緑内障患者が5年間で73.1%増えている|韓国国民健康保険公団


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■緑内障患者が5年間で73.1%増えている|韓国国民健康保険公団

Beautiful Asian Canadian.

by kaybee07(画像:Creative Commons)

韓国国民健保公団「緑内障患者5年間に70%超増加…放置すれば失明」

(2016/12/30、ハンギョレ新聞)

国民健康保険公団は25日「2010年から2015年まで緑内障患者を分析した結果、2010年に44万4千人だった患者が2015年には76万8千人に32万4千人(73.1%)増加したことが分かった」と明らかにした。 性別では、同じ期間に男性が14万6千人、女性は18万人増え、女性が約1.2倍多く増加していた。

韓国の国民健康保険公団によれば、緑内障患者が5年間で73.1%増えていることがわかったそうで、女性が約1.2倍多く増加していたそうです。

緑内障の発症リスクを高める要因|2050年までに緑内障を発症する米国人が約2倍になるによれば、米国眼科学会(AAO)によれば、2050年までに緑内障を発症するアメリカ人が約2倍になると予測しています。

緑内障患者は世界的にも増加傾向にあるのかもしれません。

国民健康保険一山病院のパク・ジョンウン教授は「緑内障は特性上40歳前後に主に発病するが、機器と薬品の発達により早期治療が多いために60代以後の老人患者が多いと見られる」として「最近はスマートフォンなどIT機器の使用増加により若年層患者も少なくない」と話した。

緑内障は40代以上が注意すべき目の病気として紹介されることが多いですが、国民健康保険一山病院のパク・ジョンウン教授によれば、若年層患者も少なくないそうです。




■なぜ若年層にも緑内障患者が増加しているの?緑内障のリスク要因から考えてみよう!

なぜ若年層にも緑内障患者が増加しているのでしょうか。

緑内障のリスク要因から考えてみたいと思います。

緑内障のリスク要因を4つの類型に自動で分類する手法を開発|東北大・トプコンによれば、緑内障のリスク要因としては、眼圧の上昇による視神経の障害が主な要因ですが、その他にも、血流障害、近視、血管の痙攣(スパスム)なども緑内障の悪化に関わっており、どの要因が影響しているかによって治療法も異なってきます。

緑内障の原因によれば、緑内障のリスク要因は次のモノが考えられます。

●血縁者に緑内障の人がいる。(遺伝性要因)

家族歴:ある研究によると、親または兄弟に緑内障患者がいると、発症リスクは9倍高い。

緑内障には遺伝的要因があると考えられます。

●加齢

岐阜県多治見市で行われた疫学調査によれば、40歳以上の20人に1人が緑内障だったそうです。

そのため、40歳ごろから定期的に眼科検診を受けることをお勧めします。

●強度の近視

緑内障になりやすい人、なりにくい人の差は近視|#この差って何ですか
によれば、緑内障患者の約6割が「近視」なのだそうです。

→ 近視(強度近視・仮性近視) について詳しくはこちら

近視の人の目は眼球が歪んでおり、正常の眼球が23mmであるのに対し、近視の眼球は最大28mmになり、眼圧が高くなくても、圧力を受けてしまっているようです。

近視はその程度が高いほど、緑内障になるリスクが高いといわれます。

スマホ老眼の症状を訴える若者は2012年の0・5%から2013年には6・7%に急増子供もスマホ老眼!?視力1・0未満の小学生が3割を超える|学校保健統計でも紹介しましたが、近年老眼のような症状を訴える若者は急増しているそうです。

パソコンが普及していても老眼の人が増えていなかったにもかかわらず、なぜスマホが普及し始めてから老眼が増えているのでしょうか。

スマホを使い続けると目が疲れる理由は「距離」と「まばたき」によれば、スマホとパソコンとで異なるのが「距離」。

パソコンの場合、通常45センチ程度の間隔をあけて操作しますが、スマホの場合、手に持って操作するため、距離を近づけて使用してしまい、近い人は15センチ程度で使用している人もいます。

目には「水晶体」があり、カメラでいうとレンズに当たります。

この水晶体を、近くを見るときには厚くし、遠くを見るときには薄くなるように調節を行なっています。

近くにピントを合わせるために毛様体筋の調節を行なっているのですが、スマホを見る際には、パソコンよりも距離が近くなっているため、この毛様体筋にさらに負担がかかっていると考えられます。

●糖尿病

米国眼科学会(AAO)のアドバイスによれば、糖尿病によって、糖尿病網膜症、緑内障、白内障といった目の病気になりやすく、失明を予防するためにも血糖値コントロールと定期的な眼科検診が重要なのだそうです。

「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の4つが「#健康格差」の要因|#NHKスペシャルで紹介した石川県金沢市の内科医・莇也寸志医師が全国96の病院に連絡し、20~30代の2型糖尿病患者を調べたところ、非正規社員は正社員に比べて網膜症を合併するリスクが1.5倍も高いことがわかったそうです。

→ 糖尿病網膜症 について詳しくはこちら

莇医師は、非正規社員の「雇用の不安定さ」や「健康診断の受けづらさ」などが正社員との健康格差を生む一因になったとみていますが、韓国の若年層の失業率が問題になっているそうで、雇用の不安定さにより健康格差が生まれることで糖尿病患者が増加することになれば、緑内障になる人も増えていくかもしれません。

韓国の失業率、来年は〝最悪水準〟の衝撃予想 雇用の受け皿縮小 大統領選にも影響か

(2016/12/26、産経ニュース)

失業率が来年には3・9%と今年より0・2ポイント上昇する見込みで、これは01年(4・0%)に迫る水準という。ハンギョレ紙など韓国メディアが韓国労働研究院の報告をもとに伝えた。

 とりわけ問題になっているのは、若年層(15~29歳)の失業率だ。

 聯合ニュースによると、足下の11月の若年層の失業率は8・2%と前年同月より0・1ポイント悪化し、11月としては2003年(8・2%)以来の高さとなった。全国経済人連合会が10月に公表した就職意識調査によると、新規採用が昨年よりも「厳しい」と回答した割合は50%の過半を超え、苛烈な就職戦線が若者を苦しめている。

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●ピルを3年以上使用したことがある女性

ピルを3年以上使用したことがある女性は緑内障にかかるリスクが2倍になる!?その理由とは?で紹介した米国眼科学会によれば、ピルを3年以上使用したことがある女性は緑内障にかかるリスクが、そうでない人に比べて2倍になるという研究結果がでているそうです。

研究グループによれば、エストロゲンには視神経を守る働きがある可能性があり、低用量ピルを服用すると血液中のエストロゲン量が少なくなる働きがあるため、緑内障にかかるリスクが高まる可能性があるようです。

ピルで緑内障に、3年以上服用でリスク2倍―米調査

(2016/5/11、読売新聞)

研究グループによると、その中で女性ホルモンの一つであるエストロゲンには視神経を守る働きがある可能性が浮上。一方、閉経するとエストロゲンが急激に減少するが、閉経が遅い女性に比べ早い女性では緑内障の危険性が高いとの調査結果も報告されているという。

●睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の患者は緑内障になるリスクが高い|正常眼圧緑内障の原因は「低酸素状態」の可能性があるによれば、緑内障とは、目が正常な機能を保てる「適正な眼圧」以上の眼圧のために、視神経が障害され、視野が欠けてくる病気ですが、日本人には正常眼圧緑内障が多い!?で紹介した日本緑内障学会が岐阜県多治見市で40歳以上を対象に行なった調査によれば、緑内障と診断された人は約5.8%で、そのうちの6割が眼圧が正常範囲であるにもかかわらず、緑内障になっている「正常眼圧緑内障(NTG)」だったため、眼圧以外に何らかの原因があることが考えられます。

無呼吸発作が起きると、眼圧が下がると同時に血中酸素飽和度も下がることがわかったため、睡眠時無呼吸症候群の患者は、低酸素状態などの眼圧上昇以外の仕組みによって視神経障害が引き起こされるという可能性があり、このことは、正常眼圧緑内障の原因の解明につながることが期待されます。

■まとめ

緑内障は、早期発見が大事ですので、眼科での定期的な検査(緑内障ドック)が一番の予防法といえます。

緑内障は、眼圧測定だけではわからないため、眼底検査、視野検査などが必要となります。

眼科検診で失明が36%減少する!|緑内障・糖尿病網膜症・変性近視・加齢黄斑変性・白内障が失明の主な原因で紹介した杏林大学大学院医学研究科の山田昌和教授(眼科)によれば、眼科検診によって5つの病気の発見率や失明の減少率を調べたところ、失明は緑内障で45%減したそうです。

中高年になると、目の病気になる人が増えてきますので、失明を防ぐためにも、40歳をめどに一度眼科検診を受けてみて、定期的に眼科で診てもらうことをオススメします。

また、緑内障は、ぶつかって眼圧が上昇する場合や生まれつき(隅角が未発達)でない場合には、生活習慣(糖分の摂りすぎ、血液がドロドロ、眼精疲労、ストレス、運動不足など)と何らかの関係があるのではないかと考えられています。

緑内障のリスク要因がすべて正しいと仮定すれば、緑内障は肥満や糖尿病などの生活習慣病の合併症ということもいえるのではないでしょうか。

近年、緑内障は若年化・増加傾向にあるといわれていますが、それは若者の生活習慣に何らかの原因があるのかもしれません。

若いころからの生活習慣の見直しをやっていきましょう。

→ 緑内障の症状・原因・眼圧・予防 について詳しくはこちら







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