食道がんを公表した秋野暢子さんは筋肉の衰えに危機感を覚え、軽い筋トレを始める!なぜ入院患者(がん患者)の筋肉は急速に衰えるの?

食道がんを公表した秋野暢子さんは筋肉の衰えに危機感を覚え、軽い筋トレを始める!なぜ入院患者(がん患者)の筋肉は急速に衰えるの?





食道がんを公表した秋野暢子さんは筋肉の衰えに危機感を覚え、軽い筋トレを始める!なぜ入院患者(がん患者)の筋肉は急速に衰えるの?
食道がんを公表した秋野暢子さんは筋肉の衰えに危機感を覚え、軽い筋トレを始める!なぜ入院患者(がん患者)の筋肉は急速に衰えるの?

Hush Naidoo Jade Photography|unsplash

食道がんを公表した秋野暢子さんは筋肉の衰えに危機感を覚え、軽い筋トレを始めたそうですが、なぜ入院患者さん(今回はがん患者)の筋肉は急速に衰えるのでしょうか?

その前に、まずはサルコペニアについて改めて復習します。

■サルコペニアとは?サルコペニアの定義

多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥る|厚生労働省
多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥ります。加齢に伴う変化(食欲の低下・活動量の低下・社会交流の低下・筋力低下・認知機能低下・多くの病気をかかえている)→危険な加齢の兆候(低栄養・転倒・サルコペニア・尿失禁・軽度認知障害(MCI))

参考画像:高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について|厚生労働省スクリーンショット

「メタボウォッチ」|早稲田大学、RESEARCHKITでメタボリックシンドロームになりやすい生活習慣をチェックするアプリを開発によれば、加齢とともに骨格筋が減少し、筋力が大幅に低下するサルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)は身体活動量の減少と密接に関係しており、また不適切な食事習慣と合わさることで、内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積によるメタボリックシンドロームの発症を招いているそうです。

米国ルイスビル大学の疫学者バウムガルトナー(Baumgartner)によれば、サルコペニアやメタボリックシンドロームが健康寿命に深く関連しているといいます。

サルコペニア
サルコペニア

サルコペニアの定義とは、筋肉量(骨格筋量)の減少に加えて、筋力の低下(握力など)または身体(運動)機能の低下のいずれかが当てはまる場合、サルコペニアと診断するというものです。

サルコペニア診断アルゴリズム
サルコペニア診断アルゴリズム

参考画像:後期高齢者の健康(2016/6/17、厚生労働省)|スクリーンショット

「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命によれば、歩行速度が低下すると、認知症やMCIのリスクが高くなるそうですので、「歩行速度」はサルコペニアと認知症・MCIのリスク度をチェックする大事な要素といえそうです。

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■がん患者さんがサルコペニアに陥りやすい要因

がん患者さんがなぜサルコペニアに陥りやすいのかと言えば、1)入院で安静状態が続いて運動量が低下、2)食事量の減少によって必要なエネルギーやタンパク質を十分に摂れない、3)化学療法による吐き気・嘔吐などに副作用で食欲不振、4)味覚障害による食欲不振、5)がん悪液質(がん細胞が分泌するサイトカインが、全身性の炎症を引き起こし、タンパク質や脂肪の分解を促進、骨格筋など全身の筋肉はタンパク質でできているため、分解が進むにつれて、筋肉量が減り、次第にやせてサルコペニアに)が原因として考えられます。

サルコペニアの患者さんは寝たきりや要介護に進みやすいため、従来の治療に加えて、栄養療法と運動療法(リハビリ)を行なうことで筋肉量を維持することができれば、健康寿命を延ばすことができるのではないかと考えられるそうです。

●運動でサルコペニア対策

高齢者の筋内脂肪の蓄積はサルコペニアと運動機能低下に関係する|名古屋大学で紹介した名古屋大学総合保健体育科学センターの秋間広教授、田中憲 講師、同大学院生らの研究グループは早稲田大学と行なった共同研究によれば、高齢者の筋肉内に霜降り上に蓄積する脂肪(筋肉脂肪)が、加齢に伴う筋力の減少(サルコペニア)や運動機能低下と関係していることがわかりました。

高齢者は、定期的に運動をすることによって、加齢による筋肉量の減少と運動機能低下を軽減し、筋内脂肪の蓄積の抑制をすることが期待されます。

●たんぱく質でサルコペニア対策

たんぱく質摂取と骨格筋|たんぱく質の関与|フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省によれば、最近のコホート調査でも、たんぱく質摂取量が少ないことは3年後の筋力の低下と関連し、さらに高齢女性の3年間の観察で、たんぱく質摂取量が少ないとフレイルティの出現のリスクが増加することが確認されているそうです。

また、日本人の高齢女性の横断研究でもフレイルティの存在とたんぱく質摂取量との関連が明らかにされています。

これまでにも要介護者の中にはたんぱく質が不足する低栄養の人が多いということを紹介してきました。

適切な食物摂取ができず、栄養状態が悪化していることを「低栄養」と呼びます。

低栄養になると、免疫が低下したり、筋肉が減少したり、骨が弱くなったりすることで、感染症に掛かりやすくなったり、骨折するおそれが高くなるようです。

今回紹介した厚生労働省のまとめによれば、高齢者はたんぱく質の摂取量が少ないと、フレイルティの出現リスクが増加するそうです。

たんぱく質並びにアミノ酸の介入研究|たんぱく質の関与|フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省では、サルコペニア予防および改善の観点から、高たんぱく質食品、プロテインやアミノ酸などのサプリメント、β─ ヒドロキシ─β─ メチル酪酸(beta-hydroxy-beta-methylbutyrate:HMB)を単独もしくはアミノ酸と配合したサプリメントを補給する介入研究が紹介されています。

→ アミノ酸の効果・効能・種類・アミノ酸を含む食べ物 について詳しくはこちら

→ なぜ筋肉をつけるにはタンパク質(アミノ酸)の摂取が必要なの?【論文・エビデンス】 についてくわしくはこちら

がん患者、高齢者に共通するのは、運動量の低下、食事の量の減少であり、この2つを改善することが健康寿命を延ばすことにつながると考えられるので実践していきたいですね。