オートファジー(自食作用)が血糖値を下げるインスリンの正常な分泌に関わっている!?|2型糖尿病の治療に役立つ可能性|順天堂大


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■オートファジー(自食作用)が血糖値を下げるインスリンの正常な分泌に関わっている!?|2型糖尿病の治療に役立つ可能性

Uranium Particles (06410126)

by IAEA Imagebank(画像:Creative Commons)

オートファジー:たんぱく質分解機能、インスリンの正常分泌を保つ

(2008/11/9、毎日新聞)

血糖値を下げるインスリンの正常な分泌に、「オートファジー」(自食作用)と呼ばれる細胞内のたんぱく質分解機能が深くかかわっていることを、順天堂大などが突き止めた。

この機能を活性化できれば、インスリンの働きが悪くなる2型糖尿病の治療や、発症抑制に役立つ可能性があるという。

順天堂大などによれば、血糖値を下げるインスリンの正常な分泌に、「オートファジー」(自食作用)と呼ばれる細胞内のたんぱく質分解機能が関わっており、この機能を活性化させることで2型糖尿病の治療に役立つ可能性があるそうです。

2型糖尿病は食事などの生活習慣が主な原因とされ、肥満の患者はインスリンの働きが悪いことが分かっている。

研究チームは、オートファジーがベータ細胞内の不要なたんぱく質を分解して健やかさを保ち、インスリンの正常な分泌を助けていると推定した。

このオートファジーという機能を活性化させることにより、インスリンの正常な分泌を促すことで、糖尿病の治療や予防につながるようです。

今後の研究に注目です。




【追記(2016/10/4)】

■オートファジー

<ノーベル賞>細胞内不要物リサイクル…オートファジーとは

(2016/10/3、毎日新聞)

オートファジーの働きによって、たんぱく質はアミノ酸というエネルギー源になったり、たんぱく質生成の材料に変化したりする。また、不要となった物質や病原体も分解することで、生命活動を維持している。

オートファジー(自食作用)は、不要物などを分解してリサイクルも行うする細胞内の働きです。

大隅良典東京工業大栄誉教授はノーベル医学生理学賞を授与されましたが、大熊氏は生物が細胞内でたんぱく質を分解して再利用する「オートファジー(自食作用)」と呼ばれる現象を分子レベルで解明しています。

大隅氏は、大きな膜でほぼ無差別に不要となったたんぱく質などが包み込まれ、その後、分解酵素を含んだ袋と結合し、膜内でたんぱく質などがバラバラに分解され、再利用されることを分子レベルで解き明かした。これらは液胞と呼ばれる小器官に蓄積。エネルギー源や自分自身を作る材料として再利用されているとされる。

「無精ひげです」…大隅さん一問一答(2)

(2016/10/4、毎日新聞)

 −−オートファジーを子どもたちにも分かるように教えてください。

 私たちは毎日、たんぱく質を70〜80グラムぐらい食べています。それはたんぱく質が必要なのではなく、それを分解して「アミノ酸」というたんぱく質の原料にしています。いろいろな計算があるのですが、私たちの体の中には300グラムくらいのたんぱく質が作られている。その(原料の)アミノ酸がいったいどこからきたのかというと、私たちの体の中のたんぱく質を(分解して)再利用している。私たちは非常に大事なリサイクルシステムを持っていて、(たんぱく質の)分解も生命を支える大事な要素です。

 もう一つの例は、よく「海で遭難して1週間、水だけで生きた」というニュースを見ます。その期間、私たちの体はたんぱく質合成を止めているわけではない。たんぱく質を分解しながら再利用していくシステムを私たちは持っている。たんぱく質を食べて消化するのは細胞の「外」の現象だが、細胞の「中」でも、たんぱく質を作っては壊し、作っては壊しで生命を維持している。

 また、細胞の中には変なたんぱく質がたまって、病気の原因になっていることが分かるようになった。細胞の中をいつもクリーンにしておくことが実はとっても大事なんです。それが全部とは言いませんが、オートファジーの大きな役割です。栄養源のリサイクルと同時に、細胞内部の質的なコントロールをしているのがオートファジーで、それがこれからの医学にとても大事なんだと考えています。

■まとめ

ヒトの2型糖尿病の発症抑制にはオートファジー(細胞の自食作用)が必須である

(2014/8/5、順天堂大学プレスリリース)

研究グループではこれまでに膵β細胞特異的にオートファジーを失ったマウスで2型糖尿病を発症することを報告しましたが(Ebato etal. Cell Metab 2008 (4):325-332)、オートファジーがヒトの2型糖尿病の発症に影響を与えるかどうかはわかっていませんでした。そこでヒトの糖尿病に近いモデルマウスを用いてオートファジーの役割を調べたところ、オートファジーが低下するとヒト膵島アミロイドポリペプチド(hIAPP)の有する細胞毒性が顕在化し、糖尿病を悪化させることがわかりました。

順天堂大学大学院医学研究科・代謝内分泌内科学の藤谷与士夫准教授、綿田裕孝教授らの研究グループは、ヒトの2型糖尿病の発症にオートファジーが重要な働きをしていることを発見しました。

ヒト膵島アミロイドポリペプチド(hIAPP)は通常状態では細胞毒性を示さないそうですが、オートファジーが低下すると細胞毒性を示し、糖尿病を悪化させることがわかったそうです。

そこで、オートファジー活性を調節することにより、2型糖尿病の予防や治療に役立つ可能性があると考えられるそうです。

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P.S.

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