる。

本庶氏は、「今の抗がん剤は、やがてほとんど使われなくなり、すべて PD-1抗体で治療することになるだろう」と予測する。

最大の欠点は、値が張ることだ。患者1人当たりの年間治療費は、平均で約1500万円にも達するとされる。

ニボルマブは、幅広いがんの治療薬となる免疫チェックポイント阻害薬です。

新しいがん治療として注目される「免疫チェックポイント阻害剤」とは|ポイントはアクセルとブレーキの考え方によれば、がん細胞の「PD-L1」が、攻撃にやってきた免疫細胞の表面にある「PD-1」というタンパク質をつかむと、つかまれた免疫細胞はまひして動けなくなり、攻撃できなくなってしまうことにより、がんが進行しやすくなっているのですが、免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞の「PD-L1」と免疫細胞にある「PD-1」というタンパク質を接触できないようにすることでがんの進行をさせないようにする薬です。

ニボルマブのメリットは、幅広いがんの治療薬となり、また副作用が少なく、効き始めたらずっと効くという点です。

最大の欠点が、治療費が高額になるということ。

がん大国白書 第1部 新薬の光と影/1(その1) 特効新薬、年3500万円 免疫療法が飛躍的進化

(2016/4/1、毎日新聞)

オプジーボは大人(体重60キロ)が一般的な使い方をすると年間の薬剤費が約3500万円と高額になる

オプジーボは年間の薬剤費が患者1人あたり約3500万円と高額なため、保険適用される場合は患者の自己負担は抑えられても、「医療財政を圧迫する」と薬価の引き下げを求める声が強まり、最大50%引き下げる調整を行なっているそうです。







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