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柔軟性は「才能」であり「リスク」!?ストレッチのやりすぎは危険?「柔らかすぎる体」が抱える意外な危険性

「ストレッチをして体を柔らかくしたい」と思ったことがある人も多いですよね。

筋肉や関節の柔軟性を高めて、体の動きをスムーズにしたい気持ちわかります。

しかし、Xで「柔軟性は大事だけどやりすぎは良くない」という投稿やバレエや新体操、フィギュアスケート選手の予後が悪いという投稿を見て、『本当にそうなのか?』と気になり、改めて柔軟性について調べてみました。

■柔軟性は「才能」であり「リスク」

柔軟性(特に関節の可動域)はパフォーマンスに有利に働く一方で、過剰な柔軟性=関節過可動性は、怪我のリスクを高め、長期的な予後を悪化させる可能性があることが、複数の研究で示されています。

バレエ、新体操、フィギュアスケートといった「美しさ」を極める競技、審美系競技では、極端な可動域が求められる場面が少なくありません。

そのため、生まれつき関節が柔らかい人が有利に働きやすく、選抜されやすい傾向があります。(つまりこれが「才能」)

しかし、過可動性があると靭帯や関節包が緩くなりやすく、関節の安定性が低下します。

その結果、

・再発性の捻挫や亜脱臼
・腱炎や慢性痛
・股関節の関節唇損傷や軟骨損傷
・早期の変形性関節症

といった問題が起きやすくなります。

ダンサーを対象にしたレビューでは、過可動性を「才能(ギフト)でありリスク」と表現するものが少なくありません。

筋力や固有感覚(関節の位置を感じ取る能力)が追いつかないまま可動域だけを広げると、関節が「フラフラ」した状態で負荷がかかり、小さなダメージが積み重なっていきます。

「柔らかすぎる」のも「硬すぎる」のも怪我リスクになる(U字型リスク)

新体操選手を対象にした研究では、「柔軟性が不足していても過剰でも、部位によって怪我リスクが上がる」と報告されています。

また、ダンサー・フィギュアスケーター・体操選手の股関節障害をまとめた系統的レビューでも、極端な可動域の繰り返しが股関節障害の重要なリスク要因になると指摘されています。

興味深いのは、柔軟性と怪我の関係が「柔らかければ柔らかいほど悪い」という単純な話ではなく、「U字型」を描く場合があるという点です。柔軟性が極端に低い群と極端に高い群で怪我率が高く、中程度の群が最も安定しているという結果が、軍事訓練や一般アスリートの研究でも見られます。

目指すべきは「最大可動域」ではなく「コントロールできる可動域(モビリティ)」

ここで重要なのは、「柔軟性そのものが悪い」わけではないということです。

問題なのは、柔らかさだけを追求し、それを支えるコントロール力(筋力と安定性)が伴っていない状態にあります。

元モデルの高橋メアリージュンさんが週1回取り組んでいることで話題になった「モビリティエクササイズ」という言葉があります(参照:高橋メアリージュンさん、週一でモビリティエクササイズに取り組む!モビリティとは何?)。

モビリティとは、単なる柔らかさ(フレキシビリティ)だけでなく、平衡感覚や固有感覚(自分の姿勢や力加減を自覚する感覚)を含めた「体を思いのままにコントロールする能力」のことです。

したがって、体が柔らかい人や関節が過可動気味の人は、ストレッチでさらに「伸ばす」ことよりも、以下のようなアプローチで「安定させる」ことが重要になります。

  • 静的ストレッチのやりすぎに注意:極端な可動域で長時間保持するのは関節をさらに不安定にするリスクがあります。
  • 筋トレで周囲を補強:関節周囲の筋肉を強化し、グラつきを抑えます。
  • 固有感覚を鍛える:「どこまでが安全な範囲か」を体が正しく認識できるようにトレーニングします。

見た目の美しさや柔らかさだけを意識した「最大可動域」ではなく、動きの中で安全かつ安定して使える「コントロールできる可動域」を目指すことこそが、怪我を防ぎ競技寿命を延ばすカギとなります。

■まとめ

「柔らかければ柔らかいほど良い」のではなくて、自身でコントロールできる可動域を知ることが大事なんですね。

アスリートが競技を引退した後も健康的に過ごせる体作りが求められますし、私たち一般の人にとっても、単に『体を柔らかくしたい』と伸ばすだけでなく、

「自分の関節は本当に安定しているか?」
「筋力は可動域に見合っているか?」

と問いかけながら取り組むことが、生涯にわたって動ける健康な体を手に入れる一番の近道ではないでしょうか。

【参考文献】