by Christopher(画像:Creative Commons)
米 Poll Position、Facebook などの SNS サービスは若者に悪影響を与える
(2011/11/19、インターネットコム)
米 Poll Position が2011年11月13日に実施した調査によれば、米国の成人のうち53%が、Facebook などの SNS サービスは若者の社会性発達に悪影響を与えると考えていることがわかった。
これに対し、SNS が有益と回答したのは22%。17%は、影響を与えていないと回答した。
米 Poll Position が2011年11月13日に実施した調査によれば、アメリカの成人の53%が、FacebookなどのSNSサービスは若者の社会性発達に悪影響を与えると考えていることがわかったそうです。
調査結果では、男女、人種による違いはほとんど見られなかった。
だが、年代別に分類された調査結果によれば、29歳以下の層で悪影響を与えると回答したのは46.5%と唯一50%を割り込んでいた。
また、有益と回答したのは34.5%。
これは30-44歳の層による17.1%の2倍の数値だった。
29歳以下は、SNS が若者の社会性発達に悪影響は与えないと考えていることがわかる。
興味深いのは、支持政党別の集計結果。
共和党支持者では、65.1%が悪影響を与えていると回答したのに対し、民主党支持者では悪影響を与えると回答したのは39.7%に留まった。
共和党支持者は、中西部などに在住していることが多く、民主党支持者は都市部に在住していることが多い。
このことから、都市部に在住している人ほど、SNS が社会性の発達に悪影響を与えてはいないと考えていることがわかる。
調査結果をみてみると、次のような結果が出ています。
- 若い年代(29歳以下)は、SNSが若者の社会性発達に悪影響を与えていないと考えている
- 都市部に在住している人程、SNSが社会性発達に悪影響を与えていないと考えている
■インターネット・SNSは社会性に悪影響を与えているのか?
実際、インターネット・SNSは社会性に悪影響を与えているのでしょうか。
スタンフォード大学の社会心理学者クリフォード・ナス氏も、インターネットのマルチタスクは人間の感情の読み取り方を忘れさせてしまう可能性があると指摘する。
マルチタスクの習慣がある人は、人間の顔写真を見せられてもその感情を見極めるのが難しく、物語を読み聞かせられても登場人物の感情を言い当てにくい傾向があることが、実験で判明したという。
「人間同士の交流のスキルは学習によって獲得するものであり、学習が不足している」とナス氏。
人とのコミュニケーションスキルは、経験を通じて学習するものであり、ネットに集中する時間が長いと、直接人と接触する機会が少なくなることから、感情の読み取り方を学ぶことができなくなるようです。
研究では、インターネットのマルチタスクによって、コミュニケーションスキルを学ぶことができない可能性を指摘していますが、今回の調査では、SNSを頻繁に利用していると思われる若くて都市部に在住している人ほど、SNSが若者の社会性発達に悪影響を与えていないと考えています。
SNSを使用頻度の高い人は、SNSが社会性発達に悪影響を与えていないと考えており、周りの人(29歳以上、都市部以外の人)との認識との違いが出ています。
一つこの研究で気になるのは、SNSが社会性発達に悪影響を与えていると考えている人が、どういう点がSNSが若者の社会性発達に悪影響を与えているのかと考えているのかという点です。
もしかすると、社会性というものの認識に差があるのかもしれません。
■SNSは社会的交流を補うツール
また、SNSをツールとして使いこなしている人からすれば、SNSが社会性発達にさらなる好影響を与えていると考えている人がいるのかもしれません。
電話が発明された時も、電話という新しいコミュニケーション手段が直接の交流を避ける様になるのではないかと悲観的に考えられていました。
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「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著 ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)にはこのように書かれています。
新たなコミュニケーション手段が発明されるたびに、テクノロジーが共同体に与える影響をめぐり、過去数世紀にわたって議論が繰り返されてきた。
悲観論者はこんな懸念を表明する。
新たなコミュニケーション手段のせいで昔ながらの人間関係が薄まり、人々は他人との直接の交流をあらゆる面で避けるようになるのではないだろうかと。
しかし、悲観論者が考えていたような電話は社会的コミュニケーションを減らすものではないということはあなたの周りを見ればわかるはずです。
電話と同様、SNSも社会的交流を補うツールだと考えれば、世界は広がっていくはずです。
若いころアメリカに留学していた私の知り合いにも、十数年ぶりにFacebookで連絡をとることができ、再度交流するようになったという人がいます。
もし、SNSがなければ、つながることは出来なかったかもしれません。
SNSを得体の知れない脅威と見るか、それともコミュニケーションを増やすツールと見るかによって、その人の受け取り方が違ってくるのではないでしょうか。
今もSNSの使い方は進化しています。
SNSが現代人に必要なものであれば、電話と同じように社会のインフラとして根付くようになるのではないでしょうか。
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