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■緑内障治療用デバイス「MicroShunt」を開発する米InnFocus社を買収|参天製薬
by PACAF(画像:Creative Commons)
参天製薬 緑内障治療用デバイス開発の米InnFocus社買収 緑内障領域を強化
(2016/8/23、ミクスオンライン)
「MicroShunt」は、房水の出口に目詰まりが生じ眼圧を高める原発開放隅角緑内障に対し、睫毛の2倍程度のマイクロチューブを用い房水排出路を形成する。免疫反応が起こりにくい生体不活性素材を使った、インプラント手術の新たなデバイスで、施術は15分程度で済むという。
参天製薬は緑内障治療用のデバイス「MicroShunt」を開発する米InnFocus社を買収したそうです。
■緑内障治療の現状
緑内障とは、目が正常な機能を保てる「適正な眼圧」以上の眼圧のために、視神経が障害され、視野が欠けてくる病気です。
→ 緑内障とは|緑内障の症状・原因・眼圧・予防 について詳しくはこちら
緑内障の原因としては、前房内の房水が隅角からうまく排出されず、眼球内の圧力が高くなることにあります。
緑内障は視神経の障害により、徐々に視野が狭くなっていく疾患で、眼圧上昇が主な原因とされ、治療には眼圧を下げるための薬剤や手術が用いられる。角膜を切開し、房水を外に出す「線維柱帯切除術」は、侵襲性が高いうえ、術後管理に時間がかかるといわれる。
緑内障の治療にあたっては、目薬で眼圧を下げる方法(プロスタグランジン関連薬・交感神経β受容体遮断薬)によって緑内障の進行を抑える方法や手術によって治療する方法がありますが、まだ確実な治療法はでてきていません。
線維柱帯切除術には、緑内障用デバイス”MicroShunt”を開発する米国InnFocus社の買収について(2016/8/2、参天製薬)によれば、侵襲性が高い、患者さんの50%は短期もしくは長期にわたる重篤な術後合併症を患う、線維柱帯切除術の30%は術後24ヶ月以内に十分な効果が得られなくなる、患者の術後管理に10 – 20時間を費やすというような課題があり、限定的な利用にとどまっていたそうです。
■「MicroShunt」とは
参考画像:緑内障用デバイス”MicroShunt”を開発する米国InnFocus社の買収について|参天製薬スクリーンショット
以前緑内障の新治療法!?眼圧を一定に保つ「埋め込み式マイクロポンプシステム」を開発中で紹介したのが、『フラウンフォーファー研究機構』が考えた、目に本来備わっている供給・排出のための通路を活用して、眼内液の供給・排出を行なうことで、眼圧を調整する埋め込み式のマイクロポンプシステムです。
この仕組みにセンサーを連動させれば、自動的に眼圧の調整をできるようになることが期待されています。
今回のニュースで取り上げた「MicroShunt」は、房水の出口に目詰まりが生じ眼圧を高める原発開放隅角緑内障に対し、マイクロチューブを用いて房水排出路を形成するというものですので、埋め込み式のマイクロポンプシステムに近いアイデアといえるのではないでしょうか。
「MicroShunt」の優位性は主に「低侵襲性(手術・検査などに伴う傷や体力の消耗などをできるだけ少なくする医療 )」と「生体不活性製品素材(免疫反応が起こりにくい)」という2つのポイントにあります。
■緑内障市場の成長
参考画像:緑内障用デバイス”MicroShunt”を開発する米国InnFocus社の買収について|参天製薬スクリーンショット
緑内障用デバイス”MicroShunt”を開発する米国InnFocus社の買収について
(2016/8/2、参天製薬)
開放隅角緑内障による失明患者は、2020年に世界で5.9百万人にのぼる
緑内障の発症リスクを高める要因|2050年までに緑内障を発症する米国人が約2倍になるで紹介した米国眼科学会(AAO)によれば、米国の緑内障患者は約270万人で、2050年までに630万人の米国人が緑内障を発症する、つまり、2050年までに緑内障を発症するアメリカ人が約2倍になると予測しています。
緑内障の原因によれば、緑内障のリスク要因はいくつか挙げられます。
●血縁者に緑内障の人がいる。(遺伝性要因)
家族歴:ある研究によると、親または兄弟に緑内障患者がいると、発症リスクは9倍高い。
緑内障には遺伝的要因があると考えられます。
●加齢
岐阜県多治見市で行われた疫学調査によれば、40歳以上の20人に1人が緑内障だったそうです。
そのため、40歳ごろから定期的に眼科検診を受けることをお勧めします。
●強度の近視
近視はその程度が高いほど、緑内障になるリスクが高いといわれます。
近視の人の目は眼球が歪んでおり、正常の眼球が23mmであるのに対し、近視の眼球は最大28mmになり、眼圧が高くなくても、圧力を受けてしまっているようです。
2050年までに50億人が近視(近眼)になると予想されている!?で紹介した豪州のニューサウスウェールズ大学のBrien Holden研究所によれば、2050年までに50億人が近視になっていると予想されるそうです。
→ 近視 について詳しくはこちら
近視になると緑内障になるリスクが高く、これから近視になる人が増加するという予想が立てられていることから、ますます緑内障の患者が増加することが予想されます。
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●糖尿病
米国眼科学会(AAO)のアドバイスによれば、糖尿病によって、糖尿病網膜症、緑内障、白内障といった目の病気になりやすく、失明を予防するためにも血糖値コントロールと定期的な眼科検診が重要なのだそうです。
世界の糖尿病患者4億2200万人 成人の8・5%|WHOで紹介したWHOの報告書によれば、2014年の世界糖尿病患者は4億2200万人になっています。
また、糖尿病が世界で急増、4億人に迫る 中国、インド、アフリカでも(2014/9/3)で紹介した国際糖尿病連合(IDF)によれば、2013年の世界の糖尿病人口(20~79歳)は3億8200万人となっており、35年には5億9200万人に達する見込みなのだそうです。
糖尿病が緑内障のリスク要因であり、糖尿病人口がこれからも増加する傾向にあることから、緑内障患者が増加することが予想されます。
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つまり、緑内障の治療法を確立することは、失明になる人を少なくするためにも世界が取り組まなくてはならない問題なのです。
■まとめ
緑内障の治療に関しては、緑内障の診断を助ける緑内障のリスク要因に応じて自動で分類する機器や治療用デバイス、再生医療などの様々な分野で研究が進んでいます。
緑内障で失明してしまうというようなことも近い将来なくなっていく期待感がありますね。
ただ、緑内障のリスク要因を4つの類型に自動で分類する手法を開発|東北大・トプコンによれば、緑内障のリスク要因としては、眼圧の上昇による視神経の障害が主な要因ですが、その他にも、血流障害、近視、血管の痙攣(スパスム)なども緑内障の悪化に関わっており、どの要因が影響しているかによって治療法も異なってきますので、まだまだ解決すべきことはありそうです。
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