クラシルと10Xが小売のDX/ネットスーパーの立ち上げ事業でバチバチ

クラシルと10Xが小売のDX/ネットスーパーの立ち上げ事業でバチバチ!




クラシルと10Xが小売のDX/ネットスーパーの立ち上げ事業でバチバチ
クラシルと10Xが小売のDX/ネットスーパーの立ち上げ事業でバチバチ

Boxed Water|unsplash

■クラシルと10Xが小売のDX/ネットスーパーの立ち上げ事業でバチバチ

クラシルが小売事業者のDXの支援を主目的として、初期費用無料、システム開発不要でネットスーパーを立ち上げ可能なサービス「クラシルリテールプラットフォーム」の提供を開始しました。

この事業は10Xの開発不要でネットスーパーを立ち上げ可能な 「Stailer(ステイラー)」と競合するため、クラシルと10Xがバチバチにやりあってると話題です。

ただ、市場の健全な成長には共創/競争が欠かせないですよね。

特にあまりにも市場が大きく、また難易度も高いため、多くの企業が参入することにより、英知が結集した結果、生鮮食品ECが大きく進化していくことが期待されます。

■クラシル

■10X

■クックパッド

買い物機能は、地域の生産者や市場直送の食材を1品から送料無料で購入いただけます。購入した商品は、出荷した当日に新鮮な状態のまま、地域に設置された生鮮宅配ボックス「マートステーション」へお届けいたします。自分の選んだマートステーションに帰宅途中に立ち寄って商品を受け取れるため、仕事帰りにスーパーに寄る時間のない方や、買い物をする時間がない方でも便利にご利用いただけます。

各地域に設置された共同集荷所へ近隣の生産者が商品を出荷、その日の夕方には各地のマートステーションまで配送されるため、地域の食材を高い鮮度を保ったままお届けすることができます。提供地域ごとに独立した自立分散型の流通とすることで、その地域の生産者の食材を周辺の消費者へ販売、地産地消を推進していくことが可能です。

現在、総戸数100戸以上のマンションの居住者からマートステーションの設置のリクエストを受け付けています。設置費用は無料で、マンションの共用部にマートステーションを設置することで、居住者は事前にアプリから注文した商品を、一品から送料無料で受け取ることができるようになります。また、管理組合・管理会社向けにも、オンラインでの設置お申し込み・お問い合わせ・資料請求を随時受け付けています。

設置に伴う初期費用・毎月の運用費用・電気代は一切かかりません。設置工事も不要で、電源のある屋内であれば、どこでも設置可能です。また、居住者のみ利用可能にするセキュリティコードや、購入者のみがQRコードでの解錠できるシステムにより、セキュリティについても安心してご利用いただけます。マートステーションは、お申し込みから3週間〜1ヶ月程度で導入可能です。

コンビニエンスストアをはじめ、ドラッグストア、コインランドリー、カラオケボックスなど、設置可能なスペースがある小売店舗にマートステーションを設置いただいております。受け取り場所になることで、店舗や施設を普段利用していない利用者の来店や、飲料やその他日用品の“ついで買い”が期待できます。また店舗や施設のスタッフの福利厚生、地域の活性化にも効果的です。

■まとめ

1.メディアが小売り事業を行なう時代に!

レシピサイト(レシピ動画を含む)と電子チラシを押さえることにより、消費者が購入するものがわかるようになり、ネットスーパーは仕入れ予測の精度が向上し、廃棄ロスも減少することでしょう。

また、消費者がどんな料理を作っているのかというデータは生産者やメーカーにとってはすごい価値を持っているわけですが、レシピサイトのデータを活用した新商品開発も行われるようになり、そのことが売れ筋商品の予測や廃棄ロスの減少にもつながることが考えられます。

【レビュー】「小売再生-リアル店舗はメディアになる」を読んで、”小売りの未来”を考える!では、店舗がメディアになる時代に広告代理店やメディアを運営する企業も店舗を作るようになり、小売店舗で得られる消費者のデータをメーカーに販売する時代になると書きましたが、実際にそうなってきましたね。

2.ビフォアデジタル or アフターデジタル

気になるのはレガシーシステムをそのまま活かしながらネットスーパーを作り上げることが本当にいいのかという点です。

現場にいるわけではないのですが、ECを小さいながらやっている立場から見ても、毎日変化する商品にどう対応していくのでしょうか?

以前「アフターデジタル」を読んだ際に感じたのですが、レガシーシステムをそのまま活かしながらネットスーパーを作り上げるということが、ビフォアデジタル的な考えのまま外から見える構造をコピーしがちになるということにならないのかどうか気になっています。

「小売りのDX」を実現するうえでデジタルを基盤とする必要はないのでしょうか?

もしこれがビフォアデジタル的な発想で行われるのあれば、難航していた『MOTHER2』の開発を立て直すべく現場に現れた岩田聡さんの有名なセリフがぴったり当てはまると思います。

デジタルを基盤として、リアル(レガシーシステム)を内包するようなものを作り上げる形は様々な批判があるでしょう。

ただ、数年先から見通すとあの時やっておいてよかったとなるはずです。

このまま進んでいくのであれば、数年後におそらく息詰まることになるでしょうから、その時にもこの岩田さんの言葉がグッとくることになるでしょう。

あの時試行錯誤した時間があったからこそ動いたのであって、決して無駄ではなく、悩んだ人たちの試行錯誤は全てネットスーパーの中に生きているということになると思います。

3.レシピサイトのレシピ提案と電子チラシによるレコメンド機能は強烈!

アマゾンが目指す未来を予想すると、amazon dash button と以前取得した特許(いつもこのぐらいのペースで注文しているから送っときました(予測発注))から見える未来は、変える必要がない必需品は自動的に送られてくる未来です。

あまりに忙しすぎる現代の人にとっては考える必要もなく、購入する必要もないため、うれしい未来かもしれません。

ただ、この未来を別の視点から見ると、ブランドをスイッチする機会をなくしてしまう未来です。

アマゾンが自動的に変える必要がない必需品を送り届ける未来は消費者にとっては楽な未来であったとしても、マーケティング担当者にとっては怖い未来かもしれません。

それは消費者がブランドをスイッチングする余地がない未来なのですから。

そう考えると、ブランド側としては、新商品を作り出して新しいカテゴリを作り上げ、アマゾンの中で最も利用される必需品になるか、アマゾン以外のところで消費者から求められる商品を作るか、について考えていく必要があります。

しかし、今はそれも難しい時代です。

モノと情報が余っている時代となっているからです。

例えば、アマゾンのレコメンドを見たことがある人はわかるでしょうが、この中からある一つの商品がなくなっても気づくことはないでしょう。

また今は情報が多すぎて処理できないほどの情報量であり、人々は情報自体には価値を感じなくなっていくでしょう。

モノと情報が余っている時代において、小さな個人や企業は変える必要がない必需品以外で消費者から求められる商品は何なのかを考えていかなければなりません。

一つのヒントはPinterestです。

Pinterestの月間アクティブユーザー数が4億人を超えた!自社のアイテムを投稿し売上増に繋げる企業が増加

ピンタレスのユーザーの97%がブランド検索をしないということは、小さな企業にとっては大きなビジネスチャンスです。

実際にそうしたビジネスチャンスをつかんだ企業も現れています。

日本ではピンタレストはまだまだ認知の拡大段階ですが、ピンタレストのショッピング機能を活用することが小さな企業の売り上げ増につながるようになるときがくるかもしれません。

レコメンドではなく「発見」に価値を置くコミュニティにおいてブランドを育てていくことが一つの方法になっていくのではないでしょうか?