■皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に成功|1週間貼り続けても炎症反応がない|東大・JST・慶大・理研
参考画像:皮膚呼吸が可能な皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に成功~1週間貼り続けても炎症反応がないため、長期生体計測への応用に期待~(201/7/18、東京大学・科学技術振興機構(JST)・慶應義塾大学・理化学研究所)|スクリーンショット
皮膚呼吸が可能な皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に成功~1週間貼り続けても炎症反応がないため、長期生体計測への応用に期待~
(201/7/18、東京大学・科学技術振興機構(JST)・慶應義塾大学・理化学研究所)
●通気性と伸縮性を兼ね備えた皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーを生体適合性材料で開発することに成功した。このセンサーは極薄かつ超軽量であるため、装着していることすらユーザーが感じることがなく、装着時の不快感がない。
●20名の被験者に対してパッチテスト(かぶれと皮膚アレルギー試験)を行ったところ、1週間連続して装着しても明らかな炎症反応を認めないことが確かめられた。
東京大学大学院工学系研究科、科学技術振興機構、慶應義塾大学医学部、理化学研究所統合生命医科学研究センター、同研究所染谷薄膜素子研究室、同研究所創発物性科学研究センターの共同研究によれば、1週間皮膚に貼り続けても炎症反応がなく、装着していることを感じないほど超軽量で極薄のナノメッシュ電極の開発に成功したそうです。
#センサー を直接肌に貼って、様々な体の情報を計測できる技術が開発されました。装着は簡単で違和感なし。 #医療 などへの活用が見込まれます。 #日経 https://t.co/FmAbhfvdd6 pic.twitter.com/ZruRGLq0tC
— 日経新聞 写真部・映像報道部 (@nikkeiphoto) 2017年8月17日
■背景
さらに次世代のウェアラブル電子機器として、皮膚に密着することでより高精度な生体信号を計測できる電子機器が、軽量で伸縮性の高い薄膜フィルムやゴムシートを用いて盛んに開発されてきました。研究チームはこれまで、皮膚に貼り付けられる血中酸素濃度計やタッチセンサーアレイ注2)などを開発してきました。その活動の中で、医療やスポーツの分野で応用する場合には、1週間以上の長期測定が求められることが少なくないことが分かりました。
薄いフィルムやゴムシート型のデバイスは、ガス透過性が低いために皮膚からの汗などの分泌を阻害してしまうため、長期間使用できる安全性について皮膚科学的な見地から証明されていなかったことが課題となっていました。
心電図や脈拍などの生体データを計測して健康管理に活かすためのウェアラブルデバイスに関心が高まっており、さらに次世代型として薄膜フィルムやゴムシートを用いて皮膚に密着することにより高精度な生体データを計測するための血中酸素濃度計やタッチセンサーアレイ(人の指などが接触する位置情報をセンシングできるデバイス)の開発が進められています。
しかし、医療やスポーツで利用する場合には一週間以上の長期測定が必要であり、フィルムやゴムシート型のデバイスの場合、汗の分泌を阻害するため安全性についての問題がありました。
例えば、【肌の上のラボ】汗を分析するデバイスで病気診断|ノースウエスタン大学では、ノースウエスタン大学の研究チームは、皮膚に簡単に貼りつけることができる、身体が運動にどのように反応しているかを着用者の汗を測定するマイクロ流体デバイスを開発したというニュースをお伝えしました。
また、脈拍数や血液中の酸素濃度などを表示し、肌に貼れる有機ELディスプレイを開発|東大では、センサーで検知した脈拍数や血液中の酸素濃度を表示できる有機ELディスプレイが開発されたニュースを紹介しました。
これらのテクノロジーについて単純に素晴らしいと思っていましたが、今回のニュースを見ると、皮膚に貼り付けることにより、汗などの分泌を阻害する可能性があるという視点を見逃していると感じました。(ただ、2つのデバイス・ディスプレイが実際皮膚に対してどのような反応をするかはわかりません。)
■開発のポイント
そこで本研究グループは、生体適合性に優れた金と高分子(ポリビニルアルコール)からなるナノサイズのメッシュ型電極を開発しました(図1)。開発したナノメッシュ電極は、軽量で高い伸縮性とともに、高いガス透過性を持つため、1週間皮膚に貼り続けても炎症反応を起こしません。また、このナノメッシュ電極は、少量の水で簡単に皮膚へ貼り付けることができ、皮膚の指紋や汗腺などの微細な凹凸に沿って形成することができます(図2)。
ナノメッシュ電極は一週間張り続けても炎症反応を起こさないそうです。
また、皮膚貼り付け型ナノメッシュ電極を人差し指に装着することによって、タッチセンサーを作ることもできるそうです。
さらに開発したナノメッシュ電極を用いると、皮膚の上の温度や圧力などの情報も正確に計測することができるようになります。ナノメッシュ電極アレイを指先に貼り付け、布地型のワイヤレスユニットと組み合わせることで、指の上にワイヤレスで読み出し可能なタッチセンサーを作製することに成功しました。さらに小型でフレキシブルなセンサー素子と組み合わせることで温度や圧力などの情報を計測することに成功しました。
近い将来リモコンや物理ボタンはなくなる!?|Project Soli・ViBandで紹介した「ViBand」では、スマートウォッチの加速度センサーを活用し、フリック、クラップ、スクラッチ、タップなどのハンドジェスチャを動作のシグナルとして使っていましたが、皮膚貼り付け型ナノメッシュ電極によって、新しいリモコンもできるかもしれません。
■まとめ
次世代の生体データを計測するためのウェアラブルデバイスは皮膚貼り付け型になっていくのでしょうか。
そして、リモコンも皮膚貼り付け型に変わっていくのでしょうか。
これからのニュースに期待しましょう。
【参考リンク】
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