シリコンバレーの大手IT企業で無料の社員食堂を設けることが禁止される!?その理由とは?




■大手IT企業で無料の社員食堂を設けることが禁止される!?その理由とは?

Bacon Bacon Food Truck

by Karl Baron(画像:Creative Commons)

シリコンバレーに拠点を置く企業の人材確保のための福利厚生として有名なのは「無料の社食」でしたが、この流れに変化が起きているようです。

テック大手の無料ランチが廃止に、なぜ?

(2018/7/30、Business Insider)

●シリコンバレーの都市マウンテンビューは、今年の秋、フェイスブックが移転する予定の新オフィスに、従業員に無料で食事を提供する社員食堂を設けることを禁止している。

●規制の狙いは、地元の食品小売業者のビジネスを拡大すること。

●ツイッターが本社を置くサンフランシスコも、同じ理由で新たに社員食堂を設けることを禁止する、似たような規制を検討している。

なぜ従業員に無料で食事を提供する社員食堂を設けることを禁止するようになったのでしょうか?

ポイントは、地元の飲食店を支援する動きにあります。

企業が従業員に対して無料で食事ができる社員食堂を設けていることで、従業員がオフィスの外に出ず、地元のレストランやカフェのビジネスを難しいものにしているというのが理由です。

【参考リンク】

こうしたことを受けて、地元の食品小売業者のビジネスを拡大するために、無料の社員食堂を規制するという動きになっています。

このように書くと、地元の飲食店に対する保護主義的なイメージを持つかもしれません。

しかし、IT企業の周りに住む人々もそのサービスを使っているかもしれないわけですから、住んでいる地域の経済を活性化する試みを支援するというのは良いことなのではないでしょうか。

自分たちの企業の従業員だけを幸せにするのではなく、その企業の周りに住む人々を含めて幸せにした方がよいはずです。

【参考リンク】

ヒップな生活革命 (ideaink 〈アイデアインク〉)

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「ライジングセラー」「オーナーズ」の小さな経済圏が社会を変えていく!で紹介した「ヒップな生活革命」(著:佐久間 裕美子)を自分なりに解釈すると、アメリカでは空前の不景気となり、文化が危機にさらされ、自分たちが消費するものの本質を強く意識したことで、今までの衣食住の習慣を変え、コミュニティー・つながり・品質・創造性を大切にしたライフスタイル革命が起こっています。

例えば、消費に対する価値基準がラグジュアリー性を求めるブランド主義から実質を求める方向へシフトしたり、アメリカのルーツやヘリテージ(伝統)を見直すムーブメントが起こったりしています。

具体的に言えば、インディペンデント系のカフェのサードウェーブコーヒー、産地直送の新鮮な野菜・オーガニック、手作りのクラフト文化・ハンドメイド、ポップアップショップ(期間限定の店)、生産者と消費者を直接つなぐ地域支援型流通システムによる食の定期購買(csa(Community Supported Agriculture:地域支援型農業)・csf(地域支援型漁業))などです。

テック企業の都市でも「街の活気が失われている」「文化が危機にさらわれている」といったような同様の危機感があったのではないでしょうか?

フリーランチのないアマゾンとアップル、社員は何を食べている?

(2018/9/18、Business Insider)

「食事は人と人を結びつける」

これからは、その町に住む人々、コミュニティーとのつながりを意識した企業が選ばれるようになっていくのではないでしょうか?

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